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フォールドーン帝国編

第64話 居合い旋風・獺祭

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西ゲート前にて、組織的に並ぶ数え切れない数の帝国兵が何やら陣形を変えていた。

ゲートが開き、半分の兵士がゾロゾロと内地へ帰っていく。

チャンカメ「何か分からないけど、ラッキー!!」

クッキー「さっきから鳴っている轟音と関係があるのかな?」

メッシ「緊急事態っぽい雰囲気出てるよね」

ゴッドタワーは赤く光り、警報が鳴り響いている。


トゥール「、、、、、」

トゥールはしかめっ面をしながら呟いた。

トゥール「ムーの魔力を感じる、、、もしかして、来てるのかぁ?」

刀を鞘から抜くと身体から魔力が溢れ出し、暴風となって渦を巻く。

チャンカメ「ちょ!!飛ばされる!!やめてくれ!!」

バッツ「よし、俺にしがみつけ!!」

同時に数人がバッツにしがみつき、バッツは苦しそうに悶えている。

何とか姿勢を低くして耐える者や防護シールドを発動する物もいた。

トゥール「悪いなぁ、、、親友が来てるらしい、、遊んでる場合じゃなくなった」

目を瞑り、両手で刀をしっかりと握りしめている。

そして静かに納刀するのと同時に渦を巻いていた暴風が凄まじい勢いで鞘へと流れ込む。

突然静寂が訪れ、反乱軍は目を丸くしてトゥールの動きを眺めていた。

トゥール「居合い旋風・獺祭!!!」

言葉と共に刀を抜いた。
一瞬、ジュパ!!という風切り音と共にちょっとした風圧が駆け抜けたが、それ以外は何も変化がない。









何も起こらない。





と思われた次の瞬間、眼前に広がっていた帝国兵が真っ二つになり、上半身がボトボトと地に落ちてゆく。

一瞬にして血の海となった西ゲート前。

反乱軍の中には若者も多く、想像を絶する光景に嘔吐する者もいた。

クッキー「おい、、、およそ数千人の兵士が、、、一瞬で」

チャンカメ「なんか、気持ち悪くなってきた、おえぇ!!」

トゥールは無言で駆け出す、それに続いてメッシも走りだした。

皆がついてきていないことを察し、叫んだ。

メッシ「皆!!ネギッチャを助けに行くぞ!!」

その言葉に続いて反乱軍はゾロゾロと走り出す。

バッツ「帝国は防弾服を着てるんだぞ?それを、真っ二つだなんて」

バッツは自分の機械の身体を摩りながら、ヒィ!!!と声をあげ腰を抜かしていた。



ピチャピチャと音を立てながら死体の山を乗り越えていく一同。

大きなゲートを見上げるトゥールが立ち止まっていた。

トゥール「手榴弾か何か、あるかい?」

メッシ「あるよ」

メッシはカバンから古ぼけた手榴弾を差し出した。

クッキー「悪いけど、そんなものではゲートに傷一つつけられやしないよ」

トゥール「大丈夫」

トゥールはひょっと手榴弾の栓を抜いて、放り投げた。






ボン!!!






小爆発が起き、それと共にゴタゴタとゲートが崩れ始めた。

トゥール「もう斬れてるから」

反乱軍はトゥールの満面の笑みに愛想笑いしか出来なかった。


そのまま内地へ突入したがそこに兵士はおらず、モクモクと煙が上がる中、南ゲートの方に薄っすらと巨影が見え隠れしている。
銃声と破裂音が響き渡り、南の方で激しい戦いが繰り広げられていることが予想出来た。

クッキー「なんだ、、あの化け物は!?」

チャンカメ「なんかいるけど、よく見えないな~」

メッシ「気を引き締めろ、帝国兵が潜んでいるかもしれない」

一同は歩みを止めずに、中央にそびえ立つゴッドタワーを目指す。

トゥール「ゴッドタワーに入ったら、俺は上を目指す。皆は下を目指してくれ」

メッシ「俺たちも上に行く、ネギッチャを助けるんだ」

トゥール「いや、ここからは俺も本気を出す。俺の技はあらゆる物を斬ってしまう。死にたくなければ俺のお願いを聞いてほしい」

全員が生唾をゴクリと飲み込んだ。

トゥール「地下室の独房だ、そこに不当な理由で捕らわれた多くの囚人達がいる。彼等を助け出して欲しい、今後の反乱軍のことを考えてもその行為は利のある行動だと思わないかい?」

メッシ「確かに、俺たちも帝国から抜け出す際、運悪く捕らわれてしまった者達がいた。中には知人もいるはずだ、彼等を助けたい」

トゥール「そうだろ?そしてお願いってのは」

トゥールは申し訳なさそうに懇願する。

トゥール「金髪のお姉さんがそこにいると思うんだ、助け出して彼女にトゥールは上に行ったと伝えてくれ」

メッシ「分かった、必ず助け出して、伝言を伝えよう」

チャンカメ「馬鹿!!必ずとか言うなよ、無理だったらどーすんだよ!!」

クッキー「今この状況で地下室に手を回す確率は低い、多少の戦闘は避けられないが、俺たちに出来ることをしよう」

メッシ「俺たちは反乱軍だ!!捕らわれた者達を解放するぞ!!」

「おおぉおおおおー!!!!!」

道中幾らかの兵に遭遇することはあったものの、数の利とトゥールの速技で撃破し、チーム反乱軍は順調にゴッドタワーを目指す。




明らかに敵兵の数が少ないのは南で巨大な何かが暴れているから、その時はそう結論付ける以外に情報がなかった。







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