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分裂のトルコネ編

第133話 ビッグブリッジの死闘

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ダイス「お前は、、あの時の!!ゾンビ女!!」

チェルシー「私はゾンビ女じゃなくて、チェルシーよ!!今回はあのゾンビ男はいないみたいね。前回の悔しさをバネに私は強くなったのよ!!生き埋めになんてもう絶対絶対絶っ対にされないんだから!!」

チェルシーは怒りをあらわにしている。

リリ「何、知り合い?引き裂いても爆発に巻き込まれても死なないのは、生体反応を感知しないことと関係あるのかな?」

チェルシー「せいたいはんのう??何のこと?」

リリ「分からないなら良いや、死なないんならどうしようかね?」

リリはダイスとモモの顔を見た。

モモ「川に落としますか?」

ダイス「俺の魔法で動けないように縛り付けるか」

リリ「どっちもアリだね」

チェルシー「残念でした~、私と対峙する人は皆そんなことを考えるでしょ?そのために先生はこの魔法を教えてくれたのよ」

チェルシーはチェーンソーを自分の心臓に突き刺した。

大量の血が溢れ出ている。

ダイス「うっわ、きっついわぁ」

ダイスは思わず口を抑えた。

血まみれになったチェルシーは、また血を槍のように固めた。それらは宙に浮き、矛先がダイスに向けられる。

それと同時に血溜まりもそのまま固まり、チェルシーは血の板に乗ったまま宙に浮いた。

リリ「川に落ちても上がって来れるし、縛り付けたとしても、鉄をも貫通する血の槍で切り裂くってわけか。どーしたもんかねぇ」

数としては三対一、こちらが有利である。

ダイス「数じゃこっちが勝ってるんだ、お前に勝ち目はねぇよ!」

ダイスは一本の木の矢を放った。
それらはパキパキと音をたてて数を増やし、チェルシーの元に到達する頃には千本の矢となっていた。

チェルシー「当たっても意味ないけど、当たらなかったらもっと意味ないわ」

チェルシーの指示により、複数の血の槍が正面で円を描くようにグルグルと高速回転した。
千本の木の矢はプロペラのように回転する血の槍に砕かれてしまう。

ダイス「俺も強くなったけど、あいつもあの時より段違いに強くなってる!!」

感心しているダイスだが、血の槍はそのままダイスに向かって真っ直ぐに伸びた。

モモ「ほら!!油断しないで!!!」

モモの防護壁により、矛先がダイスを貫くことはなかった。

チェルシー「私の魔法を止めたの!?なんて防御力、、、、先生!!見てるんでしょ?あれを壊すにはどうしたら良いの!?」

チェルシーはどこかの誰かに向かって大声を出している。
しかし、その声に返答はないようだった。

チェルシー「どうせ近くで見てるくせに!試練ってこと?良いわよ、望むところよ!!」

チェルシーは自問自答をしてから、そのままモモとダイスへと距離を詰めた。

チェルシー「死ねぇぇえ!!!!」

血の槍は更に数を増し、モモの防護壁へと降り注ぐ。
チェルシーのチェーンソーはジリジリと火花を散らしながら、防護壁を削っている。

モモ「なんて攻撃力、、、、あまり長くは持たないかも」

ダイス「どうする!?どうする!?リリさん!」

リリを呼んだが、リリは熟考するように目を閉じている。

ダイス「何やってんだよ!!くそ!俺が何とかしないと」

ダイスはありったけの魔力を地面へと注ぎ込んだ。

ダイス「やるなら今しかねぇ!!創造魔法の極意を見せてやるぜ!!来い!!俺の最強の樹海!!」

石造りのナレー大橋はメキメキと音を立て、謎の植物がニョキニョキと生え出した。

石の隙間から蔦が伸び、チェルシーの手足を縛りつけた。
血の槍の動きを止めようと蔦は伸びるが、そうさせまいとクルクルと回転する槍に断ち切られてしまう。
しかし、また新たな蔦が伸び、断ち切られ、また伸び断ち切られ、それを繰り返していた。

そうこうしているうちにニョキニョキと成長している謎の植物は大きな人喰い草となり、一斉にチェルシーを食べようと襲いかかった。

蔦の相手をしている血の槍がそれを止めることは出来ず、チェルシーは人喰い草の餌食になってしまった。

モモ「技のネーミングセンスはさておき、あんたやるじゃん!!」

防護壁が破られる前に動きを封じたダイスの背中を、モモが思いっきり叩いた。

ダイス「痛っ!!!強すぎだろ!褒めるなら叩くなよ!!」

モモ「ごめんごめん!!」

血の槍は液状になり地面に広がった。

ダイス「人喰い草の中にはネバネバとした消化液がたっぷりと入っている。ヘイスレイブの樹海に生息する人喰い草にアレンジを加えたものだ。動きを封じ、尚且つ徐々に身体は溶けていく」

カッコつけているダイスだったが、チェルシーを食べた人喰い草が流血と共に弾けた。

そのまま他の人喰い草は新たに生成された血の槍に切り裂かれた。

弾けた人喰い草の中にチェルシーはいなかった。
代わりにチェルシーだったはずの肉片が転がっていた。

ダイス「モモ!防護壁を解除するなよ!再度樹海を展開する!!」

まだ不完全なダイスの樹海は、蔦の生成はすぐに出来ても人喰い草の生成には時間がかかるのであった。

チェルシー「形成逆転ね」

肉片がメキメキと音を立ててチェルシーが形作られていく。

チェルシーはまた血の槍とチェーンソーで防護壁を削る。

モモ「マズイ、、、」

チェルシー「どんな訓練でも私の攻撃を止めることは出来なかった、こんなに硬い物質は、、、初めてよ!!殺しがいがあるわ!!!」

チェルシーは楽しそうにモモを見つめた。

リリ「はいはいお待たせ~」

リリの声と共にチェルシーはピクピクと痙攣し、動きを止めた。
血の槍もまた液状に姿を変えた。

チェルシー「ああぁ、、ああ!!!!!」

よく見るとチェルシーの首には首輪が繋がれていた。

リリ「実際に触れたことがあったわけじゃなかったから、生成に時間がかかったんだ。過去にこんな拷問器具を見たことがあってねぇ。んじゃ、さいなら」

リリの魔法により小型ドローンが召喚され、痙攣するチェルシーを捕まえた。
そして大橋の外、川へと強制的に移動させる。

チェルシー「やめ、、あぁあああ!!!!!」

リリ「雷魔法のエキスパートじゃないけど、少ない魔力にも反応して局所的に電撃を流し、魔力の使用を中断させる作りにしてあるの。それが首についてるんじゃ体も痺れて何も出来ないでしょ?川に落ちても死なないんだろうけど、そのまま流されて海の怪物に食べられるってのもアリだよねぇ」

リリが指を鳴らすと小型ドローンは爆発し、チェルシーの腕は吹き飛んだ。

チェルシーは慟哭しながら川へと直滑降に落下した。

リリ「さて、一件落着!!二人ともよく頑張った、おつかれぃ」

ダイス「解決策が閃いたなら、言ってくれよ!!快く時間稼ぎをしたわ!」

モモ「また北ゲートの時のように、突然の頭痛に悩まされているのかと思いました、、、、」

リリ「言葉でどうこう言うよりも、一秒でも早く結果を出した方が良いでしょ?邪魔者もいなくなったということで、再出発!」

リリがヘリコプターを生成しようとしたその時。

泡に閉じ込められたチェルシーが浮遊し、ナレー大橋の上へと着地した。

リリ「おっと?」

泡は弾け、首の装置が外された。

チェルシー「ごほっ!!ごほっ!!!!殺してやる!!!」

チェルシーが自分の手を噛み、血を流したところで、何者かの声が響いた。

「相手の力量も分からないようであれば、初歩魔法からやり直しね」

チェルシー「うるさい!!!先生は黙ってて!!」

先生と呼ばれた者は霧と共に現れた。

その姿は三十歳半ばのような風貌で、魔女帽を被った女性の姿だった。

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