1976年生まれ、氷河期世代の愚痴

相田 彩太

文字の大きさ
上 下
19 / 71
第5章 氷河期と崩壊していくバブル

その1 ドーモ、バブルスレイヤーです

しおりを挟む

1989年12月 ジャパン トウキョウシティ……
バブルの真っただ中、そいつは現れた


ドーモ、バブルスレイヤーです!
バブル潰すべし!


という訳で、バブル崩壊編じゃ!


いきなりバブルスレイヤー=サンが登場しているんだけど……


あれは1989年12月17日に日銀総裁に就任した三重野 康さんじゃ
『平成の鬼平』という異名も持っておるぞい。

それだけではない、バブルスレイヤー=サンはひとりではなかったのじゃ


ドーモ カブカスレイヤーです
大蔵省証券局長 角谷 正彦さん


ドーモ ジアゲスレイヤーです
大蔵省銀行局長 土田 正顕さん


このふたりもバブルスレイヤーさんの頼もしい仲間じゃ

この時、政府はある程度バブルを認識しており、上がり過ぎた株価や土地の抑制に動いていたともいわれておるんじゃ。

その証拠に1989年4月には消費税3%を導入しているぞい
消費に税をかける事で、消費抑制と税収増を図ったのじゃ


げぇー、諸悪の根源消費税!


うむ、消費税論争は色々があるが、日本の消費税は悪いタイミングで実施されておる。
じゃが、このタイミングは比較的ましかもしれん。
消費税が導入されてもバブルは続いたのじゃからな


バブルの崩壊は1991年と言われているからね。


それだけではない、株や土地への投資抑制の為に公定歩合も引き上げ始めたぞ。


ドーモ、バブルスレイヤーです。
オカネ! 貯金すべし!

1983年10月22日:5.0%
-----1985年9月22日プラザ合意-----
1986年1月30日:4.5%
  同年3月10日:4.0%
  同年4月21日:3.5%
  同年11月1日:3.0%
1987年2月23日:2.5%
--------バブル景気-------
1989年 5月31日:3.25%
 同年10月11日:3.75%
 同年12月25日:4.25%←いまここ
1990年 3月20日:5.25%
 同年 8月30日:6.00%



バブルスレイヤーさん就任以前から少しずつ上昇していたのね。


そうじゃ、じゃがバブルスレイヤーさんは就任後すぐに公定歩合を上げ、
半年少々でプラザ合意以前を超える6.0%まで上昇させたのじゃ


この時にお年玉を10年定期にしていれば……


うむ、未来は誰にもわからないが、バブルの最適解はバブルで儲けた金をこの1990年の後半に10年定期にする事じゃな。
10%以上の定期もあったぞい。


さらにバブルのインチキブーストにもメスが入る。
1989年11月に大和証券の『損失補填』が発覚しておってな、政府に批判が集まっておったのじゃ


大企業だけ『損失補填』されるなんでずるい! 俺も! 私も! 僕も!


事後の損失補填は脱法だったわね。


うむ、じゃから大蔵省はこの『損失補填』とその温床であった『営業特金』に規制を出すぞ。


ドーモ、カブカスレイヤーです。
営業特金! 死すべし!

=============================
1989年12月26日付大蔵省証券局長通達(通称 角谷通達)

1990年3月期末までに『営業特金の廃止』しなさい
その時の契約解除には『損失補填禁止』ね
もちろん『にぎり』のような『特別の利益提供も禁止』
=============================


まあ、意訳するとこうじゃ


法律じゃないの?


法律が制定されるのはもう少し先じゃな。
じゃから通達じゃが、この頃の証券会社は業種への参入が許可制じゃったのでの。


通達に従わない場合『営業許可を取り消す』


これが局長権限で可能じゃったのじゃ。


これは従わざるを得ない!


そして、土地の値上がりにも大鉈おおなたが振るわれたのじゃ


ドーモ、ジアゲスレイヤーです
ジアゲ! 殺すべし!

=============================
1990年3月27日通達『不動産融資総量規制』
不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑えなさい
=============================


つまり、どーゆうこと?


よーするに『土地などの不動産向けの投資に熱狂するな、別分野にも融資しろ』ってことじゃ
不動産への投資伸び率は、その他も含めた全体平均以下にしなさいね、って事じゃな。


これじゃぁ、マイホームが買えないよ


あれ? 国民の不満があがっているよ。


うむ、じゃからこの総量規制には抜け穴が用意されておった。
それが『住専』じゃ!


住専って? 今はあんまり聞かないわね。


『住専』は正式『住宅金融専門会社』と言い、元々は一般市民向けの住宅ローンを専門に融資する金融機関じゃ。
色々な銀行や農協が出資しておったぞい。
住専は8社くらいあったのじゃ。

住宅ローン専門じゃから、不動産の融資しかない。
じゃから住専はこの総量規制の対象外じゃったのじゃ。


でも抜け穴なら……


そうじゃ、銀行はリスクの高い客に対し、住専を紹介しておったのじゃ。
銀行は住専に出資しておるからの、口利きと言う名の圧力をかける事が出来たのじゃ。


そのリスクって?


「金かさんかコラァ!」

「金は返さんぞゴラァ!!」


とまあ、その中にはヤクザや返済能力の無い人も含まれておったのじゃ。
これが後の『住専問題』に発展するぞい


うわぁ……さらに死亡フラグを重ねるんだ。


うむ、このバブルスレイヤーさんと仲間たちの大活躍の甲斐もあって、株価は1990年から、土地は1992年から下がり始めたのじゃ。


株も土地も投資に制限が入ったのね。


そうじゃ、それだけでなく、公定歩合も上がったのでな、リスクのある株や土地へ投資するよりも一旦貯金に回すようになったんじゃ。


営業特金の『にぎり』は違法で8~10%だけど、貯金なら合法ノーリスクで6%、定期ならもっと高いもんね。


うむ、リスクを考えると、どっちが得かは明白じゃな


でもちょっとやり過ぎじゃない?


やりすぎじゃったー!!

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

美人女子大生を放心状態にさせ最後は大満足させてあげました

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
俺と若い女子達との素敵な実話です

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...