1976年生まれ、氷河期世代の愚痴

相田 彩太

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第7章 氷河期と社会的不安(経済)と社会的不安(災害)

その2 無能……どこまでも無能!

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さて「再チャレンジ支援総合プラン」じゃが、これには主に3つの施策が検討されておったぞい

1.国家公務員に2007年度より年齢制限なし、経験不問の中途採用者選考試験(再チャレンジ試験)を実施
 また、社会人経験者のスペシャリスト採用を実施


これは、国が率先して氷河期世代を採用する事により、一般企業での採用も促進させるという事じゃ。


2.2007年度税制改革に『再チャレンジ支援寄付金税制』を実施。


これは、ちょっと特殊でな、例えばA社が、ニートやフリーターを採用したB社に寄付をする。
すると、寄付金に応じてA社が税控除を受けられるという制度じゃ。

政府は助成金を出さずに済む。
B社はニートやフリーターを採用するとA社から寄付がもらえる。
A社は税控除を受けられる。

という、革新的な制度じゃ。

3.年長フリーター(25~34歳)をトライアル雇用から常用雇用に移した企業に対し
 『若年者雇用促進特別奨励金』(1名あたり30万円または20万円)を支給。


あっ!? 前より支給額が増えてる。


うむ、以前にも『若年者トライアル雇用』という似た制度は以前からあったが、助成額は最大15万円じゃった。
助成金が、その2倍に増えておる。
また、年齢を25~34歳に絞る事で氷河期のみを対象となったぞい。


以前は『トライアル雇用』という全年齢対象の助成もあったものね。


それに、対象者を過去3年間雇用保険に入ってなかった者と限定する事で、本当にフリーター、ニート向けになったぞい。

4.『フリーター25万人常用雇用化プラン』を立て、ハローワークと協力する事で正規雇用を促進。
 ※助成金は出ない


4.はちょっと微妙ね。
助成金が出ないのはマイナスだわ。


ところが! この4.はそれなりに成果が出たのじゃ!
2007年度はフリーター約25.8万人の常用雇用化実現しておる!


おお! そんなに世間では好景気で人手不足だったの!?
これは1.~3.も期待が持てるわ!
結果はどうなったの!?


うむ、その後じゃが……

1.その後
 中途採用者選考試験(再チャレンジ試験)
 2007年度は申込者数25,075名、合格者数162名、倍率154.8倍。
 スペシャリスト採用は申込者748名、合格者4名、倍率187倍


ちなみに、このスペシャリスト採用では受験要件に新司法試験合格という枠があったりする超難関じゃ。
しかも、その新司法試験合格資格があっても2007年度では申込者数24名、合格者2名、倍率12倍という超難易度じゃ。


司法試験合格の上、倍率12倍って、無理ってレベルじゃねーぞ!


というか、採用が少なすぎよ! 
万人規模の採用とまでは言わないまでも、千人規模は欲しいでしょ!


いやー、景気は良くなって来ているが、それでも税収は少なく、財政は火の車のままじゃ、そんな余裕は政府にない。
結局はパフォーマンスじゃな。


2.その後
 『ニートやフリーターの定義があいまいなまま制度を導入すれば、課税逃れに悪用されかねない』として、ニートやフリーターを除外。


結局は『障害者の雇用の機会の確保』として障害者に限定されたぞい。


うわぁ、何の役にも立ってない。


うむ、期待させるだけさせといて落とすという最悪の結果じゃ。

3.その後
 『若年者雇用促進特別奨励金』は
 2007年度の利用者は目標1175名以上に対し、実績154名という惨敗。


「若年者雇用促進特別奨励金」2007年度は制度の問題で失敗に終わった。


でもどうして? お金がもらえる助成金という制度は強いんじゃないの?


「若年者雇用促進特別奨励金」の対象者要件がのう……


要件? 年齢の他に何かあったの?


要件は主に3つあっての

『1.開始日現在の満年齢が 25 歳以上 35 歳未満の者』
 

普通ね


『2.開始日の前日から起算して3年前の日から開始日までの間において、雇用保険の被保険者でなかった者』


3年間雇用保険に入らない条件は、フリーター限定になるのでちょっと厳しいわね。 
期間工や派遣労働者向けじゃないのが良くないわね。


ここまでは理解できるのじゃが、3つ目がのう?


どんなのかな? 想像を上回るひどさなのかな?

『3.安定所長(ハロワ所長)が安定した職業に就くことが著しく困難であると認める者』


要するにこういう事じゃ


ボクは無能で安定した職業につけません(求職者)


うむ、君の言う通り、君は無能だ! それを認めよう!(ハロワ所長)






斜め上のひどさだ―!!
なにこれ? バカにしてんの!?


なぜ、こんな文言を入れたのか判断に迷う所じゃが、この3項目はハロワ所長の裁量による部分が大きいので、2009年には廃止されたぞい。

結局、この「再チャレンジ」は2007年9月の参院選で安倍自民党が惨敗し、何の成果も出せないまま立ち消えになってしまった。


なんの成果も出せませんでした~!!


い、いちおう「フリータ25万人常用雇用化プラン」はそれなりに……


第1次安倍内閣が2006年9月~2007年8月なので、1年程度では成果が出ないのは当たり前ね。


そうじゃな、雇用対策は結果が出るまで複数年に続け、成果が出なければ追加政策を加えるべきなのじゃが、この頃は総理が1年毎に変わると揶揄されるほど政治が安定してなかったのじゃ。

こうして、この第1次安倍内閣での「再チャレンジ」はグダグダになって終了した。
次の福田内閣では下火になるぞい。


景気が好景気(自称)で安定してきたと言えども、氷河期世代の雇用はまだまだ厳しかったのね。


そうじゃ、その頃、海の向こうでは「サブプライムローン問題」が出始めて、ウカウカしてられん状況に入りつつあるのに……


崩壊の足音は聞こえ始めていたのね。


だから……崩れゆく人生に……



参考文献:人事院「年次報告書」、財務省「毎年度の税制改革」、厚生労働省 「厚生労働白書」、「若年者雇用促進特別奨励金支給要領(平成 19 年4月 23 日付)別添3」
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