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熱風の闘技場編
第42話 フードの男
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広い円形の闘技場に、大勢の猛者達が敷きつめられる。
Aだけでこの数ならば、参加者は総勢何人になるのだろうか、そんなことを考えながら試合開始の合図を待つ。
カナメルとトゥールとは出来るだけ戦わないように離れておいた、彼らとは正式なトーナメントで戦いたいからだ。
魔法の使用は禁止、四方八方から凄腕の魔術師達が目を光らせて監視をしている。
この中で四人、戦闘可能な者がトーナメントに出られるということらしい。
見たところ筋骨隆々な大男や街の外れで悪さをしているであろう人々が多く見られる。
中には客席から過激な応援を受ける若者など貧弱な身体をした者もいるが、恐らく勝ち残ることはないだろう。
格闘のみのこの戦い、体格差では分が悪い。
ゴーーーーーーン!!
堂々たる鐘の音が響き渡る。
直後、すぐ近くにいた大男が殴りかかってきた。
それを躱し、男の鳩尾に渾身の右ストレートを叩き込む。
「ぐぉぁ!!」
男はその場に倒れ込み、悶えている。
自分でも驚いた、男のパンチはスローモーションのようだったし、自分の右ストレートは男の厚い胸板にねじ込まれていった。
強く、なっている。。。
グレイス、ヘイスレイブと死線を潜り抜け、闇の力にばかり目がいっていたが。
純粋な肉弾戦、敵の動きを見切る戦闘でのセンス、あらゆるステータスが上昇していることが今になって分かった。
正直体格差で不安を感じていたが、大丈夫だ。
勝てる。
そのまま周りの人々を無我夢中で地に伏せさせた。
~~~~~~~~
数分後
ゴーーーーーーン!!!
体感ではあっという間だったが、実際にはどれくらいの時間が経っていたのだろうか。
気付けば闘技場には四人の男が立っていた。
トゥール「お、やるじゃねぇか二人とも」
カナメル「この程度のレベルなら遅れはとらないな」
ツグル「、、、二人とも無傷かよ」
二人の身体には傷一つ見当たらない。
ツグルは乱闘の中で数発殴られた。
「ふふふ、決勝で会おう、諸君」
そう言って屋内へ消えていったのは四人のうちの一人、色黒の男だった。
客席へ戻り、皆の祝福を受ける。
強くなっている、セリアを守れる!!
いつからか感じていた不安はもうなかった。
すぐにBグループの招集がかかり、タクティスとフルネスが降りていく、あの二人は肉弾戦で負けるわけがないだろう。
見るからに強そうな二人だ。
~~~~~~~~
案の定二人は颯爽と戦いを終えて客席へ戻ってきた。
二人は子供を相手にするかのように大男達を吹き飛ばしていた。
上には上がいる、でもそんな凄い人達と同じステージにいる。
トーナメントが楽しみだ。
すぐにCグループに招集がかかる。
モモ「よし!!今のところ全員勝ってるし、私達も頑張るよ!」
ダイス「お、おう~」
モモは良いとして、ダイスの勝利はないだろうと予想する。
~~~~~~~
ゴーーーーーーン!!!
鐘の音と共に大勢の猛者達が動き出す、砂埃が舞い上がり、上からでも場内はハッキリとは見えない。
次の瞬間
ドゴォォォォ!!!
大きな地鳴りと共に場内の闘士達が一斉に打ち上げられる。
砂埃が煙幕のように場内に覆い被さり、何が起きたのか全く見当もつかない。
客席がザワつき、闘技場内が騒然となる。
風で視界が戻り始め、闘技場の中央に一人の人影を目視する。
ツグル「まさか、モモか?」
トゥール「流石に魔法無しであれは無理だ、タクティスじゃあるまいし。恐らく、、、奴だ。ビンゴだな」
カナメル「奴?」
タクティス「タカ。俺たち六人のうちの一人だ」
フルネス「魔法を使わずにこの現象を?」
トゥール「タカなら出来る」
砂埃が完全にかき消え、姿を現したのはボロ布のフードを被った男だった。
日焼けした肌には、奇妙な刻印が刻まれている、よく見るとそれは身体中に刻まれ、怪しく光っているように見える。
半壊した闘技場内で、一人立ち上がる者がいた。
モモ「あーーーびっくりした!!」
モモだった。
「九十四番モモ、魔法の使用により失格」
審査員のダミ声が響き渡り、モモは失格となった。
Cグループはフードの男と失格のモモ以外は戦闘不能となった。
頭を強打して意識を失っているダイスを担ぎ、モモは客席へ戻ってきた。
セリア「モモ~心配したよ~」
モモ「私もびっくりして何が何だか」
フルネス「咄嗟に身体を硬化したのか?」
モモ「やばい!死ぬ!と思ったら、気付いたら魔法を使っていました~ごめんなさい皆様」
フルネス「いや、良い判断だ」
トゥール「実戦では行動不能になっちゃ元も子もない、命あってこそ戦える」
ムー「まぁこのゲームのルールを犯したてめぇは失格で当然の愚図だけどな」
モモ「一斉の飴と鞭、、、、」
ツグル「それにしてもタカという奴は何者なんだ?あの身体に刻まれている線はなんだ?」
トゥール「奴の身体は少し特殊でね」
ツグル「どこかで聞いたような台詞だな」
トゥール「いうてツグルも特殊だろ?」
ツグル「まぁ~、うん、追い追いタカの特殊とやらを教えてくれ」
圧倒的な力を前に、客席での騒めきは収まることはなかった。
Aだけでこの数ならば、参加者は総勢何人になるのだろうか、そんなことを考えながら試合開始の合図を待つ。
カナメルとトゥールとは出来るだけ戦わないように離れておいた、彼らとは正式なトーナメントで戦いたいからだ。
魔法の使用は禁止、四方八方から凄腕の魔術師達が目を光らせて監視をしている。
この中で四人、戦闘可能な者がトーナメントに出られるということらしい。
見たところ筋骨隆々な大男や街の外れで悪さをしているであろう人々が多く見られる。
中には客席から過激な応援を受ける若者など貧弱な身体をした者もいるが、恐らく勝ち残ることはないだろう。
格闘のみのこの戦い、体格差では分が悪い。
ゴーーーーーーン!!
堂々たる鐘の音が響き渡る。
直後、すぐ近くにいた大男が殴りかかってきた。
それを躱し、男の鳩尾に渾身の右ストレートを叩き込む。
「ぐぉぁ!!」
男はその場に倒れ込み、悶えている。
自分でも驚いた、男のパンチはスローモーションのようだったし、自分の右ストレートは男の厚い胸板にねじ込まれていった。
強く、なっている。。。
グレイス、ヘイスレイブと死線を潜り抜け、闇の力にばかり目がいっていたが。
純粋な肉弾戦、敵の動きを見切る戦闘でのセンス、あらゆるステータスが上昇していることが今になって分かった。
正直体格差で不安を感じていたが、大丈夫だ。
勝てる。
そのまま周りの人々を無我夢中で地に伏せさせた。
~~~~~~~~
数分後
ゴーーーーーーン!!!
体感ではあっという間だったが、実際にはどれくらいの時間が経っていたのだろうか。
気付けば闘技場には四人の男が立っていた。
トゥール「お、やるじゃねぇか二人とも」
カナメル「この程度のレベルなら遅れはとらないな」
ツグル「、、、二人とも無傷かよ」
二人の身体には傷一つ見当たらない。
ツグルは乱闘の中で数発殴られた。
「ふふふ、決勝で会おう、諸君」
そう言って屋内へ消えていったのは四人のうちの一人、色黒の男だった。
客席へ戻り、皆の祝福を受ける。
強くなっている、セリアを守れる!!
いつからか感じていた不安はもうなかった。
すぐにBグループの招集がかかり、タクティスとフルネスが降りていく、あの二人は肉弾戦で負けるわけがないだろう。
見るからに強そうな二人だ。
~~~~~~~~
案の定二人は颯爽と戦いを終えて客席へ戻ってきた。
二人は子供を相手にするかのように大男達を吹き飛ばしていた。
上には上がいる、でもそんな凄い人達と同じステージにいる。
トーナメントが楽しみだ。
すぐにCグループに招集がかかる。
モモ「よし!!今のところ全員勝ってるし、私達も頑張るよ!」
ダイス「お、おう~」
モモは良いとして、ダイスの勝利はないだろうと予想する。
~~~~~~~
ゴーーーーーーン!!!
鐘の音と共に大勢の猛者達が動き出す、砂埃が舞い上がり、上からでも場内はハッキリとは見えない。
次の瞬間
ドゴォォォォ!!!
大きな地鳴りと共に場内の闘士達が一斉に打ち上げられる。
砂埃が煙幕のように場内に覆い被さり、何が起きたのか全く見当もつかない。
客席がザワつき、闘技場内が騒然となる。
風で視界が戻り始め、闘技場の中央に一人の人影を目視する。
ツグル「まさか、モモか?」
トゥール「流石に魔法無しであれは無理だ、タクティスじゃあるまいし。恐らく、、、奴だ。ビンゴだな」
カナメル「奴?」
タクティス「タカ。俺たち六人のうちの一人だ」
フルネス「魔法を使わずにこの現象を?」
トゥール「タカなら出来る」
砂埃が完全にかき消え、姿を現したのはボロ布のフードを被った男だった。
日焼けした肌には、奇妙な刻印が刻まれている、よく見るとそれは身体中に刻まれ、怪しく光っているように見える。
半壊した闘技場内で、一人立ち上がる者がいた。
モモ「あーーーびっくりした!!」
モモだった。
「九十四番モモ、魔法の使用により失格」
審査員のダミ声が響き渡り、モモは失格となった。
Cグループはフードの男と失格のモモ以外は戦闘不能となった。
頭を強打して意識を失っているダイスを担ぎ、モモは客席へ戻ってきた。
セリア「モモ~心配したよ~」
モモ「私もびっくりして何が何だか」
フルネス「咄嗟に身体を硬化したのか?」
モモ「やばい!死ぬ!と思ったら、気付いたら魔法を使っていました~ごめんなさい皆様」
フルネス「いや、良い判断だ」
トゥール「実戦では行動不能になっちゃ元も子もない、命あってこそ戦える」
ムー「まぁこのゲームのルールを犯したてめぇは失格で当然の愚図だけどな」
モモ「一斉の飴と鞭、、、、」
ツグル「それにしてもタカという奴は何者なんだ?あの身体に刻まれている線はなんだ?」
トゥール「奴の身体は少し特殊でね」
ツグル「どこかで聞いたような台詞だな」
トゥール「いうてツグルも特殊だろ?」
ツグル「まぁ~、うん、追い追いタカの特殊とやらを教えてくれ」
圧倒的な力を前に、客席での騒めきは収まることはなかった。
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