1976年生まれ、氷河期世代の愚痴

相田 彩太

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第11章 氷河期と明るくない未来

その3 お父さんは心配しろ

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さて、前回の続きじゃが、プライマリーバランスのプラス化とは

『国債の借り換えを除いて、国家の歳入≧歳出にする』

要するに、借金の借り換えを除いて、収入より支出を少なく抑えるという事じゃ。
こうなれば、国債残高は少しずつ減るようになる。


今は歳入<歳出になっておるので、国債残高がどんどん増えておる。
プライマリーバランスをプラスにして、国債残高を減らす方向にしようとしていたのじゃ。


で、約20年近く経ったけど……その計画はダメだったみたいね。


うむ、当初は2005年を目標にしていたが、不良債権問題で先送り。
次に2010年代前半を目標にしていたが、リーマンショックで先送り。
この前まで2020年を目標にしていたが、消費税8%による景気低迷で……先送り。
今は2025年を目標にしておる。


全然ダメじゃん!


はっきり言えば2025年も無理だと思っておる。


なんで?


2019年の消費税10%への増税と2020年の東京オリンピック終了後の景気低迷が予想されておる。
これでプライマリーバランスの黒字化なんぞ……


ちゃんちゃらおかしい


こんこんちきなのね。


い、いや2020年から2025年まで5年間あるから……


2014年の消費税増税から目標としていた2020年まで6年あっても出来なかったけど?


デキッコナイス!


本当に国債はあぶないのじゃよ。
前々回に登場した国債の海外保有高のグラフに手を加えて、短期と長期に分けてみたぞい。




あっ! 昔に比べて短期の割合が増えてる!


これが意味する所は、海外の投資家が長期の日本国債にリスクがあると思っているからじゃ。


単純に考えれば長期の方が利率が得だからね。


うむ、じゃから短期で回してリスクを回避しておる。
1年は大丈夫だと思っていても、数年後はわからん。
いつ決壊しても対処できるようにしておるのじゃ。


そんなにあっさり決壊するはずないだろ! 


数年で決壊するとは思っておらんが、20年後はわからんのじゃ。
この際じゃから、国内の国債残高を無視して、海外の国債残高を中心に日本家を見てみるぞい。

---------------------------------------------------------
20年前
1997年の国債海外残高:約23兆円
1997年の国債国内残高:約298兆円 
1997年の日本の税収(一般会計):約54兆円
1997年の日本のGDP:約530兆円
※作者21歳


2017年の国債海外残高:約122兆円 (20年前比,530%)
2017年の国債国内残高:約970兆円(20年前比,326%)
2017年の日本の税収(一般会計):約58兆円(20年前比,107%)
2017年の日本のGDP:約550兆円(20年前比,104%)
※作者41歳
---------------------------------------------------------


あの……20年前との比較だけで絶望するんですけど……


うむ、これを家庭に例えたドラマ仕立てにするとこうなる。

--------------------------------------------------
おとーさん(政府)
お母さん(日銀)
子供(国民)
町金(海外金融機関)
--------------------------------------------------

◆20年前の日本家

「おとーさん、おとーさん」

「なんだい?」

「おとーさんって、お母さんや親戚の人にお金いっぱい借りてるけれど大丈夫なの?」

「大丈夫、大丈夫、日本一族は仲良しだから」

「そーなんだ、でも町金にも借りているよね、どれくらい借りてるの?」

「えーと、給料の5.2ヶ月分(年間の税収の約43%)くらいかな?」

「ふーん(それくらい大丈夫かな)」

◆現在の日本家

「おとーさん、最近借金が増えているけど大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫、まだまだ大丈夫」

「そーいえば、町金の借金って、増えてるみたいだけど、今どれくらい?」

「えーと、俺の年収(年間の税収)の2.1倍くらいかな?」

「えっ!? 」

「大丈夫、親族が一丸となって立ち向かえば大丈夫だから」

「ねえ、町金の借金って、日本一族全員の年収のどれくらいかな?」

「うーん22%(日本のGDPの22%)くらいだね」

「(ダメだこいつ……早くなんとかしないと……)」

----------------------------------------------------------


120兆円って日本のGDPの22%にも達するんだ……


海外限定でこれじゃからのう

国債は大丈夫理論は20年前から言われていて、その論調は全く変わっておらん。
じつの所、彼らの言う『国債は大丈夫』は『国債はデフォルトしない』としか言っておらん。

確かにデフォルトはせんかもしれん。
日本がデフォルトすると世界経済が悪化するので、IMFや各国が資金を融資して何とか防ぐじゃろ。
融資する代わりに公務員給料の削減や社会保障の悪化、増税と引き換えにな。


『デフォルト”は”しない』


そう言っている人たちは、増加しすぎた国債の影響による増税や社会保障の悪化についても大丈夫、とは一言も言っておらんのじゃよ。


そして、20年後に大丈夫でなくなったら……
60代に突入した氷河期はなすすべが無いのです。


でも、状況は年々悪くなっているにもかかわらず、まだ大丈夫、まだまだ大丈夫と言い続けているのね。


ああ……だから……壊れたレコードのように……


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