神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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決戦のグレイス城編

第176話 タイマン

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BB「あら、ヘイスレイブに屈したあなたに今更何が出来るというのかしら?」

BBは振り返らずに声をかけた。

ツグル「誰だ?」

カナメル「、、、ここでタイマンに持ち込まれるのはマズイな。奴はおそらく、敵だ」

そこにいたのはヘイスレイブの牢獄から脱獄したオガリョだった。

オガリョ「敵か、、、確かに償うには重過ぎる罪だが、お前に借りを作ったまま牢獄で眠るのは気持ちが悪い」

オガリョは背に生えた虫の羽でパタパタと飛んでいる。

カナメル「借りを作ったつもりはないけど」

オガリョ「お前が一度焼き殺した命だ、ここでお前を先に送って、借りはチャラにさせてもらう」

ツグル「味方なら助かる」

BB「虫が一匹増えたところで状況は変わらないわよ、オガリョくん」

オガリョ「BB先生の空間転送魔法は厄介だが必ずゴールはある。学生時代を思い出して突き進めよ、カナメル。この先にもきっと立ち塞がる者がいるだろう」

カナメル「またお前は俺を追いかけることになりそうだな。あの時は途中で時間切れになったそうだが、今回はちゃんとゴールまで追いかけて来い」

ツグル「ちょっと待て!!三人で戦えば良いだろ」

カナメル「いや、立ち塞がる者がいるのならここで消耗している場合じゃない」

オガリョ「そういうことだ。これで借りは無しだ」

オガリョの体から黒い霧が噴射された。

霧は辺りに充満し、ツグル達は視界を遮られる。

BB「あら、いつの間に自空間魔法を」

BBの声を最後に霧と共にオガリョとBBは消えた。

ツグル「二人はどこに行ったんだ?」

カナメル「強制的にタイマンせざるを得ない空間さ。奴が味方で良かったよ。今はね」

ツグル「あいつは大丈夫なのか?」

カナメル「さぁね、それよりも俺達は先に進もう」

ツグル「分かった」

ツグルとカナメルは扉の先へと進んだ。

扉を抜けると廊下にしては広い一本道が果てしなく先へと続いているようだった。

ツグル「グレイス城の大廊下だ、でも終着点が見えないほど長いわけがない」

カナメル「これもBB先生の魔法で空間が伸ばされているんだろうな。普通に歩いたら相当な時間と体力を消耗するだろうね」

ツグル「一気に駆け抜けるか」

ツグルは足に闇の魔力を集めた。

カナメル「そんなに魔力を使っても大丈夫なのか?」

ツグル「俺の魔法は身体を酷使するけど、魔力切れに困らされたことは一度もない」

カナメル「ふーん、まぁ明らかに普通の魔術ではないもんね」

ツグル「よし、捕まってろ。行くぞ!!」

ツグルは思いっきり地面を蹴り、一直線に廊下を跳んだ。

~~~~~~~~~~~~~~

ツグルの活躍によって、果てしない廊下の終着点に辿り着いた。

歩いていたら本当に丸一日くらいかかっていたかもしれない長さだった。

大きな扉の前でツグルは床に座り込んだ。

ツグル「はぁ、、、はぁ、、、ついたな」

カナメル「お疲れ、敵がいなくて良かったね」

ツグル「ただ長いだけだったな。にしては長過ぎるだろ」

カナメル「門の前のモンスター達を突破出来ると思っていないが故に、グレイス城内部は手薄なんだろう。それか手薄でも十分に守り切れると考えているのか。いずれにしてもこういう時間稼ぎがあるなら厄介だな」

ツグル「少し休憩したら、先に進もう」

カナメル「移動系魔法が無い奴はこの廊下でタイムアップだっただろうね。BB先生のやりそうな課題だ」

カナメルは懐かしむように一点を見つめている。

ツグル「確実にセリアへと近付いている。このまま突き進もう」

カナメル「あとはゼウスとオダルジョーとさえ当たらなければ、そのままエンディングの予定だよ」

二人は、大扉の先に立ち塞がる強者を知る由もなかった。
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