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第5章 氷河期と崩壊していくバブル
その1 ドーモ、バブルスレイヤーです
しおりを挟む1989年12月 ジャパン トウキョウシティ……
バブルの真っただ中、そいつは現れた
ドーモ、バブルスレイヤーです!
バブル潰すべし!
という訳で、バブル崩壊編じゃ!
いきなりバブルスレイヤー=サンが登場しているんだけど……
あれは1989年12月17日に日銀総裁に就任した三重野 康さんじゃ
『平成の鬼平』という異名も持っておるぞい。
それだけではない、バブルスレイヤー=サンはひとりではなかったのじゃ
ドーモ カブカスレイヤーです
大蔵省証券局長 角谷 正彦さん
ドーモ ジアゲスレイヤーです
大蔵省銀行局長 土田 正顕さん
このふたりもバブルスレイヤーさんの頼もしい仲間じゃ
この時、政府はある程度バブルを認識しており、上がり過ぎた株価や土地の抑制に動いていたともいわれておるんじゃ。
その証拠に1989年4月には消費税3%を導入しているぞい
消費に税をかける事で、消費抑制と税収増を図ったのじゃ
げぇー、諸悪の根源消費税!
うむ、消費税論争は色々があるが、日本の消費税は悪いタイミングで実施されておる。
じゃが、このタイミングは比較的ましかもしれん。
消費税が導入されてもバブルは続いたのじゃからな
バブルの崩壊は1991年と言われているからね。
それだけではない、株や土地への投資抑制の為に公定歩合も引き上げ始めたぞ。
ドーモ、バブルスレイヤーです。
オカネ! 貯金すべし!
1983年10月22日:5.0%
-----1985年9月22日プラザ合意-----
1986年1月30日:4.5%
同年3月10日:4.0%
同年4月21日:3.5%
同年11月1日:3.0%
1987年2月23日:2.5%
--------バブル景気-------
1989年 5月31日:3.25%
同年10月11日:3.75%
同年12月25日:4.25%←いまここ
1990年 3月20日:5.25%
同年 8月30日:6.00%
バブルスレイヤーさん就任以前から少しずつ上昇していたのね。
そうじゃ、じゃがバブルスレイヤーさんは就任後すぐに公定歩合を上げ、
半年少々でプラザ合意以前を超える6.0%まで上昇させたのじゃ
この時にお年玉を10年定期にしていれば……
うむ、未来は誰にもわからないが、バブルの最適解はバブルで儲けた金をこの1990年の後半に10年定期にする事じゃな。
10%以上の定期もあったぞい。
さらにバブルのインチキブーストにもメスが入る。
1989年11月に大和証券の『損失補填』が発覚しておってな、政府に批判が集まっておったのじゃ
大企業だけ『損失補填』されるなんでずるい! 俺も! 私も! 僕も!
事後の損失補填は脱法だったわね。
うむ、じゃから大蔵省はこの『損失補填』とその温床であった『営業特金』に規制を出すぞ。
ドーモ、カブカスレイヤーです。
営業特金! 死すべし!
=============================
1989年12月26日付大蔵省証券局長通達(通称 角谷通達)
1990年3月期末までに『営業特金の廃止』しなさい
その時の契約解除には『損失補填禁止』ね
もちろん『にぎり』のような『特別の利益提供も禁止』
=============================
まあ、意訳するとこうじゃ
法律じゃないの?
法律が制定されるのはもう少し先じゃな。
じゃから通達じゃが、この頃の証券会社は業種への参入が許可制じゃったのでの。
通達に従わない場合『営業許可を取り消す』
これが局長権限で可能じゃったのじゃ。
これは従わざるを得ない!
そして、土地の値上がりにも大鉈が振るわれたのじゃ
ドーモ、ジアゲスレイヤーです
ジアゲ! 殺すべし!
=============================
1990年3月27日通達『不動産融資総量規制』
不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑えなさい
=============================
つまり、どーゆうこと?
よーするに『土地などの不動産向けの投資に熱狂するな、別分野にも融資しろ』ってことじゃ
不動産への投資伸び率は、その他も含めた全体平均以下にしなさいね、って事じゃな。
これじゃぁ、マイホームが買えないよ
あれ? 国民の不満があがっているよ。
うむ、じゃからこの総量規制には抜け穴が用意されておった。
それが『住専』じゃ!
住専って? 今はあんまり聞かないわね。
『住専』は正式『住宅金融専門会社』と言い、元々は一般市民向けの住宅ローンを専門に融資する金融機関じゃ。
色々な銀行や農協が出資しておったぞい。
住専は8社くらいあったのじゃ。
住宅ローン専門じゃから、不動産の融資しかない。
じゃから住専はこの総量規制の対象外じゃったのじゃ。
でも抜け穴なら……
そうじゃ、銀行はリスクの高い客に対し、住専を紹介しておったのじゃ。
銀行は住専に出資しておるからの、口利きと言う名の圧力をかける事が出来たのじゃ。
そのリスクって?
「金かさんかコラァ!」
「金は返さんぞゴラァ!!」
とまあ、その中にはヤクザや返済能力の無い人も含まれておったのじゃ。
これが後の『住専問題』に発展するぞい
うわぁ……さらに死亡フラグを重ねるんだ。
うむ、このバブルスレイヤーさんと仲間たちの大活躍の甲斐もあって、株価は1990年から、土地は1992年から下がり始めたのじゃ。
株も土地も投資に制限が入ったのね。
そうじゃ、それだけでなく、公定歩合も上がったのでな、リスクのある株や土地へ投資するよりも一旦貯金に回すようになったんじゃ。
営業特金の『にぎり』は違法で8~10%だけど、貯金なら合法ノーリスクで6%、定期ならもっと高いもんね。
うむ、リスクを考えると、どっちが得かは明白じゃな
でもちょっとやり過ぎじゃない?
やりすぎじゃったー!!
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