1976年生まれ、氷河期世代の愚痴

第１１章 氷河期と明るくない未来

その７ 生活保護は最後の砦だから！ 陥落しないから！ くっころ……！

さて、年金も安心して崩壊することじゃし、さらに氷河期から最後の希望を奪っておこうかの。

これ以上、何を奪う気だよ……

生活に困窮した人が頼る最後の希望……それが！

生活保護ね！

そうだ、国民には『健康で文化的な最低限の生活』を送る権利がある！

今年の猛暑の影響でエアコン設置も可能になるしね！

エアコンの効いた部屋で、一日中ネットが出来て、図書館で本を借りて読んで、家賃も出してもらえて、食費も援助してもらえ、病院代もタダになるるなんてサイコー！

これって貴族じゃね？

そうじゃな、生活保護は叩かれる事が多い理由としては、最低賃金のフルタイム労働者より待遇が遥かに良いからじゃ。
大体、ひとり暮らしで年収200万円＋α相当と言われておるぞい。
ちなみに年収200万円とは時給1250円で1日8時間、年間200日間働いた金額じゃ。

＋αって？　

医療費や水道代、ＮＨＫ受信料などが無料になる特典じゃ。

じゃが、この生活保護も氷河期が老後を迎える時には崩壊するのじゃ！

なっ、なんだってー！！

それって、とある雑誌に載っていた、氷河期世代が潜在的な生活保護受給者が約147万人になるので、政府負担で支えられないって事？

2015年の生活保護者が217万人なので、この147万人はその7割に達する、と衝撃的な見出しがついてたよね。

いくらなんでも、ここまで増えるはずないじゃない。

老人は生活保護の割合が高いとは言え、今の65歳以上の生活保護の割合は2.89%で97万人だよ。
団塊世代がそうなので、人口的にちょっと少ない氷河期は90万人くらいになるんじゃないかな。

そうかな？
この記事では147万人という衝撃的な数字がでたが、ワシの試算では違うのじゃ。

どんな試算なの？

うむ、国民年金のデータから分析してみるぞい。

2014年（作者38歳）の『国民年金被保険者実態調査』によると、氷河期世代の35～44歳（1970～1979年生）の国民年金1号加入者（サラリーマンや公務員じゃない人）は364.5万人じゃ。

35～44歳の人口総数は1846.3万人じゃから約19.7%が国民年金1号に入っておる。
※注：本作の氷河期世代の定義は1971～1982年生まれだが、
　調査資料の年齢階級の関係で1970～1979年生まれで試算しています。

そして……こいつらみんな将来は生活保護じゃ！

2044年（作者68歳）の時、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によると、氷河期世代の人口(65～74歳）は約1670.9万人と推定されておるので、老齢による人口減少を考慮すると……

ざっくり！　約330万人が生活保護じゃ！
さらに現在の高齢生活保護者と同じ約2.9%が生活保護になるとすると……

約378万人が生活保護となる！！

ざっくりし過ぎだよー！！

んな、無茶な！

未納はともかく、国民年金1号完納者は大丈夫じゃないの？

その通り、完納者は除くべきだろ、とある雑誌の記事もそうなっている。

そう思うじゃろ

じゃがな、生活保護には差額支給という物があってな、これは、生活保護より収入が少ない人は、その差額を生活保護としてもらえる制度じゃ。
そして、国民年金は満額受給でも東京都の生活保護費より低いのじゃ

あーなんか聞いた事ある

完納者がもらえる国民年金満額が月額約66,000円に対し、東京23区の生活保護は約75,000円（70歳以上）じゃ
生活保護は地域によって違うが、大都市なら国民年金満額より高い。

これに住宅扶助に加え、医療扶助と介護扶助という医療費や介護費がタダになるという特典がが付く。
生活保護はおいしいと言われる所以じゃ

老人にとって、医療扶助と介護扶助はサイコーじゃ。

ああ、つまり、国民年金1号だけしか収入がない人は全員生活保護の可能性があるって事ね。

そうじゃ、収入が国民年金しか無く、財産が無く、扶養してくれる親族がいなければ、みな資格があるのじゃ。

実際に今の老人世代には年金を受給しながら、差額補助という形で生活保護を受給している世帯がごまんとおるぞい。

だから、ざっくりしたのね。

うむ、それに前の話で年金崩壊の話をしたのでの

『じゃあ、年金支給額を増やせばいいんじゃないの』

という事はありえんのじゃ。

でもでも、国民年金1号のフリータはともかく、自営業者や社長なら老後も安泰な資産を形成出来る者がいるんじゃないの？

わしもそう思っておった……

じゃがな、まず完納者の割合が364.5万人中、148.4万人（約41%）しかおらん。

残りは未納期間があったり、特例で一部が免除されている者じゃ。

免除を含めて未納期間があると、完納より年金受給額が減ってしまうものね。

そして、やはりというか、予想通りというか、国民年金1号加入者は低所得じゃ。

うわぁ、自営業って経済的に厳しいのね……

うむ、35～44歳という事を考慮すると、一般的なサラリーマンより所得は低い。
さらに、完納者だけで見ても、所得が500万円を超えているのが約6.6%しかおらんのじゃ。

※総数が減っているのは所得不明の者がいるため

あれ？　でも女子ならお得な制度がなかったっけ？　
確か扶養されていれば年金保険料を払わなくていい制度が！

ユキちゃんが言っているのは国民年金3号の事じゃな。
本人の年収が少なく（130万円が目安）配偶者に扶養されていれば、国民年金3号に入れる。
入ると年金保険料を払わなくてよいぞい。
ちなみに、3号は男女関係なく入れるのじゃ。

理想のヒモ生活！！

配偶者じゃからな、結婚できない作者は対象外じゃ

イケメンに生まれたかった……

じゃがな、この統計は国民年金1号だけの統計じゃ、3号は入っていない。
だから、この女子の大半を占める100万円以下は結婚していない女の子じゃ。
家事手伝いという名のバイト生活じゃろう。

おおう……4070問題……
※4070問題とは氷河期が40代、その親が70代になって将来に不安が生まれている問題
　特に実家住まいの女子の問題が有名

わかったじゃろ、この国民年金1号の人たちは将来に向けた資産形成なぞ出来ておらん。
なので生活保護コースじゃ。

35～44歳だと、今から正社員になって収入が増えて人生大逆転の可能性も低いもんね。

それに離婚した国民年金3号の人や、上の人数に現れていない、厚生年金でも生活保護を受ける事になった人が出る事も考慮せねばならん。

だから、ざっくりと国民年金1号の人数（330万人）＋全体の2.9%（48万人）が老後に生活保護になるとしたのじゃ。

なるほどー