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第11章 氷河期と明るくない未来
その2 10年前と20年前から……あんじてる
しおりを挟むさて、前回はじわじわと死に近づくと語ったが、未来はどうなるのか予想してみようかの。
10年後は大丈夫だろうけど、20年後にどうなるかね。
うむ、ここ20年で増えた国債の海外残高は約5倍に増えておる、同じペースで増えたとして試算すると……
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国債海外残高の試算A(1997~2017年と同じ増加率で増えたパターン)
1997年:23兆円
→2017年:122兆円
→2037年:613兆円
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そんなになっちゃうの!?
これは大げさじゃが、その可能性はある。
単純に20年間に100兆円増えておるから、同じ額が増えたとしても
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国債海外残高の試算B(1997~2017年と同じ額で増えたパターン)
1997年:23兆円
→2017年:122兆円
→2037年:221兆円
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物価はややデフレ気味じゃから『B』の可能性の方が高いかの。
こうなると年利1%でも2兆円の富が海外に流れる事になる。
ちなみに2017年の税収は約58兆円じゃ、税収の3%以上が毎年海外に持ってかれるとおしまいじゃ。
もはや、財政を立て直す事はできなくなる。
あれ? 国債の金利ってもっと少なくなかったっけ?
というかマイナスだろ、もっと勉強しろよ。
金利の少なさは日本の信用の現れなんだよ。
バーカ、バーカ!
という意見もあるけど。
明らかに損する投資を海外の投資家がするはずがなかろう……
財務省によると2017年度の一般会計における国債費の利払費等は約9.2兆円じゃ。
2016年12月末の国債残高が1083兆円じゃから、国債残高に対して約0.85%の利払いをしておる。
これが、一般会計の国債費の内訳にある『利払い費等』とそれを国債全残高で割った利払い利率の推移じゃ。
マイナス金利の導入もあり減少傾向じゃが、利払い費は9~10兆円、利払い利率は1%前後じゃな。
逆に言うと、1%前後の利回りにしないと海外投資家は買ってくれなくなるのじゃ。
買ってくれないと、予算が足りなくなり、やりたかった事業、やるべき事業へのお金の投資が出来なくなる。
しまいには、金利を上昇せざるを得なくなり、元の木阿弥じゃ。
で、でも、この国の借金は国民の財産でもあるから……
国民の財産というが、正確には国債を持っている人の財産じゃ。
作者のような金融資産を持っていない貧乏人には関係ない。
お金なんてらららら
そっか、持っているのは日銀や銀行やお金持ちの個人だもんね。
でも、それなら作者も含めた大半の国民は蚊帳の外なので大丈夫じゃないの?
それは違うぞ、ユキちゃん。
いいか、国は国債に対してちゃんと償還しなくてはならない。
そうしないとデフォルトとなってしまうのでの。
そしてその原資は税金じゃ。
その財政が厳しくなるとな
徴税だー! ヒャッハー!
こうなる
『国民ひとりあたりの借金』とは『将来的な徴税額』と読み替える方が正しいのじゃ
ほ、ほら、日本の個人の財産は国債発行額より多いから大丈夫という話も!
日本の個人の財産を使って国債残高を何とかするという事は
財産税だ! ウラー!
という事じゃぞ
ほ、ほら、日本政府の資産を売れば、株とか土地とか外国債とか!
株を売ると株価が下がる、土地を売ると地価が下がる、景気が悪化する。
そして、米国債を売るとアメリカ大激怒じゃ。
米国債保有額を減らすと言っただけで、なぜか辞任にまで追い込まれた総理もいたじゃろ。
あっ、橋本総理……
なぜだろなー
資産はあるが、それを使って一気に解消する事は出来ん。
そうなれば利息分や元本を少しずつ解消する方法しか取れんのじゃ。
それで10年延命する事は出来ても、20年延命できるかはわからないし、資産が減り始めて5年もすれば、足元をみすかされるぞ。
うわっ……あの家のお父さんは家財道具を売って生活費を捻出している……
こんな感じじゃな。
また、政府の資産があるとは言ってもな、政府の純債務(総債務から資産を引いた負債)は年々悪化しておるのじゃ。
こりゃダメだわ
『国債は大丈夫』理論はな、10年後は大丈夫かもしれんが、20年後は大丈夫でない可能性が高いのじゃ。
この国債を何とかしようという話は2000年初頭には言われておってな、プライマリーバランスをプラスにするという計画があったのじゃ。
プライマリーバランスって?
うむ、それは次の話で説明するぞい。
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