19 / 85
九月、まずは文化祭
18話 次は後夜祭だね
しおりを挟む
それからも先輩は無口で、二人でざっと校内を回った後、わざわざ私の教室まで送ってくれた。
ペンギンくんはお持ち帰りしていいらしい。
「次は後夜祭だね」
それだけ言って、手を離してくれる。そこでまだ手を繋いでたのを思い出した。
慌てて手を引っ込めると先輩がまたあの綺麗な笑顔で手を振った。
先輩、これからずっとあんな笑顔のままなのかな。
そんなことを考えてモヤっとしてる間に、先輩の後ろ姿は人混みに紛れて見えなくなった。
「塔子、あんたなに考えてるの???」
そこで突然、エッちゃんの大きな声が後ろから響いた。
「あ、エッちゃん遅くなってゴメン」
「違う、遅くなったのなんていいよ、それよりなんで塔子が城島先輩と手を繋いでたの???」
謝りつつ振り返った私の両肩を、エッちゃんの両手がガッツリ掴む。
「え? なんのこと?」
訳が分からず問返すと、エッちゃんがじれったそうに私を揺さぶった。
「今一緒に歩いてきたじゃん! 城島先輩と! 手を繋いで!」
「え、待ってそれ絶対人違い。あれは斎藤先輩だよ?」
「うわ、なに言ってんの! そんな訳ないじゃん。あの流し目と金のカラコンが城島先輩じゃなかったら誰だって言うの?」
「え? え? あれだって、あれは斎藤先輩……」
「誰そんなウソをあんたに教えたのは?」
「悦子、なんかうるさいけどなにしてるの?」
騒ぐエッちゃんの後ろからアッコちゃんが出てきた。
「暁子聞いて。この子今、城島先輩と手を繋いで帰ってきた」
「あらまあ。彼氏の斎藤先輩はどうしたの?」
「違うあれが斎藤先輩……」
「そんな訳あるか! 誰が城島先輩を見間違えるっての」
「そうね、あの目立つ先輩を見間違えるのは難しそう」
「え、でも普段はもっとこう、ボサッとしてて目立たなくて……」
私の言葉に、二人が顔を見合わせた。
ペンギンくんはお持ち帰りしていいらしい。
「次は後夜祭だね」
それだけ言って、手を離してくれる。そこでまだ手を繋いでたのを思い出した。
慌てて手を引っ込めると先輩がまたあの綺麗な笑顔で手を振った。
先輩、これからずっとあんな笑顔のままなのかな。
そんなことを考えてモヤっとしてる間に、先輩の後ろ姿は人混みに紛れて見えなくなった。
「塔子、あんたなに考えてるの???」
そこで突然、エッちゃんの大きな声が後ろから響いた。
「あ、エッちゃん遅くなってゴメン」
「違う、遅くなったのなんていいよ、それよりなんで塔子が城島先輩と手を繋いでたの???」
謝りつつ振り返った私の両肩を、エッちゃんの両手がガッツリ掴む。
「え? なんのこと?」
訳が分からず問返すと、エッちゃんがじれったそうに私を揺さぶった。
「今一緒に歩いてきたじゃん! 城島先輩と! 手を繋いで!」
「え、待ってそれ絶対人違い。あれは斎藤先輩だよ?」
「うわ、なに言ってんの! そんな訳ないじゃん。あの流し目と金のカラコンが城島先輩じゃなかったら誰だって言うの?」
「え? え? あれだって、あれは斎藤先輩……」
「誰そんなウソをあんたに教えたのは?」
「悦子、なんかうるさいけどなにしてるの?」
騒ぐエッちゃんの後ろからアッコちゃんが出てきた。
「暁子聞いて。この子今、城島先輩と手を繋いで帰ってきた」
「あらまあ。彼氏の斎藤先輩はどうしたの?」
「違うあれが斎藤先輩……」
「そんな訳あるか! 誰が城島先輩を見間違えるっての」
「そうね、あの目立つ先輩を見間違えるのは難しそう」
「え、でも普段はもっとこう、ボサッとしてて目立たなくて……」
私の言葉に、二人が顔を見合わせた。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
個性派JK☆勢揃いっ!【完結済み】
M・A・J・O
青春
【第5回&第6回カクヨムWeb小説コンテスト、中間選考突破!】
【第2回ファミ通文庫大賞、中間選考突破!】
庇護欲をそそる人見知りJK、女子力の高い姐御肌JK、ちょっぴりドジな優等生JK……などなど。
様々な個性を持ったJKたちが集う、私立の聖タピオカ女子高等学校。
小高い丘の上に建てられた校舎の中で、JKたちはどう過ごしていくのか。
カトリック系の女子校という秘密の花園(?)で、JKたちの個性が炸裂する!
青春!日常!学園!ガールズコメディー!ここに開幕――ッッ!
☆ ☆ ☆
人見知りコミュ障の美久里は、最高の青春を送ろうと意気込み。
面倒見がいいサバサバした性格の朔良は、あっという間に友だちができ。
背が小さくて頭のいい萌花は、テストをもらった際にちょっとしたドジを踏み。
絵を描くのが得意でマイペースな紫乃は、描き途中の絵を見られるのが恥ずかしいようで。
プロ作家の葉奈は、勉強も運動もだめだめ。
たくさんの恋人がいるあざとい瑠衣は、何やら闇を抱えているらしい。
そんな彼女らの青春は、まだ始まったばかり――
※視点人物がころころ変わる。
※だいたい一話完結。
※サブタイトル後のカッコ内は視点人物。
・表紙絵は秀和様(@Lv9o5)より。
創作中
渋谷かな
青春
これはドリームコンテスト用に部活モノの青春モノです。
今まで多々タイトルを分けてしまったのが、失敗。
過去作を無駄にしないように合併? 合成? 統合? を試してみよう。
これは第2期を書いている時に思いついた発想の転換です。
女子高生の2人のショートコントでどうぞ。
「ねえねえ! ライブ、行かない?」
「いいね! 誰のコンサート? ジャニーズ? 乃木坂48?」
「違うわよ。」
「じゃあ、誰のライブよ?」
「ライト文芸部よ。略して、ライブ。被ると申し訳ないから、!?を付けといたわ。」
「なんじゃそりゃ!?」
「どうもありがとうございました。」
こちら、元々の「軽い!? 文芸部」時代のあらすじ。
「きれい!」
「カワイイ!」
「いい匂いがする!」
「美味しそう!」
一人の少女が歩いていた。周りの人間が見とれるほどの存在感だった。
「あの人は誰!?」
「あの人は、カロヤカさんよ。」
「カロヤカさん?」
彼女の名前は、軽井沢花。絶対無敵、才色兼備、文武両道、信号無視、絶対無二の存在である神である。人は彼女のことを、カロヤカさんと呼ぶ。
今まで多々タイトルを分けてしまったのが、失敗。
過去作を無駄にしないように合併? 合成? 統合? を試してみよう。
これからは、1つのタイトル「ライブ!? 軽い文学部の話」で統一しよう。
後悔と快感の中で
なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私
快感に溺れてしまってる私
なつきの体験談かも知れないです
もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう
もっと後悔して
もっと溺れてしまうかも
※感想を聞かせてもらえたらうれしいです
小さきリューク シーズン1
紅刃
青春
高校2年生のリュークは身長152cm!!その上頭も凄く馬鹿で、どうしようもない子。だが、1番この学校の事を良くしたいと思ってる人である。リュークは、学校の友達と学校や街に起きるちょっとした、笑える事件を解決し、身長は成長しない分、心の成長をしていく、青春コメディー。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
サンスポット【完結】
中畑 道
青春
校内一静で暗い場所に部室を構える竹ヶ鼻商店街歴史文化研究部。入学以来詳しい理由を聞かされることなく下校時刻まで部室で過ごすことを義務付けられた唯一の部員入間川息吹は、日課の筋トレ後ただ静かに時間が過ぎるのを待つ生活を一年以上続けていた。
そんな誰も寄り付かない部室を訪れた女生徒北条志摩子。彼女との出会いが切っ掛けで入間川は気付かされる。
この部の意義、自分が居る理由、そして、何をすべきかを。
※この物語は、全四章で構成されています。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
家政婦さんは同級生のメイド女子高生
coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる