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第1章 夢のおわり
1-8.注文の店 湊 藤堂
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「いらっしゃいませ、御一行様」
カランと鈴が鳴り3名の男女が入店する。
凛悟と蜜子は藤堂の涙ながらの懇願を受け、貴族喫茶”ノーブル・オードブル”とやって来た。
いわゆる、メイド喫茶である。
「3名や。奥の個室は空いとる?」
「はい、ご案内します。メニューの他に特別な給仕サービスはご利用になられますか?」
「今日は遠慮しておくわ。またの日にな」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
特別な給仕サービスってなにかしら?
可愛らしいフリフリメイド服を見ながら蜜子は考える。
そして藤堂を見て、ロクな物じゃないねと結論付けた。
「希望すれば、ロックなもののサービスもあるで。ほら、メニューに”ぼちぼち・さ・ろっく!”って書いてあるやろ?」
思考を指摘され蜜子の藤堂を見る目が変わる。
「どうしてわかったの?」
「なんとなくや。お嬢様は疑念と呆れっぽい仕草をしとったけんな。それにもうひとりのあんちゃんは……」
落ち着いた表情を崩さない凛悟の顔を藤堂はしげしげと眺める。
「出来るだけポーカーフェイスを決め込もうって腹やね。よかね、わかっとる顔や」
「わかっちゃいないさ、わからないから出来るだけ情報を出さないのが得策と思っている」
「それが、わかっちょるってことや。ま、さっきのことは水に流して有意義な話し合いをしよや。ここはワイがおごっちゃる」
案内された奥の個室に入り、3人はメニューを開く。
「あたしは”愛情ビタミンたっぷりパフェ”」
1番高い注文に藤堂は現金なやっちゃと息を吐く。
「俺はアイスコーヒーを」
あくまでも個人的な情報を出さんつもりか。
わかりすぎとんなと藤堂は警戒の色を濃くする。
「ピッチャーで頼む」
そしてガクンと顎を落とした。
「はい、20杯分のお値段になりますがよろしいでしょうか? お大尽様」
さらに、商魂たくましいメイドにも顎を落とした。
次の注文は水だった。
カランと鈴が鳴り3名の男女が入店する。
凛悟と蜜子は藤堂の涙ながらの懇願を受け、貴族喫茶”ノーブル・オードブル”とやって来た。
いわゆる、メイド喫茶である。
「3名や。奥の個室は空いとる?」
「はい、ご案内します。メニューの他に特別な給仕サービスはご利用になられますか?」
「今日は遠慮しておくわ。またの日にな」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
特別な給仕サービスってなにかしら?
可愛らしいフリフリメイド服を見ながら蜜子は考える。
そして藤堂を見て、ロクな物じゃないねと結論付けた。
「希望すれば、ロックなもののサービスもあるで。ほら、メニューに”ぼちぼち・さ・ろっく!”って書いてあるやろ?」
思考を指摘され蜜子の藤堂を見る目が変わる。
「どうしてわかったの?」
「なんとなくや。お嬢様は疑念と呆れっぽい仕草をしとったけんな。それにもうひとりのあんちゃんは……」
落ち着いた表情を崩さない凛悟の顔を藤堂はしげしげと眺める。
「出来るだけポーカーフェイスを決め込もうって腹やね。よかね、わかっとる顔や」
「わかっちゃいないさ、わからないから出来るだけ情報を出さないのが得策と思っている」
「それが、わかっちょるってことや。ま、さっきのことは水に流して有意義な話し合いをしよや。ここはワイがおごっちゃる」
案内された奥の個室に入り、3人はメニューを開く。
「あたしは”愛情ビタミンたっぷりパフェ”」
1番高い注文に藤堂は現金なやっちゃと息を吐く。
「俺はアイスコーヒーを」
あくまでも個人的な情報を出さんつもりか。
わかりすぎとんなと藤堂は警戒の色を濃くする。
「ピッチャーで頼む」
そしてガクンと顎を落とした。
「はい、20杯分のお値段になりますがよろしいでしょうか? お大尽様」
さらに、商魂たくましいメイドにも顎を落とした。
次の注文は水だった。
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