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マイケルの自空間編

第145話 過去を終わらせる者達

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ムーが目を開けると、荒れ果てた荒野が広がっていた。
青い木々と緑色の水溜まりが見える。

見覚えのある景色にムーはため息をついた。

ムー「見れば見るほど、過去の自分を呪いたくなる」

この大地でムーは師匠と呼べる者に出会い、弟子と呼べる悪魔を生み出してしまった。

サイラスさえいなければ、幸せな日々が続いていたと思ったが、結局のところ無の神がこの大陸を壊していただろう。

「お久しぶりですね、先生」

懐かしい声にムーは舌打ちをした。

ムー「またテメェをぶっ殺せると思うと、ワクワクするなぁ」

振り返るとそこにサイラスがいた。

サイラス「俺も先生にリベンジすることが出来て、、、最高の気分ですよ!!!」

サイラスは話しながら太陽属性の魔法を放った。

ムー「互いに言葉はいらねぇよな。テメェの時間はあそこで止まっちまってるんだろうが、僕はあの頃よりも強くなってる。残念だがテメェに勝ち目はない」

月属性の魔法がそれらを全て跳ね返した。

その後もムーは魔法を跳ね返し続けるだけで、サイラスは疲弊していった。

サイラス「何故だ、、、何故勝てない!!!」

ムー「未来を見てるか、そうじゃないかってところだろうな」

サイラス「俺は、、まだ!!!」

サイラスは太陽属性の槍を生成し、ムーへと投げつけた。

ムー「テメェはもう存在しない。出来れば僕の頭の中からも消え去って欲しいが、それは出来ない。仕方ないから僕だけがテメェを覚えといてやる。だから、もう消えろ」

ムーはサイラスの太陽の槍を跳ね返した。
真っ直ぐに跳ね返った槍はサイラスの胸を貫いた。

サイラス「ぐぁぁ、、、、」

胸からジワジワと身体が溶けていく。

ムー「本当、恐ろしい魔法だな。太陽属性ってのは。悔しいがテメェを倒すことが出来るのは僕だけだろう」

サイラスは跡形もなく溶け、マグマが地面に広がった。

ムーはため息をついた。
このまま扉から帰ってしまおうかとも思った。

きっと次に出てくるのは、、、、

「ムー、久しぶりだね」

何もないところから、想像通りの人物が姿を現した。

ムー「マイカ姉さん」

あの日の変わらないマイカがそこにいた。

マイカ「こんな形で戦うことになるとはね」

ムー「戦わないっていう選択肢はないのか?その魂を現実世界に持っていけば、僕のように魂として生きることが出来るかもしれない」

マイカ「無理だよ、今の私はモンスターに完全に吸収されちゃってるからね。モンスターの防衛反応として君を駆除するようにプログラミングされて、ここに来てるだけなんだ」

ムー「、、、、昔の僕なら、それでも諦めずにマイカ姉さんと共に生きる術を探しただろうな。闇魔法でも何でも使って」

マイカ「もちろん、今の君は違うんだよね?」

ムー「魔法以外取り柄のない、何もない僕だったが、今は生きていて欲しい奴等がいる。守らなきゃいけない未来がある。僕にしか出来ないことがあるもんでね、迷っている暇なんてないのさ」

マイカはニッコリと笑った。

マイカ「流石、自慢の弟子だよ。君は」

ムー「僕は未来に進むよ。始めようか、マイカ姉さん」

マイカ「せっかくだから、楽しもうか」

二人の魔法がぶつかり合う。

~~~~~~~~~~~~~~

数分後、リキッドの棺桶からムーが出てきた。

リリ「え!?早くない!?」

マイケル「おそらく、記憶の世界での時間と現実世界での時間にはズレがある。我々からすれば、ムー君は先程棺桶に入ったばかりだが、きっと彼の時間はそんなに短いものではなかっただろう」

ムーはどこかスッキリとした面持ちで答えた。

ムー「とりあえず、記憶にある奴等はぶっ殺しておいた。知り合い程度の教団の奴等もな」

ムーの身体には傷一つついていない。

リリ「あれ、記憶の世界でもやられたら死んじゃうんだよね?ムーは無傷のようだけど」

ムー「フン、僕を誰だと思ってんだ?」

リリ「ほー、流石は大魔導士様だ」

ムー「さっさと終わらせよう。次は誰が行く?」

リキッド「俺が行こう」

リキッドが即答した。

ムー「余すことなく殺してこいよ?」

リキッド「目的のためなら手段は選ばない」

リキッドは棺桶の中へと入った。

ムーは棺桶に手を当て、魔力を流し込む。

ムー「まぁ、テメェは感情で戦えなくなるような奴じゃねぇってことは知っているさ」

落ちていたリキッドの肉体が消えてなくなった。

マイケル「ムー君、魔力はまだ残っているかい?戦闘の後だ、あまり無理をするなよ。もし魔力が尽きたら日を改めて、、、」

ムー「大丈夫だ、日を改めるなんて時間はねぇだろうが。セリアは今この時も身体を弄りまわされてんだろ?」

マイケル「、、、ありがとう」

ムー「気を遣うな。テメェは無の神を殺すことだけを考えやがれ」

マイケル「ああ、そうしよう」

そうこうしているうちに棺桶が開いた。

中からリキッドが出てきた。
服の裾が少しだけ焦げている。

ムー「本当に早ぇな。リリが驚くのも無理ない」

リリ「でしょ!?ちゃんと殺して来たのか疑っちゃうよね」

リキッド「大丈夫だ、余すことなく消したよ。知人によく喋る奴がいてね、奴に時間を取られたが、現実世界では大した時間じゃないようだな」

リキッドは焦げた裾を払った。

リキッド「さて、俺も少しはこの世界のヒーローになれただろうか」

ムー「ヒーローかどうかはデストロイヤーを倒してから問いやがれ」

リキッド「それもそうだな」

リリは何かを考えている様子である。

リリ「私の大陸でそんなに強い人なんていなかったんだけどなぁ、強いて言えばズーマー博士くらいかな?結局魔法を使える人が私くらいしかいなかったから、、、でもまぁ良いか。とにかく覚えてる人を殺せば良いんだよね、強いか弱いか関係なく」

リリはバイバーイと手を降り、棺桶の中へと入った。

リキッド「遠足にでも行くような雰囲気だな」

ムー「違いねぇ」

リリの棺桶の肉体が消えた。
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