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第11章 氷河期と明るくない未来
その11 氷河期だけど、お金があるから大丈夫だよ! えっ!? 血が足りない!?
しおりを挟むさて今回は氷河期と献血について語るぞい
献血って氷河期と関係あるの?
氷河期だけじゃない、献血の問題は全世代に関わる問題なのじゃ。
そもそも献血事業の目的は何かな?
献血から取ったタダの血で、お高い血液製剤を作って大儲けするため!
オブラート! オブラート!
ま、まあ、間違いじゃないのう。
お題目は『安全な善意の血液の提供を受ける事により、治療を必要とする患者へ輸血や血液製剤を安定的に提供する』という事じゃ。
ぼろ儲けしてるんじゃないの?
まあ、献血で最も儲かると言われる成分献血の血小板で売価は8万~15万円と言われておる。
全血だと400mlで1.5~2万円くらいかの。
血小板の値幅が大きいのは献血の時に取られる単位が10単位~20単位と個人差があるからじゃ
へー、じゃあみんなが血小板の成分献血すれば良いって事?
いや、それは患者の治療に応じる必要があるので、需要と供給を考えて献血センターはコントロールしておるぞ。
そうは言っても、やっぱ、ぼろ儲けじゃないか!
うーん、原価は献血センターのお菓子とジュース代なので数百円じゃが、献血センターの設備や勤務する看護師さんの給料も考慮すると、ぼろ儲けかどうかは不明じゃ。
まあ、日本赤十字社に天下りの噂もあるので、ある程度は儲けているじゃろて
製薬会社にも利益が必要だしね
うむ、じゃが問題はそこではないのじゃ
今、深刻なのは献血離れによる血液の不足にある。
厚生労働省『年代別献血者数と献血量の推移』と日本の人口統計から。
世代人口における献血者数の割合、すなわち献血率を計算してみたぞい。
これを見れば世代別で献血に興味があり、献血した人の心の傾向が分析できるのね。
まずは1994~2004年頃を見ると10代が最も高く、20代、30代と年齢階級があがるにつれ、献血する率が下がっておるのがわかる。
献血は30代、40代になって新規開始する人が少なく、リピート率も下がっている傾向ね。
健康上の理由もあるよね。
40代になると……体のあちこちにガタが……
ところが異変が起きておる。
2010年代周辺から若者の献血離れが顕著になり、なんと40代の献血率が世代最高になったのじゃ!
えっ!?
繰り返す、これは献血者数ではない、世代人口比じゃ
つまり、今の加齢臭が出始めた40代の方が、若くてピチピチの20代より献血に行く割合が高いってこと?
その通りじゃ、2016年の20代は6.2%しか献血に行っておらんのに、40代は7.4%じゃ。
ちなみに10代はもっと低く5.2%しかない。
これは若者(ゆとり以降)の献血離れのスピードが
バブル~氷河期世代の加齢による献血離れのスピードを上回った事を示しておる。
さっきの図の説明をちょっと変えてみたぞい。
つまり、俺たちが若い頃は社会貢献の精神が高く、それを40代になった今も維持しているという事だな。
そうそう、最近の若いもんは善意の心が減っているんだよ。
統計にちゃーんと現れている。
でも、なんでそうなったのかしら?
氷河期がバカなんだよ。
ぼろ儲けのカモにされているのさ。
という意見もあるけど?
献血の原価と売価を知らないとは考えずらいの。
氷河期世代はネットの黎明期から活動しておって、情報源をネットから取れるようになった初の世代なのじゃ。
ちなみに20年くらい前から赤十字社はぼろ儲けという話はあった。
献血のリスクや血液製剤の価格との損得も知っているよ。
あーやだやだ、これだから偽善者は
まあ、氷河期世代の献血行為が純粋な善意か偽善かはさておき、上の世代の健康の為、献血活動を続けている事は事実なのじゃ。
血液製剤の主な用途は老人の医療用じゃからの、氷河期は、その上の世代から冷遇されたにも拘わらずに社会貢献を続けているのじゃ。
なんか泣けてくる話だね。
えっ!? 薄幸の美少女向けじゃないの!?
俺の血がようじょの体内に入って生き続けていないの!?
なしとは言わんが、比率は圧倒的に老人向けじゃ。
それに、一番有効期間が長い血漿でも1年間じゃ。
血小板に至っては4日しか保たん。
使い捨てだね。
うわーん!
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