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第1章 夢のおわり

1-17.第7の願い アイシャ・テル

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 ミズーリ川の豊かな恵みの中、農園でキングの超パレードが近づいているという報せを聞いた瞬間、アイシャは居ても立ってもいられなくなった。
 彼女は想う、この身、この心、この魂、全てがキング様のものでございますと。
 そしてアイシャは家を飛び出した。

「どこに行くのだい? アイシャ」

 両親の問いかけに彼女は答える。
 正直に素直に。

「キング様に見初みそめられに行くのです」
「そうかい、キング様に粗相のないようにな」

 両親の返事が彼女の牧歌的な育ちの良さと純朴さを表していた。
 彼女は向かう、パレードの中心へ。
 一路に一途に。
 だが、パレードへとたどり着いた時、彼女は絶望にかられた。
 彼女とキングを隔てるのは人、人、人。
 そこには大統領がいた。
 金メダリストがいた。
 ハリウッド女優もいた。
 干し草くさい田舎娘なぞ、群衆の点に過ぎなかった。
 ああ、これではキング様の姿を見る事すら叶わない。
 だからアイシャは最後の手段を取ることにした。
 絶望を胸に、希望を手に。
 左手にあるのは”祝福者”の聖痕スティグマ
 彼女は祈った、声にした。

「キング様に見初められたい!」と。

 彼女の声は人々の喧騒に消え、キングの下へは届かないと思われた。
 だが、奇跡は起こった、成った。
 人波が割れ、アイシャとキングの目が合う。
 まるで、モーセが起こした奇跡のように。
 彼女は走りだす、キングも駆けだす。
 世界の人々の中心で、アイシャとキングはそのまま抱き合い、熱い口づけをかわす。
 感極まってアイシャは涙を流し、心で叫ぶ。

 お父さま! お母さま! アイシャは幸せです!
 
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