神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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分裂のトルコネ編

第131話 リリパイセンの授業

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リリは空間に地図を広げながら、進むべき道を模索していた。

リリ「リキッドは正面突破をするつもりで動いてるんだろうけど、良い作戦だとは思えないんだよねぇ。だってグレイス城周辺には多くの生体反応がある、多分自我を失った化け物達だと思うんだ」

ダイス「それは得策じゃねぇな、うん。合流したいのは山々だけどさ」

ダイスがすぐに同調した。

モモ「リリパイセンのヘリなら敵の攻撃を受けないんじゃない?」

リリ「いや、敵に空を飛ぶ奴がいてもおかしくない。やっぱ空じゃなかったかぁ~じゃ済まないからね。グレイス領に入れば、陸にはウジャウジャと化け物がいるわけだから」

モモ「確かに、、、リスクが大きいというわけですね」

リリ「行くとすれば、、、こっちからだね」

グレイス領とフォールドーン領の境目にある大きな川、その上に架かる巨大な橋。

リリ「別に敢えて橋を渡る必要は無いけど、退避出来る状況を作っておいた方が今後のためになるはず。この橋を占拠しちゃおう、実際この橋にはまだ誰もいないようだしね」

ダイス「誰もいないなら、行くしかねぇじゃん!よし、行こう!!」

リリ「よし、決まりだね。じゃあ道中暇だろうし、創造魔術の真髄を教えてあげようか。二人とも運良く木と鉄っていう創造魔術を手にしているわけだし!」

モモ「マジっすか!!お願いします!!」

ダイス「よっしゃー!!!待ってました!!多分リリパイセンは俺の目指す戦闘スタイルの最終地点だと思うんだ!!」

モモとダイスは目をキラキラとさせてリリを見つめた。

リリ「うーん、それは少し違うかなぁ。私のは鉄と雷と油とその他色々な魔術を組み合わせて出来上がる複合魔術だから。主に鉄を使っているとはいえ、モモちゃんが私の魔法を使えるようになるには、軽く見積もっても20年はかかる。ダイス君は木だから、、、複合魔術には向いていないね」

ダイス「え!?リリさん、そんな複数の魔法を使えるの?」

リリ「そうだよ~、鉄の塊を作り上げるだけなら鉄魔法だけで良いけど、機械として動かすにはそれ以外にも魔法を使えるようにならなくちゃダメだからね。まぁ、とはいえほんの少し扱えるようになるだけで良いから、そんなにハードルは高くないけど。あと、ダイス君なら分かると思うけど、リアルに創造するためには、その創造する物の構造を熟知していなきゃダメなんだ」

ダイス「ほぉぉ、、、、なるほど。確かに、頭の中で細部まで組み立てられるものしか作ることが出来ないな。だからこそムー様の授業でヘイスレイブの樹海で過ごした日々は俺にとって重要な経験となったわけだ」

モモ「獣達も獰猛だったけど、あそこは何よりも草木が厄介だったからね、、、、ああ、思い出したくない!」

モモとダイスは当時の辛い日々を思い出し、震え出した。

リリ「流石はムーの指導を受けているだけあるね。ムーは創造魔術専門じゃないだろうけど、きっとよく言っていたと思うよ。オリジナリティを出しやがれってね」

ダイス「お!言ってた言ってた!!俺には猿知恵を搾り出せって言っていたなぁ」

リリ「ダイス君はさ、見た事あるもの以外作ったことある?」

ダイスはポカンとしていた。

ダイス「いやいや、リリパイセン~何言ってるんすか。細部まで分からなきゃ作ることが出来ないってさっき言ってたじゃないっすか。要するに、見たことがあるものしか作れないって事ですよね?実際俺も色々作ってみようと試したけど、鮮明に記憶にあるものしか作れなかったから、あ~見たことあるものしか作れないんだなと思っていました」

リリ「チッチッチ」

リリは得意げに人差し指を揺らしている。

リリ「勿体ないよ、お猿君。木属性はね、複合魔術に向かない代わりに、創造魔術の中では最も自由度の高い魔法なんだ。作りたいモノは何でも作れるよ」

ダイス「え!?そうなの!?」

ダイスはニヤニヤが止まらない様子である。

リリ「鉄は単品じゃ自由度が低いんだ、でもね、モモちゃんの硬化魔術にはピッタリ!!形を保つという点においては鉄以上に優秀な魔術はないよ」

モモ「そうなんですか!?」

モモはヨダレを垂らしている。

リリ「本当二人とも、運命的な適正魔法だよね。その適正はムーが見たんだよね?きっと」

モモ「そうです!鉄って言われた時はがっかりしましたけど、、、」

リリ「とりあえずヘリに乗って、授業を開始しまーす」

リリは一瞬でヘリコプターを作り上げ、起動した。

ダイス「数種類の魔術を構築して、尚且つこの速度でモノを作り上げる。。。。俺は決して複雑じゃないバリスタを作るだけで数分はかかるってのに」

創造魔術を使うダイスにとって、リリの魔法は信じられない境地に達していることが理解できた。


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