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Ⅲ.神器の闘争

17 聖ノ島の再開

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 聖斗達4人は女子2人と向かい合っていて、相手は当然、身構えている。しかし、聖斗達はこちらから夜襲をかけているので、負ける気はしていない。同じ新兵候補でもこちらが上だと思っているからだ。空には月の光で相手が良く見える。それにしても敵の宿舎から離れた所に女子二人がいるとは思ってもいなかった。特に聖斗はあのギャルギャルしい女子高生がこんなところにいて、しかも目の前にいるのはそのギャルギャルしさが無くなり、見た目がだいぶ落ち着いている。だからといって、動揺するわけでもなくまたは元の世界から来た者同士、再開を喜び合うつもりも無い。ただ、脱皮する為の卒業試験、つまりはオロチの兵として一人前になるのを阻む存在がいれば女子だろうと顔見知りだろうとこの場で息の根を止めるだけだった。
「オロチがなぜここにいる。しばらくは大人しくしていたはず。嫌な予感がする!」
アヤナの隣の女子が話出した。印象はアヤナより強い感じである。
「その通り。ここを潰しにこさせてもらった。すでに、他も部隊が侵攻している頃だ」
「ここには、強い教官達がいる。そう簡単に落ちるわけないじゃない!」
聖斗がこの島を簡単に落とせると思っている口ぶりに聞こえたアヤナはそれに反論した。
「強い教官には強い教官。俺たちの教官がお前達を簡単に越えて、行っただろ」
アヤナの隣の女子は険しい表情になり、アヤナはそれを見た。
「ねぇー、あんた。この状況、まずいわよね?」
「非常にまずい!それとあんたじゃない!琴吹サエ。今はそれどころじゃないけど」
アヤナの隣の女子は琴吹サエという名前があることを言う。
「じゃあ、サエって呼ぶから」
「好きにして。東条」
「アヤナって呼んで!」
アヤナと琴吹のやり取りを見て、聞いていた。聖斗達は笑みを浮かべる。
「状況がわかってないのかしらね!」
「フッ!」
「レナ・エリ、一応油断はするな」
二人を見下すように笑っているレナとエリに釘を刺すジンだった。
「今頃、自己紹介してんのか。能天気なことだ。お前らの仲間達はもうそろそろ・・・」
「サクヤ・・・」
アヤナはサクヤのことを思い浮かべる。大丈夫なのだろうかと心配してしまった。
「とにかく、二人でこいつらの進行を食い止めるよ!」
「それにしても本当に別人になったな。何があったか知らないが、今さら正義のヒーローか。お前は本来ならこっち側の人間のはずだ!」
アヤナとここで再開した時、実は一瞬わからなかった。あの不良のギャルがここまで見た目が落ち着いていたからだ。しかし、翌々見ていくと、元の世界であの時に自分を囲んでリンチしようとしたリーダーの女子高生であることがわかった。あの時は、力が相手の方が上だったと思っていたが、今は自分が上である自信があった。殺してしまうまで手間がかからないほどの自信が聖斗にはある。
「アヤナ、どういうこと?こいつが言っていることって本当?」
サエはアヤナに振り向いて問う。オロチ側つまりテロリスト側の人間であってもおかしくないとは。どうせテロリストのハッタリか勧誘手段なのだろうと思っているのだが、アヤナの様子を見ているとあながち嘘では無いかも知れないと。それに、少し前に知り合いであることもアヤナは認めている。さらに、アヤナが不良?ギャル?とは一体どういうことなのだろうかと、最初は自分より格下と眼中には無かったがアヤナとバトルしたり、様子を見ていると気になるようになってしまった。
「サエ、実は私、この世界の人間じゃない。信じられないと思うけれど」
「異人・・・。何か雰囲気が違うと感じていたけど」
自分が異世界の人間であることをサエに告げた。このことを知っているのは、今の所、久木アマネと大巫女だけだろう。サエの反応は思ったほど驚きの表情にはならなかった。これが逆に聖斗やアヤナの居た世界に異世界人が来たらサエの様な反応が出来るのだろうか?そして、なぜその異世界人がここに来たのか。それは聞かずともアヤナの方が答えてくれた。
「そう。そこにいる男を追いかけに来たからよ!」
サエがその言葉で勘違いをする。
「恋人?」
「はぁー?何いってんだ。冗談じゃねぇー!」
聖斗が反応し、否定した。すると、後ろにいるレナが反応する。
「聖斗の話って、本当だったんだ!」
レナ達三人は聖斗から前に話を聞いていて、このやり取りで完全に確証に変わった。
「言っただろ。そういうことだ。それでお前、こっちにこないか?お前とはあっちでいろいろあったが、水に流してもいい?」
改めて、聖斗はアヤナの方をみて、オロチに勧誘する。
「あんた随分、悪人面になったわね。私に対してあんなに正義感ぶってたのに、こっちに来て正反対になったわね?」
「そうだな。お前こそ一体何で、アマテラスに?」
「それはこっちが聞きたいこと。まさか、テロリストまで堕ちているなんて、ビックリ?今度はこっちが目を覚まさせてやるから。大人しく負けなさい!」
アヤナの圧気が上がっていくに連れ、周囲の空気も呼応する。緊張が高まる。聖斗達の方も圧気も開放する。圧気がぶつかりつつあった。
「あんたが何でテロリストに?」
「生き残る。それが全てだ!生温くなったお前とは違う」
「生温くなったつもりは無い。こっちに来て目が覚めただけ!」
聖斗が笑みを浮かべ拳を前に突きだした。アヤナとサエは攻撃してくるのではないかと予想し、身構える。
「残念だよ。お前らは俺が狩ってやる。今はお前なんかに負ける気がしない」
周りから風が集まってきて、拳に集中する。
「このまま風が奴に集まるとまずい」
サエが聖斗に飛びかかろうとすると、エリの掛け声がする。
「セイト!」
「わかっている」
聖斗はサエの攻撃を読んでいて、かわす。
「チッ!」
サエは外したと言うより、外されたという感じでだった。
「あなたの知り合い、強いわ。恐らくあなたよりも」
「今度はこっちのターンだ。すぐ終わるだろう」
やがて周囲からの空気の流れが止まり、聖斗の拳は圧縮された風を纏っている。そして、その力を開放しようとした時に、後ろにいたジンがある提案をしてくる。
「聖斗こいつらはレナとエリに任せて、俺たちは先に行かないか。今のお前じゃこいつらは物足りないだろ?」
「ふん。ここは二人で大丈夫だろう」
「私達に任せて。すぐに追いかけるから」
レナとエリが前に出てきて、アヤナとエリに相対する。レナとエリはオロチの特徴的な露出度のある戦闘服を着ていた。
「ここでお別れだな。この二人は強い。ここでお前らは死ぬ。じゃあな!」
聖斗とジンはアヤナとエリの横を通り過ぎて、先に行こうとするが、相手は妨害してくる。
「行かせるわけないでしょ」
アヤナとサエは自分たちの横から素通りを阻止しようとしたが、相手の強い力で弾かれてしまう。
「邪魔だ!」
倒れ込んだ二人は立ち上がり追いかけようとするが、あの二人の姿は暗いせいか見えない。エリとレナは追わせないように、二人の行手を阻もうとする。
「私達の存在を忘れないでもらえる」
「ここで殺させてもらうわ。恨みわないけど、任務だから」
レナとエリは二人に対して、不敵な笑みを浮かべている。
「オロチって、ニヤニヤして気色悪いのバッカリなの。何か前のこと思いだしちゃうわね!」
「まずはこいつらを倒してから、今度、聞かせてもらう。今、こいつらに集中!」
この月夜の大木の森の下で乙女同士の命懸けになるかもしれない戦いが始まろうとしていた。
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