1976年生まれ、氷河期世代の愚痴

第１１章 氷河期と明るくない未来

その５ 年金も大丈夫だから！ 百年安心だから！ ちゃんとやってるから！！

今回は年金のお話しじゃ！

年金って、将来崩壊するとか言われているけど大丈夫なの？

年金については最低５年に１回は財政検証という検証を行い、将来の計画を提示し、必要に応じて制度を変えていくという事になっておる。

これが、政府が年金は大丈夫と言っている根拠じゃ。

そっか、それなら大丈夫だよね

あっ、また作者がフラグを立ててる……

では、この『将来の公的年金の財政見通し（財政検証）』の最新版を見ているぞい。
2014年の（H26)の6月発表をじゃ。

これがのう……ひどいのじゃ……

年金が崩壊するって書いてあるの？

断言しちゃったよ……

この公的年金の財政見通し（財政検証）には、崩壊の目安があってな
『所得代替率50%』という目安があるんじゃ。 

所得代替率って？

これは、現役男子の平均労働者の手取収入の何％がモデルケースの夫婦として支給されるかを示しておる。

現役男子の平均労働者が30万円/月だとしたら、年金で15万円/月が受け取れたら所得代替率50%って事ね。

その通りじゃ
ちなみに、2014年のモデルケースは現役男子の手取り収入34.8万円、年金21.8万円で所得代替率62.7%になっておる。

へー、今はけっこう良い水準なのね。

うむ、この所得代替率が50％を切ると年金世帯が生活できなくなって危ないと言われておる。
これが年金崩壊の目安『所得代替率50%』じゃ！
※明確に崩壊と書いてるわけではありません。

ちなみに、卑劣な事に現役男子の”手取り”に対し、”年金受給額”なので、今後、老人向けの所得税や住民税の変更（増税）があると、生活実態はもっと厳しくなるぞい。

相変わらず政府はやる事がこすいわね。
でも、今は62.7%じゃない、これなら少し減ってもまだ大丈夫じゃない？

そうかな？
この財政検証の2014年版にはな、経済の良し悪しによってケースＡ～Ｈの８パターンで検証されておるのじゃが……

じゃが？

現時点で、その最悪ケースＨより実績が悪い
これが、2014年の財政検証で最悪のケースＨ（上段）と実態（下段）の比較じゃ。
突っ込み所も書き込んでみたぞい。

うわぁ……本当に最悪のケースより悪い。
名目賃金は１％も上昇していないわ。
実質賃金なんて2016年だけデフレの反作用で達成しただけね。
こんな哀しい実質賃金の目標達成は初めて見たわ。

もうだめだー！

元の試算の検証が甘く、さらに消費税10%を先送りしてこのザマじゃからのう

このままだとどうなるの？

このケースＨでは2024年以降は長期展望のパラメーターで試算しておる。
その結果、2036年（作者60歳）の時に所得代替率が50%を迎えるとある。

2036年
ケースＨ：現役男子の手取り収入40万円に対し、夫婦の年金支給額で20万円

という内容じゃ

というか、2024年から長期展望の最悪ケースＨのパラメータがこれじゃ。

物価上昇率：0.6%
名目賃金上昇率：1.3%
実質賃金上昇率（対物価）：0.7%
※実質賃金上昇率（対物価）＝名目賃金上昇率―物価上昇率

あれ？　最悪ほどでもない 
むしろよさげ？

ユキちゃんがそう考えるのも無理もない。
ケースＨの低迷っぷりに対し、に2014年～2017年の実態はそれより悪いのじゃ！

えっ！？　政府が想定している2024年以降の最悪のケースより、足元の現実は悪いって事！

その通り！

こんな甘い試算を最悪のケースにしているの！？
これじゃあ、この最悪ケースＨより前に崩壊しちゃうよ！

というわけじゃ、このままでは作者が60歳になった時には、年金は崩壊しておる。
ここでいう崩壊は、生活が出来ないレベルの年金支給額になってしまう意味じゃ。

ちなみに、モデルケースは20歳から60歳までの間、収入がずっと現役世代の平均で、
40年間厚生年金を払い続けた夫と、同じく40年間国民年金に入っていた妻のケースじゃぞ。

厚生年金40年払い続けるなんてエリートじゃん！

そうじゃ！　大卒後、アルバイトで糊口をしのぎ、国民年金にしか入ってなかった期間のある氷河期は、このモデルケース以下じゃ！

それ以前にモデルケースの収入が現役世代の平均というのも厳しくない？　
だって、氷河期世代は低賃金の話でもあった通り、氷河期世代は他の世代より生涯賃金が低いんだよ。

その通りじゃ、このモデルケースとは、氷河期世代のモデルケースより遥かに上なのじゃ。

そんなエリートですら、十分な生活が出来ないレベルになるのに、いわんや氷河期おや、よね。

そうじゃ、しかも崩壊するタイミングがまずい。

作者が60歳の時だもんね。

政府がそのまま崩壊させるはずがないのでの、支給年齢の引き上げや、場合によっては支給の減少、見えないパラメータとして健康保険の自己負担率の上昇が考えられる。

特に氷河期世代は世代数が多いのでな、この世代を対象に締め付けを行う可能性が高い。
逆に言えば、氷河期世代を今の制度のまま進めると崩壊してしまうのじゃ。

『福祉対象は世代数が少ない世代へ、締め付けは世代数が多い世代へ』ね！

ざまぁ

一度崩壊すればいいんだよ。
そして賦課方式でなく、積立方式に移行すれば、払い損がなくなるしな

という下の世代の声もあるけど？

そう言っておるが、他人事ではないんじゃ。
この所得代替率を小手先のテクニックで見えないようにする方法には……
なんと作者たち氷河期より若い世代に影響を与える方法もあるのじゃ！

はい！？