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十一月は波乱の季節
57話 なんでここにいるの?
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ピロロンって音が何度かして、ぼんやりとしながら私が目を覚ました時には、部屋はもう暗くなっていた。
のっそりと布団から起き上がった私は、スマホを取ろうとして、ベッドに寄りかかるように座る先輩の後ろ頭が目に飛び込んできてそのまま一気に凍りついた。
「さ、斎藤先輩、なんでここにいるの!?」
「市川さんのお母さんに通してもらっただけだよ」
床に座って自分のスマホを見てた先輩が、私を振り仰いで答えてくれる。先輩の少し困った顔がスマホの明かりで薄く照らし出された。
お、お母さんのバカ!
って、先輩が来るのはもういつものことだから、普通に部屋に上げてくれたんだよね。寝ちゃってた私が悪いのか。
「ごめんね、まさか寝てるとは思わなかったから。ただ具合が悪いのかもと思ったから、最悪市川さんのお母さんに知らせようと思いながら様子見してたんだ」
そこまで言った先輩が、ベッドに座る私を見て、すぐに目のやり場に困った様子で顔を背けた。途端、自分の格好を思い出す。
うわ、私パジャマの上しか着てない!
「もし体調が大丈夫なら、服を着てくれると助かるんだけど」
「す、すみません!」
よそ見してくれている先輩の横で、慌ててパジャマのズボンを探す。案の定ズボンはベッド横の椅子にかけてあって手が届かない。
先輩の視界を避けて、そっと手を伸ばして取ろうとしたら……
「危ない」
「ひゃぁっ!」
そのままベッドから転げ落ちた。
とっさに先輩が気づいて手を伸ばし、気づけば私は無事先輩の上に着地した。
してしまった。
この格好で!
目に入るのはとんでもない光景。
先輩の制服の膝の上に服を着ていない自分の足。片腕で背中を支えられ、もう一本の腕が腕の中の私ごと、上体を支えてる。
先輩の腕の中、私は先輩を仰ぎ見る形でなんとか頭も打たずに浮いていた。
ぎゃーーー、どうしよう、泣きたい!
あまりのドジ加減とこの状況に、ただただ頭が空回りして涙がにじむ。
「今手首捻らなかった?」
「だ、だ、だ、だいじょうっ、痛っ!」
自分の格好のことで頭がパニクってた私は、言われるまで自分の手首が痛いのにも気づいてなかった。
私の声に驚いた先輩が、私の格好もお構いなしに私を横抱きにしたまま立ち上がり、ベッドの上にそっとおろすと後ろも見ずに部屋の外へと向かう。
「ちょっと待ってて!」
そう言いおいて、珍しく慌てた様子で先輩は私の部屋を飛び出していった。
のっそりと布団から起き上がった私は、スマホを取ろうとして、ベッドに寄りかかるように座る先輩の後ろ頭が目に飛び込んできてそのまま一気に凍りついた。
「さ、斎藤先輩、なんでここにいるの!?」
「市川さんのお母さんに通してもらっただけだよ」
床に座って自分のスマホを見てた先輩が、私を振り仰いで答えてくれる。先輩の少し困った顔がスマホの明かりで薄く照らし出された。
お、お母さんのバカ!
って、先輩が来るのはもういつものことだから、普通に部屋に上げてくれたんだよね。寝ちゃってた私が悪いのか。
「ごめんね、まさか寝てるとは思わなかったから。ただ具合が悪いのかもと思ったから、最悪市川さんのお母さんに知らせようと思いながら様子見してたんだ」
そこまで言った先輩が、ベッドに座る私を見て、すぐに目のやり場に困った様子で顔を背けた。途端、自分の格好を思い出す。
うわ、私パジャマの上しか着てない!
「もし体調が大丈夫なら、服を着てくれると助かるんだけど」
「す、すみません!」
よそ見してくれている先輩の横で、慌ててパジャマのズボンを探す。案の定ズボンはベッド横の椅子にかけてあって手が届かない。
先輩の視界を避けて、そっと手を伸ばして取ろうとしたら……
「危ない」
「ひゃぁっ!」
そのままベッドから転げ落ちた。
とっさに先輩が気づいて手を伸ばし、気づけば私は無事先輩の上に着地した。
してしまった。
この格好で!
目に入るのはとんでもない光景。
先輩の制服の膝の上に服を着ていない自分の足。片腕で背中を支えられ、もう一本の腕が腕の中の私ごと、上体を支えてる。
先輩の腕の中、私は先輩を仰ぎ見る形でなんとか頭も打たずに浮いていた。
ぎゃーーー、どうしよう、泣きたい!
あまりのドジ加減とこの状況に、ただただ頭が空回りして涙がにじむ。
「今手首捻らなかった?」
「だ、だ、だ、だいじょうっ、痛っ!」
自分の格好のことで頭がパニクってた私は、言われるまで自分の手首が痛いのにも気づいてなかった。
私の声に驚いた先輩が、私の格好もお構いなしに私を横抱きにしたまま立ち上がり、ベッドの上にそっとおろすと後ろも見ずに部屋の外へと向かう。
「ちょっと待ってて!」
そう言いおいて、珍しく慌てた様子で先輩は私の部屋を飛び出していった。
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