神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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混沌の北ゲート編

第99話 覚醒

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リリ「はぁ~私は色んな魔術を忘れていたようだよ、凍結なんてリメイクしてしまえば簡単に解除出来るのに」

リリは頭を掻きながら悔しそうに機械を操作している。

セリア「身体は大丈夫なんですか?」

リリ「うん、大丈夫!!嫌な夢を見ていただけ、あ!!このままトゥールの言う通り離脱しても良いんだけどさ、ちょっと助けてやりたい奴がいるんだ」

リリは上昇させたヘリコプターをそのままの高度でとどめ、扉を開けた。

プロペラの騒音と風が一気に流れ込んでくる。

リリ「あんたも記憶が流れ込んできて、動けなくなってたんでしょ?」

リリは独り言を言いながら、手元に大型のスナイパーライフルを召喚した。

リリ「あんたは手を出すなと怒るだろうけど、あんたが死んだら皆悲しむんだよ、意外とね。それに、今あんたを助けられるのは私だけっぽいし」

リリはスナイパーライフルを覗き込んだ。

ダイス「誰と喋ってんだ?」

リリ「独り言だよ、助けてあげるのに文句言われるのシンドイから、言い訳してるの」

リリが覗き込んだ先には、ゼウスに首を掴まれ苦しむタカの姿があった。

ツグル「何も見えないが」

リリ「だろうね、だから私にしか助けられないっぽいのよ」

リリはゼウスの胸に標準を合わせる。

リリ「こんな大技を忘れていたなんてねぇ、、、見ていてよ、これが私の、最高傑作!!」

リリが引き金を引くと、反動でヘリコプターが傾いた。

そして爆音と共に遠くにクレーターのような巨大な穴が出来ていた。

ダイス「おいおいおい、ライフルの威力じゃねぇだろ!!隕石でも降ってきたか!?」

ツグル「タカは無事なのか?」

リリ「あ~、あいつは頑丈だから平気。ゼウスも仕留められやしないけど、とりあえず平等な戦いにはなったでしょう~」

リリはヘリコプターの扉を閉めた。

リリは悔しそうに唇を噛み締めている。

リリ「モモちゃん、ヘリコプターを漆黒の騎士の斬撃から守ってくれてありがとね」

モモ「いえ、、、フルネス将軍のおかげで、ほとんど破壊力はありませんでしたから」

リリ「でもモモちゃんが硬化をしてくれなかったら、今頃皆真っ二つだったよ。その、フルネス将軍って方、ちゃんとお礼を言いたかったな、、、、」

セリア「今からでも、、、私が歌えば、、、」

リリ「ダメだよ、セリアちゃん。言ってたでしょ?歌えば歌うほど、漆黒の騎士は力を増していく。今歌えば、トゥールとタクティスが死んじゃうかもしれないよ。そうだとしたら私は何を許して、何を恨めば良いのか分からなくなる。あいつらなら何とか出来るって信じてるから、私はここから遠ざかるの、分かる?」

セリア「はい、、、そうですよね、、」

ツグル「これから先、誰が死んでもおかしくないんだ。あのフルネス将軍でさえ命を落とした。各々覚悟だけはしておこう」

ツグル達を乗せたヘリコプターは遠くの空へと消えていった。








タクティス「ふん!!!」

凍結はいとも簡単に解かれ、タクティスが自由を取り戻す。

タクティス「俺はいつでもやれるぞ、トゥール」

メラメラと燃え上がるように湧き出る緑のオーラが、タクティスの闘志に呼応するように揺れる。

トゥール「ああ、一瞬で決める」

トゥールの青のオーラが刀に集まりだす。

漆黒の騎士は雄叫びをあげ、また滑るように移動を開始した。

トゥールは青く輝く刀を鞘に収め、居合いの構えをとった。

トゥール「居合、、、神風、、、、」

青のオーラがギラギラと放出されている。

トゥール「夜桜」

青い花弁の形のオーラがヒラヒラと舞い上がる。
トゥールは漆黒の騎士の背後にいた。
滑るように移動していた漆黒の騎士は動きを止め、その場で動かなくなった。

タクティス「やったのか?」

数秒、時が止まったかのように、漆黒の騎士とトゥールが硬直している。

カシャン。

トゥールが刀を収めると。

漆黒の騎士「グルァァァァァァァ!!!!!」

突然漆黒の騎士が叫び声をあげ、ジタバタともがき出した。

トゥール「仕留め切れなかったか、タクティス、あとは頼んだ」

トゥールが駆け出そうとしたその時。

漆黒の騎士「トゥー、、、ル」

漆黒の騎士がトゥールを呼び止めた。

トゥール「、、、、、やっぱり、お前だったのか」

漆黒の騎士の黒い装甲が剥がれ、現れたのはトゥール達六人のうちの一人。

トゥール「リキッド、、、、」


リキッドそのものだった。

タクティス「リキッド!!生きていたのか!?」

タクティスが駆け寄ろうとしたその時。

剥がれた黒い装甲がニュルニュルと肥大化し、闇の魔力が増幅していく。

タクティス「なんだこいつは、、、」

みるみるうちに巨大化したそれは、人肉の塊のような風貌をしていた。

リキッドは力尽きたように動かなくなり、トゥールはリキッドを背負った。

街を覆うほどに巨大化した人肉は、様々な肉声で呻き声をあげている。

トゥール「頼んだ」

トゥールはリキッドを背負い、走り出した。

タクティス「任せろ」

緑のオーラを纏ったタクティスが巨大な怪物を睨み付けた。
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