斎藤先輩はSらしい

こみあ

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九月、まずは文化祭

12話 これやってみる?

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「これ一緒にやってみる?」

 そう言って先輩が指差したのは輪投げ。
 二年生のその教室には、簡単なゲームが幾つも並べられてて、それに勝てばなんか景品が貰えるらしかった。

「う、運動神経には自信ないんですけど」
「そんな感じだね」

 私のちょっと謙遜も混じってた返答に、だけど先輩が笑って同意する。
 ちょっとムッとした。

 たかが輪投げ。
 いくら運動神経がそれほどよくなくたって、これくらい出来るはず。
 お金払って三つの輪っかを受け取った。

 なんか手渡してくれる二年の先輩の視線が刺さる。
 え、私そんなに下手そうに見えるの?
 でも確かにそれは間違った予想じゃなかったけど。

「あれ? どうして引っかかっちゃうの? え、そんなに力込めてないのに、えー、そっちに投げてない!」

 三投して全部ハズレ。
 輪投げってこんなに難しかったっけ?

「はいこの中から好きな景品をどうぞ~」

 景気いい声に横を見ると、同時に隣で投げてた先輩のゲームボードは、三つのうち三つとも三角コーンにハマってた。
 見上げると先輩がニヤニヤ笑いで見下ろしてる!
 悔しくてもう一戦やってみた。
 結果は同じく全部ハズレ。
 そして先輩は全部ハマってる……

「多分何回やっても一緒だよ」

 声とともに、ポンと頭を叩かれた。
 叩かれたまま、そこになにか違和感が残る。
 なにっと手を伸ばすと、ちっさなペンギンのヌイグルミが乗ってた。

「ペンギンはどーやっても飛べないでしょ?」

 そう言って、牙を見せて先輩は笑った。

 このペンギンはお持ち帰りでいいのでしょうか?
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