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第1章 夢のおわり
1-14.遠征の道 花畑 蜜子
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前代未聞のアメリカ横断キング様超パレードのニュースを見た時、蜜子は喜びと悲しみに包まれた。
パレードそのものは嬉しい、だけど観覧するには渡米する飛行機とパレードのチケットが必要だ。
世界中の人々から愛されるキングのパレードである、チケット争奪戦は過酷を極め、末端価格は1万ドルを超えようとしていた。
「あーあ、どこかの神様がチケットくれないかなー」
「この”祝福”を使えばイッパツなんやけどなー。金はあっても偽物のサイトが多かけんなー」
凛悟と蜜子、藤堂の3人が”祝福”を手に入れ、出逢い、キング様ファンクラブを立ち上げてから一週間。
今日も世界は平和だった。
3人はどこかの”祝福者”が世界を脅かさないか、キング様を傷つける願いを叶えないかと警戒し、出来る限り一緒に居るようにしていたが、そんな事態にはならなかった。
当然だが、彼らは世界中の人々がキングを愛していることには気付いていない。
来るはずのない脅威を警戒しながら、今日も3人は貴族喫茶”ノーブル・オードブル”の売上に貢献する。
「そんなふたりに朗報だ。カーネ氏のニュースは知ってるな」
「知ってる。世界一のお金持ちでしょ。すんごくいっぱいキング様に寄付したっていう」
「せや、その金でキング様はアメリカ横断ウルトラパレードを開催するんやろ。あー、ワイも参加したかった」
「そうだ。その寄付金だが金額が大きすぎてかなり余るらしい」
「へー、なら余ったお金をちょっとくらいあたしたちに回してもいいのに」
そう言いながら蜜子はアイスコーヒーの氷をカラカラと回す。
「君の言う通りさ、蜜子。そして愛すべきキング様は俺達の希望に応えないはずがない」
「それってまさか!?」
「ワイらにもおすそわけがあるってか!?」
身を乗り出したふたりに凛悟はタブレットの経済ニュースを見せる。
そこには『キング様! 全世界の旅行会社を貸し切り!! さらにパレードを全米縦横無尽に拡大! チケット総数80億枚!』と表示されていた。
「なんとキング様が旅行会社をチャーターして、パレードを観覧する世界中の人の旅費を肩代わりするって話だ。しかも希望者全員が観覧できるようにしてくれた」
「もう! キング様ってはスケールビッグ過ぎ! 愛し過ぎ!」
「愛しとるでキング様! そして、それをいち早く知ったあんちゃんなら……」
藤堂の声に凛悟はニヤリと笑う。
「情報を制する者は人を制す。情報は早い物勝ち。予約も良い場所も早い物勝ちさ。3人のチケットを確保したぜ。セントルイス行きのツアーさ」
「やった! センパイ愛してる! キング様の次に!」
「キング様は殿堂入りやから、実ちゃんの次に好いとうで、あんちゃん!」
「蜜子はともかく、藤堂はライクの意味だよな」
「当然や、ハハハ」
「だろうな、そうでないと困る、アハハ」
「あたしもこまっちゃう、フフフ」
”祝福”をどう使うかということをしばし忘れ、3人は生キング様を見れる喜びに胸を躍らせた。
3日後、彼らは機上の人になった。
パレードそのものは嬉しい、だけど観覧するには渡米する飛行機とパレードのチケットが必要だ。
世界中の人々から愛されるキングのパレードである、チケット争奪戦は過酷を極め、末端価格は1万ドルを超えようとしていた。
「あーあ、どこかの神様がチケットくれないかなー」
「この”祝福”を使えばイッパツなんやけどなー。金はあっても偽物のサイトが多かけんなー」
凛悟と蜜子、藤堂の3人が”祝福”を手に入れ、出逢い、キング様ファンクラブを立ち上げてから一週間。
今日も世界は平和だった。
3人はどこかの”祝福者”が世界を脅かさないか、キング様を傷つける願いを叶えないかと警戒し、出来る限り一緒に居るようにしていたが、そんな事態にはならなかった。
当然だが、彼らは世界中の人々がキングを愛していることには気付いていない。
来るはずのない脅威を警戒しながら、今日も3人は貴族喫茶”ノーブル・オードブル”の売上に貢献する。
「そんなふたりに朗報だ。カーネ氏のニュースは知ってるな」
「知ってる。世界一のお金持ちでしょ。すんごくいっぱいキング様に寄付したっていう」
「せや、その金でキング様はアメリカ横断ウルトラパレードを開催するんやろ。あー、ワイも参加したかった」
「そうだ。その寄付金だが金額が大きすぎてかなり余るらしい」
「へー、なら余ったお金をちょっとくらいあたしたちに回してもいいのに」
そう言いながら蜜子はアイスコーヒーの氷をカラカラと回す。
「君の言う通りさ、蜜子。そして愛すべきキング様は俺達の希望に応えないはずがない」
「それってまさか!?」
「ワイらにもおすそわけがあるってか!?」
身を乗り出したふたりに凛悟はタブレットの経済ニュースを見せる。
そこには『キング様! 全世界の旅行会社を貸し切り!! さらにパレードを全米縦横無尽に拡大! チケット総数80億枚!』と表示されていた。
「なんとキング様が旅行会社をチャーターして、パレードを観覧する世界中の人の旅費を肩代わりするって話だ。しかも希望者全員が観覧できるようにしてくれた」
「もう! キング様ってはスケールビッグ過ぎ! 愛し過ぎ!」
「愛しとるでキング様! そして、それをいち早く知ったあんちゃんなら……」
藤堂の声に凛悟はニヤリと笑う。
「情報を制する者は人を制す。情報は早い物勝ち。予約も良い場所も早い物勝ちさ。3人のチケットを確保したぜ。セントルイス行きのツアーさ」
「やった! センパイ愛してる! キング様の次に!」
「キング様は殿堂入りやから、実ちゃんの次に好いとうで、あんちゃん!」
「蜜子はともかく、藤堂はライクの意味だよな」
「当然や、ハハハ」
「だろうな、そうでないと困る、アハハ」
「あたしもこまっちゃう、フフフ」
”祝福”をどう使うかということをしばし忘れ、3人は生キング様を見れる喜びに胸を躍らせた。
3日後、彼らは機上の人になった。
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