神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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分裂のトルコネ編

第128話 骨魔法?

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ツグルはリキッドの戦い方を日々研究しながら、グレイス城を目指していた。

グレイス領に踏み込んでから、自我失によって彷徨う騎士の姿を度々見かけるようになった。

当時のツグルは怖くて手も足も出なかったが、今となっては敵ではない。

しかし、グレイス城に近づくにつれて、その姿は徐々に人の形とはかけ離れていった。

トルコネで見たバケモノがウヨウヨと人肉を食らっていた。

リキッド「あれも元は人だったのだろうが、、、今となってはモンスターだ。あの程度のレベルは一瞬で討伐出来なきゃ話にならないな」

ツグル「リキッド、俺は今のままじゃ攻防一体の戦術を会得出来そうにない。それは何故かと考えた。俺の闇魔法は体内で構築し、骨や皮膚を変形させたり、黒化による硬質化によっての肉弾戦を繰り出す魔法だからだ」

リキッド「ほう、んで、解決策は閃いたのか?」

ツグル「同じように戦うには、身体の外に闇魔法を行使する術を身に付けなければならない」

リキッド「良い着眼点だな」

ツグル「でも、そのやり方が分からない」

リキッド「そうだなぁ」

リキッドは眉間に皺を寄せて言葉を発した。

リキッド「そもそも、氷というのはこの世に存在する物質だ。氷の壁をイメージして練り上げた魔力を、そのイメージ通りに組み立てれば、氷の壁を形成することが出来る。じゃあそもそも、闇ってなんなんだ?って話だ」

確かに、闇という物質はこの世に存在しない。
正確には実際に目で見たことがない。

ツグル「、、、なんなんだろうな」

改めて自分が、自分でも良く分からない魔法を扱っていることに気がついた。

リキッド「だが、考えてもおそらく正解は出てこない。要するに時間の無駄だ。じゃあもっとシンプルに考えよう、お前の戦い方に直結しているものは何だ?」

ツグル「身体、、」

リキッド「その中でも特に身体のどこが直結している?」

ツグル「骨と皮膚か」

リキッド「変形と硬化が出来るのであれば、新たに生み出すことも難しくはないんじゃないか?」

ツグル「どういうことだ?」

リキッド「具体的に言おう、骨の壁を作れ」

ツグル「!!!!」

その発想はなかった。
ツグルの身体に衝撃が走った。

リキッド「骨魔法なんてものが実際にこの世にあるのかは分からん、それは再会した時にムーにでも聞いてくれ。例え無かったとしても、俺にはお前の戦い方は骨魔法を行使しているように見えていた」

ツグル「なるほど」

ダイスは何もない場所に巨大な木を出現させていた。
もし骨の変形じゃなく、そこに骨を出現させることが出来れば、不可能ではないと思った。

リキッド「もちろん、身体能力の強化やその禍々しい色合いは、ただの骨魔法じゃないことを物語ってはいるが、、、いずれにしても、お前は無限の可能性を秘めている」

リキッドはツグルの肩を掴んだ。

リキッド「もし身体中を黒化して、とんでもない身体能力を維持し続けられれば、タカのような破壊的な戦い方が出来るだろう。足の黒化を極め、闇を斬撃と共に放出することが出来ればトゥールのようにもなれる」

ツグル「マジかよ」

リキッド「だが、そうなるには何年もの修行が必要だろう。ちなみに大地を動かしたり、一瞬で機械を作り上げたり、何種類もの大型魔法を連発するのも不可能だ」

ツグル「おい、無限の可能性があるって言っただろ。上げといて下げるの早過ぎるだろ」

リキッドは鼻で笑った。

リキッド「どれも時間をかければ可能性はある。だが俺の魔法は骨の出現さえ出来れば今すぐにでも再現可能だ」

ツグル「確かに、骨を氷のように使えば、リキッドと同じことが出来るかもしれない」

リキッド「俺の魔法は極限までシンプルさを追求しているから誰にでも扱うことが出来る。戦いってのは複雑に見えるが結局のところ突き詰めれば、守るか攻めるかの二択だ。そうやってシンプルに考えることで、戦況を冷静に判断する余裕が生まれる」

ツグル「守るか攻めるかの二択か、そんな風に考えたことはなかったな」

眼前には元々人だった魔物が蠢いている。

ツグル「試してみるか」

ツグルの新たな試練が始まった。
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