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エピローグ 夢のつづき

ネタバレ全開! ”祝福ゲーム”データ!! と作者の駄文

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 ★★注意★★
 ここからは先には祝福者と彼らが叶えた願いと作者の解説(駄文)が記されています。
 ネタバレ全開です!!
 本編を未読で読むと面白さが激減してしまう恐れがあります。
 ここは本編読了後の方への解説や補足を目的とした部分となります。
 読む方はそれを考慮の上、お読み下さい。
 なお裏設定や裏エピローグといった“裏”とは本編に登場しない内容を意味します。



















 第1の願い
 クリストファー・グッドマン 
「神よ! 私は願う! 私の娘に健康な身体を!」

 この”祝福ゲーム”を成立させた人物。
 彼が開始後1分も経たずに願ったため、これを”祝福ゲーム”と考えた人は積極的に動けなくなりました。
 彼が願ってないと10分後には誰かが『他の”祝福”を全て奪いたい』という願いを叶えてしまい、”ゲーム”が不成立になります。

 第2の願い
 犬飼 優子
「ペロをいきかえらせて、ずっとげんきでながいきさせて!」

 ご安心下さい、犬は生きてますよ!
 この”祝福ゲーム”を成立させた人物、その2。
 彼女もまた他の人を警戒させるのに一役買っています。
 第1章の最後に夢になってしまったことで、ペロもまた死んだままになってしまいますが、最後には”最恵国待遇”で願いがもう一度リフレインされ、ちゃんと生き返りました。
 エピローグにもちらっと登場しています。


 第3の願い
 ミラ・ミュラー
「この願い事による因果から完全に外れて、おもしろおかしくこの物語の顛末てんまつを見届けたい」

 デスゲームものによくいる幕間で解説するキャラを出したくて、こんな願いになりました。
 冒頭や後で登場する第0の願いの伏線にもなってよかったかと。
 彼女の好きな作品は作者の趣味です。

 第4の願い
 アナ・ワン
「この”祝福”で誰かが誰かの死を願おうとしたなら、その願いを言い終わる前にその人が苦しんで死ぬようにして」

 プロローグを読んだ時、読者が真っ先に考えるのが『”祝福”で他人の”祝福”を奪っちゃえばいいんじゃね?』です。
 それに対するカウンターとして、彼女に禁忌の願いを叶えさせました。
 こういう願いが発生する(していた)可能性があるので、欲深い人が安易に”奪う”ことが願えないようにするためです。
 当初はここで”奪う”のも禁忌にすることも考えていましたが、シナリオの都合で抜いています。

 第5の願い
 キング・オー・サマー
「世界中の人々から愛されるキングになりたい!」

 やっと始まった”祝福ゲーム”! その一番槍が彼です。
 というか、”祝福者”が全員大人だったら彼の勝利で”祝福ゲーム”は終わりです。
 彼の願いは読者に”祝福ゲーム”は”祝福”を最後まで使わないチキンレースと思わせておいて、その逆を突いて驚かせるのを目的としています。
 ある日、我々の常識が改変されているのは怖いですよね。

 ちなみに、エピローグでは書いていない裏エピローグとして、彼は生き返った後、『夢で恐竜からかばってくれた素敵な人』とアイシャに思われて、ふたりはラブラブになります。

 第6の願い
 カーネー・モッテル
「1000兆ドル欲しい! ただし金によるトラブルとは生涯無縁で!」

 ネットスラングの”5000兆円欲しい!”を体現させた願いです。
 こっちの方が金額が大きいですよ。
 どんな願いでも叶えられるとしたら、みんながみんな考える願いも入れないといけないよね。
 という目算で入れましたが、後々のストーリーにもからめられてよかったです。

 第7の願い
 アイシャ・テル
「キング様に見初みそめられたい!」

 ストーリー上、世界中の人々がキングを愛してしまった世界で”祝福”を使わせる必要があって彼女の願いは生まれました。
 田舎娘のシンデレラストーリーをイメージしています。

 第8の願い
 ジュラ・デ・ボン
「せかいじゅうを生きているキョウリュウでいっぱいにしてください。ボクはキョウリュウとなかよくなりたいです」

 世界中の人がキングを愛してしまうと”祝福ゲーム”は終わりなのでは?
 読者にそう思わせておいて、愛していても子供の無邪気さが世界を破滅させるのだ! とカウンターを打つために彼の願いが生まれました。
 本当はカナダからアメリカに恐竜に乗った彼が進撃して米軍と大立ち回りを広げるつもりで、その中で彼は命を落とす予定でしたが極力子供が不幸になるのは避けたいのでボツにしました。
 ちなみに、恐竜は全て彼と仲良しなので、彼の両親や近所の人は無事だったという裏設定があります。
 裏エピローグとして、彼が夢の中の場面として描いた恐竜の絵(色や体毛の様子)を裏付ける化石を父親が発掘するというものがあります。

 第9の願い
 ウタ・カーター
「全部夢だったことにしてくれ! 俺は目覚めたら! あの日のあの時の、4月1日の人生最良の朝に戻るんだ!」

 本作を成り立たせる重要な願いを叶えてくれた登場人物です。
 夢になると、死んだ人が生き返らない以外は全て元に戻ります。(願いに付帯事項を付けない限り)
 本作の裏エピローグでは恋人(モルフィナ)とラブラブ2回戦に突入しています。

 第10の願い
 鈴成 凛悟
「俺を持ち主とする本が欲しい。既に願い事を叶えた者も含め、全祝福者のプロフィールが載っている本が。
 プロフィールには顔写真、氏名、国籍、年齢、性別、住所、職業、交友関係、信条や大切なもの、現在位置、各種連絡先が記載され、そして願いを叶えた者は、その願いの情報も記される。これらの情報はリアルタイムで自動更新され、本の持ち主はそれを感知できる。
 なお、持ち主はこの本の情報を遠隔から認知でき、その内容を遠隔で改竄かいざんできる」

 やっと本格活動を開始した本作の主人公。
 読者に便利アイテム”本”を手に入れただけと思わせておいて、内容を改竄かいざんすることで実は全てを操っていました。
 これに最後まで読者が気付くかどうかが本作のキモで、作者にとってヒヤヒヤの部分でもあります。
 といいつつも、『この本は持ち主が死んだ時、灰となって消滅する』も実は改竄で付け加えた一文で、真の願いの伏線にしています。
 (ダイダロスとの決戦で”本”が消えなかった所が伏線)
 実は凛悟は自分が死んだ時のことを考えて、”本”を蜜子のために残そうとしていました。 

 “本”を手に入れたなら『“祝福”を奪うと死ぬ』といった禁忌の願いがないとわかるので蜜子の“祝福”を使って残りを総取りできるのでは? と思われるかもしれませんが、凛悟はここでの神との会話で願いの予約が出来ることに気づいてしまったので出来ませんでした。
 
 『他人の“祝福”を奪おうとする願いを言おうとすると死ぬ。
 この願いが叶うタイミングは上記の禁忌の願いを言おうとした直前になる』

 こんな予約をされていると蜜子が死ぬので出来なかったのです。
 また“本”を手に入れたエゴルトもダイダロスの付帯事項モリモリの願いを見て同じ事を警戒しています。
 なのでエゴルトも残り全ての“祝福”が自分の手に入るまで警戒ムーブをしていました。
 最後の最後で調子に乗って油断したため結末を迎える事になるのですが……

 第11の願い
 エゴルト・エボルト
「ルール変更を望む。”祝福者”が願いを叶える権利を行使せずに死んだ場合、ランダムで人類の誰かに”祝福”が移るのではなく、この僕に移るように」
 注)ただし、祝福の移動先が死亡していた場合は従来のルール通りランダムに移る。

 本作の悪い人!
 ”祝福者”は大半が作品の最後で現状維持かハッピーエンドになっているのに、彼だけは死亡エンドです。
 まともに考えると凛悟の案に乗った方が得なのですが、運の良さだけで幸せになる人が許せないと考えてしまっているため、”祝福ゲーム”での勝利とは、幸せになることではなく、最も利益を得ることだと考えてしまっています。
 しかも、他人を不幸にすることで、自分の利益を相対的に高くしようとも考えています。
 神が願いを叶える権利を“祝福”と名付けたのは選ばれた者が幸せになって欲しいと思ったからですが、彼も含め大半は最初はそう思っていませんでした。
 凛悟は中盤でみんなを幸せにする方向に舵を切りましたが、彼は最後まで利益を得ることに固執していました。
 ミラとの会話で神が後半になって楽しそうにしていたとあるのは凛悟が方針を変えたためです。
 だけどエゴルトはビジネス界や経済界で社会的にことが好きで、この”祝福ゲーム”も勝者と敗者が生まれる遊戯ゲームとして認識し続けています。
 そして、それを楽しんでいるのです。
 彼には他人の妬みなどで足を引っ張られどん底に落ちて這い上がり、自分を陥れた相手に復讐を果たした愉悦感が忘れられず、こんな思想になりました。
 その愉悦を何度も味わうため、決してゲームオーバーにならないことを叶えるのが目的だったという裏設定があります。
 
 ちなみにレイニィのフルネームはレイニィ・モーレズという裏設定があります。

 第0の願い
 グンマー・ニューデン(新田 群馬)
「25年前に戻って、人生をやり直したい」

 プロローグの伏線と第2章のタイムリープSF編の導入役の願いです。
 タイムテーブル管理がものすごく面倒くさかったです。

 第12の願い
 ダイダロス・タイター
 1.我は祝福で君に『タイムリープ』の能力を授ける。(以下詳細)
 2.『タイムリープ』の発動条件は次の4つ
  2-1.君自身が時を戻りたいと思った時
  2-2.君自身が死亡した時
  2-3.君が超常による精神や記憶操作を受けた時
   この時、君は精神や記憶に影響を受けない
  2-4.君の妹、ティターニアが死亡した時
 3.『タイムリープ』で戻れる時間は以下の通り
  3-1.君自身の意志で戻りたいと思った時は、後述の限界時間までの間で君が任意に指定できる。
  3-2.ティターニアが死亡した時はイタリア時間4月1日の午前8時2分
      これは君が留置所を出てティターニアと会った時刻である。
  3-3.君自身が死亡した時、君の意識があるならば任意。そうでないならば3-2に同じ。
 4.『タイムリープ』が発動した時、戻った時刻で生きている人間は生きている。
 5.『タイムリープ』が発動した時、消費された”祝福”は復活しない。
 6.『タイムリープ』で戻れる限界はイタリア時間4月1日の午前8時2分。それより前には戻れない。
 注)ティターニアが死亡し『タイムリープ』が発動した場合、彼女の”祝福”はそのままの状態にある。
 7.祝福の残数は君の左手の甲の聖痕スティグマに自動で記される。
 8.この能力は他の”祝福”で無効化されない。

 この願い、めたくっそなげぇよ!!
 でもこの願いのおかげで、本作は他のデスゲームや能力バトルものと一線をす作品だと思って頂けたのではないでしょうか。
 ”死に戻り”や”タイムリープ”ものは数多くあれど、ここまで能力者に都合のいいものはないと思います。
 それでも彼自身は目的のためには多大な努力が必須なところも含めて良い設定だなーと。

 彼自身はチンピラ程度の悪事は働きますが、その本質は極悪ではありません。
 必要なら殺人もいとわない覚悟を持っていますが、それを好むわけでもないですし、避ける方法があればそれを避けます。
 なのでエピローグでは彼の努力だけは報われた形になっています。

 第13の願い
 ラーヴァ・ディスティニー
「あたしを絶対に幸せにしてくれる運命の人と出会いたい! 今、すぐに!」

 どこにでもいるような普通の元女の子。
 いや、その心はアラサーでも健在だった子です。
 作品の中ではダイダロスの当て馬ポジションですが、エピローグの伏線のためにちょっと重要な女の子です。
 本編終了後、ダイダロスのキューピット活動により運命の人と幸せな結婚をするという裏設定があります。
 
 
 第14の願い
 ティターニア・タイター
 ※第12の願いのダイダロスとほぼ同じ

 ダイダロスの妹で第2章のギミックを解決してくれる役です。
 ダイダロスをどうやって倒すの? と読者に思わせておいて、凛悟が”本”の情報を使って彼女の”祝福”を消費させ、彼女の願いをダイダロスが理解して決着するというギミックはちょっと気に入ってます。

 ダイダロスとティターニアは恋人のような愛情は薄いですが、家族としての愛は非常に高いです。
 決してなくならない血の絆で結ばれた、ある意味運命のふたりです。
 
 第15の願い
 ケビン・フリーマン
「パパとママにあいたい。あいにいきたい」
 注)パパとママは死んでいるため、死んで会いに行くことになる

 お気づきの方もいらっしゃると思いますが、”祝福者”は老若男女ろうにゃくなんにょにバランスよく選ばれています。
 ”神”は自身の目的のためにあえてそう選びました。
 その中でも彼は最年少です。
 3歳にしては早熟ですが、死がどんなものかわかっておらず、このような願いを願ってしまいました。
 本作は小さな伏線がギッシリですので、彼も漏れなくエピローグでの伏線要員です。
 まさか、ケビンとキャロルがこんな所で関係しているとは!? と読者に思って頂けたなら大成功ですね!

 第16の願い
 逸果 実
「あたしと結婚した相手のものを一方的に共有したい。それはお金であったり、コネであったり、知力であったり、力であったり、若さだったり、命だったり、とにかく色々たくさん」
 付帯事項)
 結婚は口頭や署名での双方の同意で成立し重婚可。
 夢の中の同意でも成立。
 共有の逆はない、相手があたしのものを引き出すのはNG
 死ぬようなことがあっても、搾取対象の命を使って生き返れる。(搾取対象の優先付け可能)
 筋力とや器用さなども共有可能で、合算可能。
 この願いが叶うタイミングはあたしが死亡する直前で、他の人の”祝福”や超常の能力で無効化されず、さらにこの内容は鈴成凛悟が”祝福”で手に入れた”本”には載らない。

 最初はただのアイドルという設定だったのに、ダイダロスにヤバイ女と言わせたために、本当にヤバイ女にしなくてはならず苦労しました。
 地雷でバラバラにされようが、機銃で全身が肉片になろうがピンピンしている頭のネジの吹っ飛んでしまったです。
 ATMファンから知力を搾取して加算出来るのなら、”本”の偽装や凛悟の策を看破出来るのでは? と思われるかもしれません。
 これは知力の高さからを想定してしまっているため、予想から決断(ときに無謀な)することが出来なくなってしまっているからです。
 また、エゴルトとの決戦に向けたシミュレーションにリソースをかけてしまったのも一因です。
 十分な時間があれば凛悟の策も見破れたでしょう。
 彼女は頭のネジは吹っ飛んでいますが邪悪というわけでなく、ATMファンも大切に思っています。
 ただそれよりも自分が大好きで大切なだけです。
 カルアデスの舟板(船が難破した時、自分が助かるために他人を突き飛ばして板を独占することのたとえ)があったら、迷わず他人を蹴倒しちゃうだけです。
 事実、彼女は自分を攻撃してきた人しか攻撃していません。
 他人を迷わず盾に使ってしまいますが……。

 第18の願い
 アーシー・ヌック
「エゴルト・エボルトとわした約束、誓い、契約の類は過去や夢になった世界で交わしたものも含め全て、その相手は強制的に順守するようになる。尚、この願いは夢や過去改変や他の”祝福”で無効化されない。また、一方が約束を履行したら、もう一方は相手の求めに応じてすぐに約束を履行する」

 本当はマリアとのからみや友情物語もあったはずなのに、作品のテンポの関係上割愛されてしまった悲しい登場人物です。
 彼女の願いは読者に「え? 蜜子の”祝福切り札”も持っているのに使えないの!? ここからどうやって逆転するの!?」と思わせるために用意しました。
 日本のギャルアニメをいっぱい見たので日本語が出来るという設定はちょっと無理があったかなーと思っています。

 第17の願い
 湊 藤堂
「この祝福ゲームで最恵国待遇を受けたい」
 注)この願いが鈴成凛悟の”本”と”祝福者”の聖痕に反映するのは1時間後となり、また、この願いは夢やタイムリープなどの運命改編の影響を受けない。

 これです! これが読者に「なんだこのインチキは!?」と思わせる願いです!
 エゴルトとの決戦で「どうやって逆転するの!?」という答えです。
 最初にこのアイディアを思いついた時はこれは絶対に誰にもわからないギミックだ! 俺、天才! じがじさーん!
 そう思えるくらい震えました。
 途中でこのアイディアに気付いた方は超天才です。
 なんせ作者が1年以上かけて考えたギミックを数時間で考えられるのですから。

 藤堂は最初は大阪出身の予定でしたが、大阪ドームの屋根は開閉しない! と気付いてしまったため福岡出身になってしまいました。
 ちょっと変な博多弁をしゃべりますが気にしないでください。
 
 オタクという設定があるため、彼の登場シーンでは色々パロディネタが散りばめられていますが、誰にもわからな過ぎて読者は付いていけないのではないかと思っています。
 レイズナーとか奇面組はともかく、デラべっぴんネタはやり過ぎだろうと。
 でも、作者はそんなことは気にしないで突っ走るぜ! イエーイ!
 ……すみません、反省しています。

 第19の願い
 楊・ヤングマン
「エゴルト・エボルトに永遠の若さを授け、今後、事件・事故・病気で傷ついたり命を落とすことがないように」
 注)この願いは夢やタイムリープなどのあらゆる運命改編の影響で無効化されない

 彼は”祝福者”の中で最も影の薄い人じゃないでしょうか。
 でも神はサンプルとしてまんべんなく”祝福者”をチョイスしたので、みんながみんな好戦的だったり活動的ではなく、彼のような主体性の薄い平凡な人物も必要だったのです。
 彼の願いは「エゴルトをどうやって倒すの?」という感想を増長させるために用意しました。

 第20の願い
 マリア・シスター・クリスト
「この女を殺し尽くせ」
 備考)みのりを指差して

 プロローグで思わせぶりな登場をしたのに、本編での活躍はイマイチだった人です。
 アーシーとのからみとか、孤児院の設定とか設定倒れになってしまいました。

 第21の願い
 逸果 実(ビジョー・スターガスキーの代理)
「前の願いの対象を花畑蜜子に」

 最後まで設定や願いが決まらなかった人です。
 でも、最終的に凛悟と蜜子を幸せにくっつけるキューピットな伏線を入れられたので良かったと思っています。
 この願いは本当にギリギリで思いついたのです。
 こんな願いが凛悟と蜜子のエピローグで重要な役割を果たすとは、お天道様でもわかるめぇ。

 第22の願い
 花畑 蜜子
「奇跡を起こして」

 第21の願いとは違って最初から伏線として考えていました。
 ”祝福ゲーム”には3つのルールがありますが、その全てに意味を持たせるとカッコいいなーと思ったのが本作の始まりです。
 逆にこれで人類にランダムで移るが伏線じゃなかったら、読者も拍子抜けでしょう。
 作者はそんなことはしたくなかったのです。
 伏線のピースがカチカチッと頭にハマっていくのがミステリの醍醐味ですから。

 蜜子は最初は普通の後輩だったのに、どんどんセンパイラブになっていって、どうしたんだこの娘は!? と思われるかもしれません。
 実は2章の序盤で凛悟が”本”を手に入れてしまい、ふたりの気持ちもモロバレになってしまったため、2章以降はふたりはラブラブです。


 第23の願い
 鈴成 凛悟
「賭けがしたい。この“祝福ゲーム”が始まってから死んでいった人達を含めた全人類を代表してあんたと賭けを。賭けの内容と何を賭けるかは俺が決める」

 やっぱ主人公がちゃんと決めなきゃね!
 ”祝福”が2度凛悟にもたらされるのは決めていましたが、課題は、ひとつの”祝福”で死んだ人たちを生き返らせなきゃいけない。
 こりゃ難敵だ、でも作者は頑張りましたから最初から”神”と賭けをするくらいは思いつきましたよ。
 当初は「賭けに勝ったら死んだ人間を生き返らせる」というレベルでしたが、そこに工夫に工夫を重ねてこの願いにたどり着きました。
 しかも、”最恵国待遇”とからめてエピローグでのエゴルトの破滅や、実は袋小路に陥っていたダイダロスたちの願いも処理できる!
 こりゃすごい! これを考えた人は天才だ! 素敵! 結婚して! と自分で自分にプロポーズしたくなるほど素晴らしいアイディアだと思いませんか!?。
 じがじさーん!

 作中では凛悟がスマートに勝ったように見えるかもしれませんが、実際は蜜子や藤堂のフォローを受けての勝利です。
 蜜子が奇跡を願わなかったり、藤堂が最後に第23の願いを”もう一度リフレイン”してダイダロスやエゴルトの超常能力を消さなければ、綺麗なハッピーエンドには到達できないのです。
 (ダイダロスとティターニアの願いでこの世界線は無限ループに陥ってしまいます)
 凛悟は基本的に余裕ぶった見栄っ張りなので、作戦にはいくつもの穴があったのです。
 それを埋めたのが蜜子と藤堂です。
 藤堂との会話で”祝福”がひとつあれば逆転可能だと言っていたのに、実はふたつ必要だった所が顕著ですね。

 ちなみに『ひとつで逆転』の時に彼が考えていたのは、エゴルトを自滅させる所までは同じで、その時に最恵国待遇で第11の願い『祝福を使わずに死んだら、それを手に入れる』を”もう一度リフレイン”しておいて、残り全ての”祝福”を手に入れてなんとかするというものでした。
 ですが、これですと残った”祝福”は藤堂のもの(もしくは蜜子のもの)になってしまうので上手く行かなかったでしょう。(藤堂だと彼自身の欲望に使われてしまう恐れがあり、蜜子には約束強制が働いてしまう)

 また補足ですが、2回目の夢となった時、最後の”祝福”が本来の持ち主(死亡したゴートかワイロゥ)に戻らずにグッドマンの手に残ったのは神がグッドマンに『最後の”祝福者”よ。しばし待たれよ』と言ってしまったからです。
 神が縛られるのは自分で決めたルールと自分の言葉のみですので、この台詞を言ってしまったため、夢から覚めてもグッドマンに残留し続けました。
 (夢となった時、移動した”祝福”がどうなるかはルールでも言葉でも決めてないので、神の胸先三寸むなさきさんすんで決まり、最後の”祝福者”認定が優先される)


 エピローグ
 お気づきというか突っ込まれるので言っておきます。
 エピローグは時系列がバラバラです。
 時系列に並べると、
 
 エピローグ④前半 藤堂が神と賭けをする。
 エピローグ⑤ ミラが神と会話して別れを告げる
 エピローグ⑥ グッドマンが最初で最後の願いを叶える。
 エピローグ① エゴルトとレイニィが死ぬ。
 エピローグ③ 凛悟と蜜子が出逢い、藤堂から電話を受ける。
 エピローグ④後半 電話を終えた藤堂がみのりに会う。
 エピローグ② ダイダロスが働くことを決める。

 です。

 ”神”の目的は作中でミラが指摘した通り、自分が天地創造をするときのサンプルとして、地球と人類を観察実験場にしていたという設定です。
 なので、現実の実験も何度も実証実験が行われるように”祝福ゲーム”も何度も行われています。
 舞台は地球に限りませんが。
 ”祝福ゲーム2”があるかもと思われるかもしれませんが、作者には無理です。
 アイディアが出尽くして、もう頭の中がスカポンタヌキですから。
 
 第24の願い
 クリストファー・グッドマン

 ──それは、最初で最後のただひとつの願い。

 本作の主人公が凛悟なら、グッドマンは裏の、いや真の主人公です。
 作者の創作手法は書きたいシーンを頭に浮かべて、そこに到るストーリーを埋めていく方針を採っています。
 ただひたすらに娘を想う彼が救われる、そのシーンが書きたくて本作は作られています。
 なので、最後のシーンは当初から決まっていました。

 タイトル回収!!
 
 安直ですが、これもまた王道。
 王道のハッピーエンドの物語が作者は大好きです。


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