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九月、まずは文化祭
11話 吸血鬼、ですか?
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待ち合わせ場所は、やっぱり図書室。
お昼休みは当番じゃないので、違う図書委員の子がカウンターに座ってる。軽く挨拶してる間も、斎藤先輩がいるのは見えていた。
今日は勉強道具も広げてないし、いつもの席に座ってない。
入口すぐの雑誌コーナーで、冊子をパラパラ捲ってた。でも──
「市川さん、行こうか」
──そう言われても、すぐには声が出ない。
だって先輩。
「吸血鬼、ですか?」
そう、先輩は黒のスーツに長いマント、普段ボッサリとおろしてた伸び気味の髪は、今日はオールバックにして後ろで結かれてて、眼鏡もしてない。
カラコンを入れてるのか、目がいつもより明るい金色だ。作り物の牙もある。
極めつけが、見たこともない、もの凄く綺麗な笑顔。
メイクもしてるみたいで、なんか普段と全くの別人みたい。
先輩がいつもよりなんかイケメンに見える気がして、こっちは戸惑いが隠せない。
なのに先輩はバッと自分のマントを翻して説明してくれる。
「ああ、うちはホラー喫茶やってるから。市川さんのところは仮装しないんだね」
「う、うちは男子だけが女装してます」
「それはお気の毒に。じゃあ行こうか」
そう言って、当たり前のように手を差し出されてしまった。
出された手をついジッと見つめてしまう。
え、手を繋ぐの?
えっと繋がないとダメなのかな。
見上げても先輩は全く動じず、綺麗な笑顔を浮かべたまま私を待ってる。
その迫力に押し負けて、私はそっと手を握った。
強く握り返された。
焦った。
でも私の焦りに気づかないのか、先輩はそのまま当たり前のように私を引っ張って歩きだす。
先輩と手を繋いで図書室を出た途端、学校は全く知らない場所になった気がした。
お昼休みは当番じゃないので、違う図書委員の子がカウンターに座ってる。軽く挨拶してる間も、斎藤先輩がいるのは見えていた。
今日は勉強道具も広げてないし、いつもの席に座ってない。
入口すぐの雑誌コーナーで、冊子をパラパラ捲ってた。でも──
「市川さん、行こうか」
──そう言われても、すぐには声が出ない。
だって先輩。
「吸血鬼、ですか?」
そう、先輩は黒のスーツに長いマント、普段ボッサリとおろしてた伸び気味の髪は、今日はオールバックにして後ろで結かれてて、眼鏡もしてない。
カラコンを入れてるのか、目がいつもより明るい金色だ。作り物の牙もある。
極めつけが、見たこともない、もの凄く綺麗な笑顔。
メイクもしてるみたいで、なんか普段と全くの別人みたい。
先輩がいつもよりなんかイケメンに見える気がして、こっちは戸惑いが隠せない。
なのに先輩はバッと自分のマントを翻して説明してくれる。
「ああ、うちはホラー喫茶やってるから。市川さんのところは仮装しないんだね」
「う、うちは男子だけが女装してます」
「それはお気の毒に。じゃあ行こうか」
そう言って、当たり前のように手を差し出されてしまった。
出された手をついジッと見つめてしまう。
え、手を繋ぐの?
えっと繋がないとダメなのかな。
見上げても先輩は全く動じず、綺麗な笑顔を浮かべたまま私を待ってる。
その迫力に押し負けて、私はそっと手を握った。
強く握り返された。
焦った。
でも私の焦りに気づかないのか、先輩はそのまま当たり前のように私を引っ張って歩きだす。
先輩と手を繋いで図書室を出た途端、学校は全く知らない場所になった気がした。
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