斎藤先輩はSらしい

こみあ

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十月、ハロウィンはいつどこで?

40話 人生初デートです

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 そしてあっという間にハロウィンが街にやってきた。
 あれだけハロウィン、ハロウィン言ってたにも関わらず、ハロウィンの日がいつなのかも分かってなかった私です。
 10月の31日がハロウィンなんだそうで。

 そんな愚かな私に、先輩はハロウィンの前の日曜日に出かけることを提案してくれた。

 ええ、私の人生初デートです。

 「ハロウィンは甘谷に行く」とか言ってたのは私だし、お付き合いのイベント予定表とか自分で作ってたクセに、私はそれをデートだなんて全く認識してなかったんだよ、この時までは。

 いやお付き合いしてるなら、これはデートで間違いないんだろうけど、恋心とかあってお付き合いしてる訳じゃないから、別に浮かれる訳でもないはずなのに。
 だけど、改めて「デート」と言われてしまうと、ソワソワが止まらないし、なんか落ち着かない。

 それなりに緊張もして、着ていく服やら髪型やら、ちょっとはお化粧も……などとエッちゃんとアッコちゃんに相談したんだけど。

「普段通りにしときなよ」
「塔子が下手に頑張るとおかしなことにしかならないわよ」

 二人から大変友情深い返答を頂きました。
 なんで私のこと、そんなによく理解してるんだろう、この二人。

 一人で雑誌見ながら母の化粧品使って化粧してみて、鏡の中に出来上がった絶望的な芸術作品に、悲鳴あげて洗い流したのは絶対に言わない。
 迷った末、一番最近買った服を一揃選んだ結果、地味なチェックのスカートにオフホワイトのロングニット。それにいつもの紺のコート。
 なんか制服と変わらない気もする。


 待ち合わせ場所は駅の前。
 時間より5分早く着けば、もう先輩は先についてた。

「早かったね」

 そう言った先輩は、当たり前だけど制服じゃなかった。

 なんとなく、斎藤先輩にはキッチリ着込んだ詰め襟のイメージしかなかった。『城島先輩』は最近学校で見かけてないし。

 でも今日の先輩は二人の中間みたい。いや、無論同一人物なのはわかってるけど。

 カラコンは入れてない。だけどいつもの眼鏡じゃなくて、なんか少し色の入った眼鏡。
 先輩、パーカーなんて着るんだ。
 それにジーンズ。なんかいっぱい破けてる。いや知ってるよ? そういうデザインだって。
 でも斎藤先輩のイメージからは全く想像出来なかっただけ。

 髪はいつものボサボサだから、イマイチ顔が見えないのはありがたい。
 変な笑顔も今日は出てない。

 ホッと安心したその時。

「私服可愛いね」

 一気に顔に血がのぼった。
 やっぱり今日の斎藤先輩は、どこか『城島先輩』が混じってる気がする……。
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