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成長のスラム街編

第60話 真夜中のツーリング

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改めて全員で捜索するも、ネアとセリアの姿はなかった。

ただ時間だけが過ぎ去っていく。

状況から考えると帝国に誘拐されたと推測するのが妥当である。しかし、闇雲に戦争を仕掛けても敗北することは誰の目にも明らかであった。

合同で作戦会議をする反乱軍とトゥール達。ツグルは悠長に会議などしている場合ではないと思い、一人スラム街を抜け出すのであった。

時計の針が頂点に達した頃、暗闇を駆け抜け、ただひたすらに帝国を目指した。

昼間は暑さに堪えるフォールドーンだが、夜間は急激な寒さに見舞われる。
凍える風を肌で感じ、唐突に心細くなる。一人で何が出来ようか、そんな不安を胸の奥底に封じ込め、夜の荒野を駆ける。


不意に背後から眩しい光がツグルを照らした。

ブルンブルン!!!

激しい機械音と共に、何かが近付いてくる。




「一人で帝国に挑むつもりか?」

そこにいたのはバイクに跨るネギッチャであった。





ツグル「そのつもりだ、あんたは何しに来たんだ?」

ネギッチャ「同じようなもんだ」


ネギッチャは懐からタバコを取り出し、火をつけた。






少しの沈黙の後、ネギッチャは煙を吐きながら問いかける。

ネギッチャ「セリアちゃんは、お前にとってどんな存在なんだ?」

ツグル「俺の全てだ」

ツグルは即答した。

その強い意志を見て、ネギッチャは何かを考えるように空を見上げる。

空にはいくつもの星がキラキラと輝いていた。










ネギッチャ「トゥールから話は聞いている、お前はツグルだな?特殊な技を使うらしいな」

ツグル「、、、、」

ネギッチャ「帝国に勝てると思うか?」

ツグル「あんたはどう思うんだ?」




ネギッチャ「勝算はある、それもかなり高い確率だ」




ツグル「何の準備も無しに、一人で国とやり合って、勝算があるだと?正直俺は勝てるなんて思っちゃいない、潜入して、セリアを助けて逃げる。それだけだ」

ネギッチャ「帝国の警備はそんな甘かねぇよ。ゴッドタワーに辿り着くことすら、いや、帝国の壁を越えることも出来ないさ」

ツグル「、、、、、じゃあ、どうすれば良いんだ!?皆と一緒に会議に参加して、何日も準備して戦争を仕掛ければ良いのか!?その時セリアは無事なのか!?誰が保証してくれるんだ!!!」

ネギッチャは最後の煙を吐き、タバコを宙に投げた。

ネギッチャ「準備なら、とっくの昔に出来ている。後は俺がゼウスをぶっ飛ばせば良いだけだ」

ツグル「どういうことだ?」

ネギッチャ「乗れ、ゴッドタワーの頂上まで連れて行ってやる」

ツグル「説明しろ、準備が出来ているとはどういうことだ」

ネギッチャ「うるせぇな、来るのか?来ないのか?どっちだ!お前が来なくても、俺の予定は変わらない。ここで話し合う時間も惜しい」




ツグルはネギッチャの後ろに跨り、長いため息をつく。

ツグル「信用しても良いんだろうな?」

ネギッチャ「間違いないね」

ブゥゥウォォーーーーー!!!!
バイクはフルスロットルで、真夜中の荒野を走り抜けた。





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