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第八章 動転する物語とハッピーエンド
座敷童子と龍の髭(その4) ※全4部
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◇◇◇◇
「ひいばあちゃん、おひさしぶりー! 誕生日おめでとー!」
「今年で99歳なんですって。たしか……なんて言ったっけ?
「白寿よ、白寿! だから私達は白いちゃんちゃんこを用意したんじゃないの」
女中が入ってきて数十分後、追加で入ってきたのは、この絹世の3人の曾孫たち。
「ひさしぶり。幸一、果縫、蝶子。ほんにまあ、おおきゅうなって」
曾孫たちの握手に応えるように絹世はほんの少し嬉しさのこもった声を出す。
「やだもー、それってお母さんやおじさんおばさんの名前だよ。ひいばあちゃんの孫の名前」
「仕方ないさ。ひいばあちゃんは99歳にもなったんだし」
「そうよね。じいちゃんばあちゃんたちも年のせいで体調が悪くてこれなかったし。しょうがないか」
曾孫たちに囲まれる絹世を我と千世は数歩下がった部屋の隅から見る。
時折、一歩下がった所から、女中が菓子作りの台の準備をしながらこちらをチラチラ見ている。
おそらくこの座敷童子の千世に興味がるのだろう。
『家にも欲しー』なんて言っておったからな。
ま、それは叶わぬのだが。
(これもお主の差し金か?)
(そうだ、部下に調べさせ、我が今日ここに来るよう導いた。やはり祝いの席ならば親族が居た方が良かろう)
単に小石丸亘理の反物を手に入れるだけなら数日前に済んでおった。
ここへの再来に日数を要したのは、瀬戸大将が見つけた絹世の子孫たちに今日の祝いの日への参集を促すため。
ま、鳥居の弁舌と、讃美の魅了と、我の権能をもってすれば造作もないこと。
(それだけではない、祝いの菓子も連れてきた)
(菓子を連れてきた? それがあの菓子職人とやらか)
座敷童子と女中の視線が合い、女中がこちらに向けて軽く手を振った。
「さて、みなさん! ここからはそこのおばあさんの白寿の祝いにお菓子作りを披露しまーす。さささ、ちょちょっと広がって下さい」
女中の声に曾孫たちは「いよっ、待ってました」と声をかけ、ベッドの左右に広がり、女中を中心に半円を描く。
曾孫たちの手によりベッドの背がウイィーンと機械音を伴って上げられ、絹世は女中の様子が見える体勢になった。
「さてさて、お立合い! この透明のケースに入っている粉はコーンスターチ! トウモロコシから作るデンプンの粉。片栗粉のトウモロコシ版です」
女中が準備した台の上は直方体の透明のケースで覆われていた。
透明のケース後ろは、手が入れられるよう、太いビニールの暖簾のようなものが垂れ下がっている。
女中は後ろから手を入れ、その粉をサラサラをかき回す。
透明ケースの覆いは粉が飛び散らぬためだ。
(移動して正面から見よう。あれは見世物としては上々ぞ)
我の声に同調して、座敷童子は移動する。
彼女が絹世の隣に立ったのは、いつもの習慣か、それとも絹世が食べられる菓子なのか心配してのことだろうか。
カンカンカン
「さて、これは飴です。麦芽糖に少々の蜂蜜ともち米の粉入れて作った飴。水分が抜けてカチカチなのでこんな音がしまーす」
中心に穴が空いてドーナツ状になった飴をカンカンと台に打ち付けながら説明する。
相変わらず堅そうな音だ。
「さてさて、これをキュッキュッっとドーナツの輪を広げるように延ばして延ばして、輪ゴムのような形になるまで広げていきまーす。ふんす! ふんす!」
少し顔を紅潮させながら、女中の手が飴をゴムのように延ばしていく。
「さーて、この2本の飴を、これから16384本まで増やしていきますよー! そこの賢そうなお兄さん、16384本って何だかわかりますかー?」
指に飴の輪をかけ、それを左右に伸ばしながら珠子は曾孫のひとりに問う。
「えっと、2の14乗!」
「おっ! 見た目通り、かしこいですねー! そう、これからこれをおりたたんでー、のばすとー、はい! 2本が4本になりました、2×2で4本、これをさらにおりたたんでー、2×2×2の8本、さらにさらにで2×2×2×2! 2の4乗で16本でーす!」
折り曲げるたびにコーンスターチの粉をまぶしながら女中は口上を続ける。
「うわー、ゴムみたーい。だけど料理人さん、2の16乗で16384本ってことは、これをあと12回も続けるってこどでしょ。切れちゃわない?」
「へへっ、そこがあたしの腕の見せ所! 切れずに最後までいったらご喝采! さあ、始めますよー! 16本が32本! 32本が64本! 64本が128本! はい、百をこえましたー!」
最初は粘土で作った縄のようだった飴も、今や太目の木綿糸のように細くなっている。
そして、さらに細く、さらに細く、女中の手が交差するたびに、飴の糸はその本数を増やし、その身を細くする。
「1024本! 千をこえましたー! さあ! あと少しですよー! 2048、4096、8192! ここから一万を大きくこえてー! いちまんろくせんさんびゃくはちじゅうよーん!」
女中の最後の声に合わせて周囲から「おぉー!」という声と拍手が鳴り渡る。
我もあのパフォーマンスを最初に見た時は驚いた。
数秒ごとに倍々と増えていく飴の糸。
それは、女中の手の中で薄茶色の飴の紐が煌めく白い絹糸に変わっていくようであったから。
「うわーすごーい! キラキラの絹みたーい!」
「こんなに細くなるんだ。こりゃ見事な腕だわ」
「すごいもの見れてよかったな、ひいばあちゃん」
目は弱っているが光が見えているのだろうか、絹世の目も喜びで細まっているように思える。
「さて、あとはこの糸の中心に胡桃のペーストを置いてクルクルクル―とまいていけば、まずはひとつ完成でーす! 胡桃ペーストはビーナッツバターの胡桃版とも言うべきものでして、歯の弱いお年寄りでも楽しめちゃうんですよ」
「あっ、そう言えばビーナッツバターは元々、病人や老人の介護食のために開発されたって聞いたことがあるわ」
「お詳しいですね。はい、ピーナッツバターはあのシリアルで有名なジョン・ハーヴェイ・ケロッグさんが病人や老人に栄養があるものを食べさせるために発明されたのですよー。グゥーレイトォ!」
会話を続けながらも女中の手は止まらない。
絹糸のような飴を胡桃ペーストにクルクルと巻き付け、菓子は次々と出来上がる。
「うわー!? これって絹糸みたいだったけど、巻かれると繭みたーい!」
「料理人さん、これって何というお菓子ですか?」
「これは”龍の髭”というお菓子です。元は中国の宮廷料理で龍髭糖とも呼ばれています。中国では一般的ですが、日本では中華街や一部の店舗でしか売られていないレアなお菓子でーす!」
伝説のあやかし”龍”。
その名を冠したこの”龍の髭”は、その名の通り、風の中で光り輝く龍の髭のような煌めきを持っていた。
「では、まずはパーティの主役の絹世さんから召し上がって頂きましょう!」
「そうだな。はい、ひいばあちゃん、ケーキは駄目でもこれなら食べられるかな?」
「きっと大丈夫よ。これって飴の糸と胡桃のペーストでしょ」
「きっと綿あめのように口で溶けていくから、あーんして」
飴の繭の大きさは、まさに蚕の繭、それも小さい種の小石丸亘理ほど。
このサイズなら老人にも食べやすかろう。
絹世の口が小さく開き、そこに”龍の髭”が放りこまれる。
その口がモムモムと動いた時、彼女の目が大きく開かれた。
「おいしぃ~、おいしいねぇ~、甘くってサクサクしてて」
開かれた目はその目尻が下がり、次を求めるように口が開く。
「よかった。気に入ってもらえたみたい」
「ほら、おかわりだよ」
次の”龍の髭”が口の中に入れられ、絹世はまた嬉しそうに口を動かす。
「あら? よっぽど気に入ったみたいね。自分からお皿に手を伸ばしているわ」
「ほんとだ。はい、ひいばあちゃん、まだいっぱいあるからたんと食べな」
「私達もひとつだけ食べましょ。とっても美味しそうなんですもの」
曾孫たちも”龍の髭”をひとつずつ取り、それを口に入れる。
我は知っている、それを口にした時の驚きを。
数日前に味わったからな。
「えっ!? なにこれ? こんなに細いのにサクサクしてるぞ!」
「綿あめのように口で溶けない!? いや、でも溶けてく! 歯を使わなくても、舌と上あごだけでサクサクと溶ける!」
「ああ……、そのサクサクの中から香ばしい胡桃ペーストの味がひろがって。これって、宮廷料理の名に恥じない美味しさだわ」
まさにその通り。
あの女中の手の中の柔らかさとから受けるイメージとは大きく違い、その食感はサクサク。
我が王としてのメニューを選ぶとしたら、間違いなく入れる一品。
それが”龍の髭”。
ふと見ると、絹世がその指で持った手をこちらに向けている。
ああ、座敷童子の千世にも食べさせたいのであろうな。
だが、今は曾孫たちの視線がある。
虚空に菓子が消えるのはまずかろう。
そんな我の気持ちを察したのか、コンコンコンと女中が再びドーナツ状の飴を台に打ち付けた。
「はーい! 大変好評なようですので、お代わりをつくりまーす! 今度は長寿の薬とも言われた胡麻のペーストを中心にしますね」
流石は我が女中、良い仕事をする。
曾孫たちの視線は釘付けだ。
(さ、其方もそれを食べてみるといい。絹世もそれを望んでいるぞ)
(うん。絹世、ありがとう)
その皺だらけの指に唇を近づけ、千世は”龍の髭”を口にする。
(ほわぁ~! これは今までに食べたことのない食感! サクサクトロトロと口の中で甘さと香ばしさが織りかさなって繻子のような素晴らしさが生まれくるよう!)
「よかったね。千世、よかったね。おいしいね」
ふたりは笑い合い仲良くお菓子を分け合った。
ふたりが、かつてそうであった日のそのままに。
◇◇◇◇
「さて! ここで僕たちからひいばあちゃんへプレゼントがありまーす!」
女中の”龍の髭”のパフォーマンスを再び堪能した曾孫たちが祝いの箱を取り出す。
「うれしいねぇ、なんやろか」
”龍の髭”の甘味で意識が少し高まったのか、絹世は往年の正気を少し取り戻したように箱の前で手を合わせる。
「中身は私達からの白寿記念のちゃんちゃんこでーす! ほら、着て着て」
箱の中から出てきたのは絹のちゃんちゃんこ。
それを曾孫たちは甲斐甲斐しく絹世の身体に着せる。
「ああ~、これはいいねぇ。絹世が小さい頃からずっとずっと欲しかった絹や~」
手を両肩から胸にかけて絹世は何度もその服を撫で続ける。
「これって、伝説級のすっごい絹で作られたんですって。確かナントカ丸って……」
「小石丸よ、小石丸。その中でも隣の町の亘理城の名を冠する小石丸亘理って蚕から作られた絹」
「そうそう、それ。親切なおじいさんの紹介で買ってきて仕立てたんだから」
「高かったな~。でも、ものすごく手触りがいいの。光沢も他のとは一線を画す煌めき!」
絹世の周りに集まった曾孫たちは、わいのわいのとそのちゃんちゃんこの良さを説明している。
(あれはまさか!? それに親切なおじいさんとは……、お主の手のものか!?)
(無論、我の臣下の仕事よ。桃に染めたのも良いが、あの絹の良さを十全に堪能するのなら、素のままの白が良いだろうからな)
あの呉服店に再度我らが訪れた時、あの店員は警戒の色を隠せなかった。
ノークレームノーリターンと言ったが、鼠の噛み傷のある物を売りつけた相手が文句を言いに来たと思ったのであろう。
だが、それに反し我らが返したのは感謝の声。
『良き品を売ってくれた。鼠の噛み傷には気付いたが、それは絹の素晴らしさの前には些事。そこを避けて仕立てれば良いだけのこと。さすがは仙台一、いや日本一の呉服店ですなぁ』
これが店員の心を掴んだ。
寛容の心は相手の心の壁を崩す。
晴れて上客と認められた我らは、この曾孫らを連れて、今度こそ真っ当に小石丸亘理の反物を買ったというわけだ。
我は詭道も使うが、やはり正面からの王道の方が好みである。
「今日はほんにいい日やねぇ。あれほど欲しかった絹の反物を手にして、おいしいものを食べて、ちゃんちゃんこまでもらえるなんて」
「あれ? 反物なんてあったっけ?」
「父さんか叔父さんの誰かが送ったんじゃない?」
「でも、あの”龍の髭”っておいしかったわ。お土産にしたいくらい」
「できますよー! この”龍の髭”は水分が殆どないので、常温で1ヶ月は保ちますから。おばあさんが明日もまた楽しめる分とみなさんのお土産も作りますね」
そう言って女中は再び菓子作りの準備に取り掛かる。
「やったー!」
女中の妙技を見物しようと、曾孫たちは三度見物の輪を作る。
そんな折、絹世の視線が我らに向く。
いや、千世に向く。
”あやかし”がその姿を隠せば、常人の目にその姿は映らぬ、強き霊力でも持たぬ限り。
だが、十分に縁を結んだ”あやかし”と人間であれば、それに当てはまらぬ。
千世と絹世の百年にも及ぶ月日は、それに十分。
「千世様、これおいしいですよ。明日も一緒に食べよう。ねっ。明日も明後日もずっとずっと」
幼さを含んだ絹世の声に千世の目から一筋の滴が流れ落ちる。
「うん。絹世、いっしょ、ずっと一緒……」
手を握り合わせ、見つめ合うふたりの姿にその百年の歳月の姿が重なるように見えたのは、我の気のせいだろうか。
(千世、先ほどの話の続きだ。其方は我の臣下として働くには年月が不足。我に仕えるのであれば、あと数年、いや十年か二十年は早かろう。その後に来るがいい)
(まずは、来年にその桃色の絹でちゃんちゃんこ見事に作り上げてからじゃの。写真を送れば妾が評点をつけてやるぞ)
我は気が長い。
それに生い先短い人間の大切な者を奪うほど悪辣でもないのだ。
(ありがとうございます。この座敷童子の千世、これほどの重畳を受けたなら、恩義を返さぬわけには参りません。いずれ、黄貴様の覇道の力になることをお約束します)
恭しく頭を垂れ、千世が我の前にかしずく。
(ああ、ゆっくりと我らに追いつくといい。ま、その頃には我は既に妖怪王になっているだろうがな!)
これにて座敷童子の幸運を手に入れて、覇道を進むという今回のミッションは見事に失敗。
だが、それでもよいのだ。
我には幸運の女神が既にふたりもついているのだから。
口には出さぬが心の中でそう思い、我は我の隣と我の正面に視線を送る。
隣では讃美が『主殿の気まぐれも困ったもんじゃ』と笑い、正面では女中が額に汗を流しながら三度目の”龍の髭”作ろうとしている。
「ねぇ、料理人さん」
「はい、なんでしょう?」
「この”龍の髭”って、とっても美味しいのに、あんまり有名じゃないのはなぜかしら?」
「そうだな。とっても美しいし、なんでですかね?」
「やっぱ、相当な腕がいるから職人さんが少ないからでしょうかね」
曾孫たちが女中に質問を浴びせる。
「それはですね……」
コンコンとドーナツ状の飴で台を叩きながら少し女中は考える素振りを見せる。
「う~ん、論より証拠です。そこのお兄さん、あたしの真似をして一緒にやってみませんか?」
女中の誘いに男は「えー、俺はあまり器用じゃないんだけど」と言いながらも、少し楽しそうな表情で女中の隣に立つ。
「そこまで難しくはありませんよ。これを引き延ばしてビヨーンビヨーンと折りたたんで延ばしてを繰り返すだけです」
「はい、やってみます」
男はそう言ってドーナツの輪に手をかける。
「ただ……」
「「ただ?」」
観客のふたりの女性が怪訝な顔で女中を見る。
「これって作るのに相当の筋力が必要なんですよ。握力60kgくらい。これだから男の人でも成り手が少なくて、職人さんも長続きしないんですよね。あたしもあと何年作れるか」
そう言う女中の隣では男が必死に飴を延ばそうとしているが、それはビクともしない。
「ろ……60kg……」
「それって……」
「「女子柔道のオリンピック選手くらいじゃないですか~! 男の人でも本格的なスポーツマンじゃないと難しいくらいの!」」
曾孫の女性たちが驚愕の声を上げ、男はこりゃ無理だとばかりに飴を台に置く。
「そうなんですよ。ですから、あたしも三度目となると、気合を思いっきり入れないと駄目なんですよねー!」
ふぅーっと深い息吹と共に、女中の両手がドーナツ状の飴にかかる。
「ふん! ふん! ふんぬぅ~! ふんす!」
手の中から生まれる繊細で美麗な飴の絹糸とは真逆の声が室内に生まれた。
今回の旅の収穫は未来へ持ち越し。
だが、今日は女中のあの表情を見れただけで良しとしよう。
女中のあんな表情を見たのは、兄弟の中できっと我だけであろうからな。
あの鼻息の荒い赤面ゴリラのような表情を。
「ひいばあちゃん、おひさしぶりー! 誕生日おめでとー!」
「今年で99歳なんですって。たしか……なんて言ったっけ?
「白寿よ、白寿! だから私達は白いちゃんちゃんこを用意したんじゃないの」
女中が入ってきて数十分後、追加で入ってきたのは、この絹世の3人の曾孫たち。
「ひさしぶり。幸一、果縫、蝶子。ほんにまあ、おおきゅうなって」
曾孫たちの握手に応えるように絹世はほんの少し嬉しさのこもった声を出す。
「やだもー、それってお母さんやおじさんおばさんの名前だよ。ひいばあちゃんの孫の名前」
「仕方ないさ。ひいばあちゃんは99歳にもなったんだし」
「そうよね。じいちゃんばあちゃんたちも年のせいで体調が悪くてこれなかったし。しょうがないか」
曾孫たちに囲まれる絹世を我と千世は数歩下がった部屋の隅から見る。
時折、一歩下がった所から、女中が菓子作りの台の準備をしながらこちらをチラチラ見ている。
おそらくこの座敷童子の千世に興味がるのだろう。
『家にも欲しー』なんて言っておったからな。
ま、それは叶わぬのだが。
(これもお主の差し金か?)
(そうだ、部下に調べさせ、我が今日ここに来るよう導いた。やはり祝いの席ならば親族が居た方が良かろう)
単に小石丸亘理の反物を手に入れるだけなら数日前に済んでおった。
ここへの再来に日数を要したのは、瀬戸大将が見つけた絹世の子孫たちに今日の祝いの日への参集を促すため。
ま、鳥居の弁舌と、讃美の魅了と、我の権能をもってすれば造作もないこと。
(それだけではない、祝いの菓子も連れてきた)
(菓子を連れてきた? それがあの菓子職人とやらか)
座敷童子と女中の視線が合い、女中がこちらに向けて軽く手を振った。
「さて、みなさん! ここからはそこのおばあさんの白寿の祝いにお菓子作りを披露しまーす。さささ、ちょちょっと広がって下さい」
女中の声に曾孫たちは「いよっ、待ってました」と声をかけ、ベッドの左右に広がり、女中を中心に半円を描く。
曾孫たちの手によりベッドの背がウイィーンと機械音を伴って上げられ、絹世は女中の様子が見える体勢になった。
「さてさて、お立合い! この透明のケースに入っている粉はコーンスターチ! トウモロコシから作るデンプンの粉。片栗粉のトウモロコシ版です」
女中が準備した台の上は直方体の透明のケースで覆われていた。
透明のケース後ろは、手が入れられるよう、太いビニールの暖簾のようなものが垂れ下がっている。
女中は後ろから手を入れ、その粉をサラサラをかき回す。
透明ケースの覆いは粉が飛び散らぬためだ。
(移動して正面から見よう。あれは見世物としては上々ぞ)
我の声に同調して、座敷童子は移動する。
彼女が絹世の隣に立ったのは、いつもの習慣か、それとも絹世が食べられる菓子なのか心配してのことだろうか。
カンカンカン
「さて、これは飴です。麦芽糖に少々の蜂蜜ともち米の粉入れて作った飴。水分が抜けてカチカチなのでこんな音がしまーす」
中心に穴が空いてドーナツ状になった飴をカンカンと台に打ち付けながら説明する。
相変わらず堅そうな音だ。
「さてさて、これをキュッキュッっとドーナツの輪を広げるように延ばして延ばして、輪ゴムのような形になるまで広げていきまーす。ふんす! ふんす!」
少し顔を紅潮させながら、女中の手が飴をゴムのように延ばしていく。
「さーて、この2本の飴を、これから16384本まで増やしていきますよー! そこの賢そうなお兄さん、16384本って何だかわかりますかー?」
指に飴の輪をかけ、それを左右に伸ばしながら珠子は曾孫のひとりに問う。
「えっと、2の14乗!」
「おっ! 見た目通り、かしこいですねー! そう、これからこれをおりたたんでー、のばすとー、はい! 2本が4本になりました、2×2で4本、これをさらにおりたたんでー、2×2×2の8本、さらにさらにで2×2×2×2! 2の4乗で16本でーす!」
折り曲げるたびにコーンスターチの粉をまぶしながら女中は口上を続ける。
「うわー、ゴムみたーい。だけど料理人さん、2の16乗で16384本ってことは、これをあと12回も続けるってこどでしょ。切れちゃわない?」
「へへっ、そこがあたしの腕の見せ所! 切れずに最後までいったらご喝采! さあ、始めますよー! 16本が32本! 32本が64本! 64本が128本! はい、百をこえましたー!」
最初は粘土で作った縄のようだった飴も、今や太目の木綿糸のように細くなっている。
そして、さらに細く、さらに細く、女中の手が交差するたびに、飴の糸はその本数を増やし、その身を細くする。
「1024本! 千をこえましたー! さあ! あと少しですよー! 2048、4096、8192! ここから一万を大きくこえてー! いちまんろくせんさんびゃくはちじゅうよーん!」
女中の最後の声に合わせて周囲から「おぉー!」という声と拍手が鳴り渡る。
我もあのパフォーマンスを最初に見た時は驚いた。
数秒ごとに倍々と増えていく飴の糸。
それは、女中の手の中で薄茶色の飴の紐が煌めく白い絹糸に変わっていくようであったから。
「うわーすごーい! キラキラの絹みたーい!」
「こんなに細くなるんだ。こりゃ見事な腕だわ」
「すごいもの見れてよかったな、ひいばあちゃん」
目は弱っているが光が見えているのだろうか、絹世の目も喜びで細まっているように思える。
「さて、あとはこの糸の中心に胡桃のペーストを置いてクルクルクル―とまいていけば、まずはひとつ完成でーす! 胡桃ペーストはビーナッツバターの胡桃版とも言うべきものでして、歯の弱いお年寄りでも楽しめちゃうんですよ」
「あっ、そう言えばビーナッツバターは元々、病人や老人の介護食のために開発されたって聞いたことがあるわ」
「お詳しいですね。はい、ピーナッツバターはあのシリアルで有名なジョン・ハーヴェイ・ケロッグさんが病人や老人に栄養があるものを食べさせるために発明されたのですよー。グゥーレイトォ!」
会話を続けながらも女中の手は止まらない。
絹糸のような飴を胡桃ペーストにクルクルと巻き付け、菓子は次々と出来上がる。
「うわー!? これって絹糸みたいだったけど、巻かれると繭みたーい!」
「料理人さん、これって何というお菓子ですか?」
「これは”龍の髭”というお菓子です。元は中国の宮廷料理で龍髭糖とも呼ばれています。中国では一般的ですが、日本では中華街や一部の店舗でしか売られていないレアなお菓子でーす!」
伝説のあやかし”龍”。
その名を冠したこの”龍の髭”は、その名の通り、風の中で光り輝く龍の髭のような煌めきを持っていた。
「では、まずはパーティの主役の絹世さんから召し上がって頂きましょう!」
「そうだな。はい、ひいばあちゃん、ケーキは駄目でもこれなら食べられるかな?」
「きっと大丈夫よ。これって飴の糸と胡桃のペーストでしょ」
「きっと綿あめのように口で溶けていくから、あーんして」
飴の繭の大きさは、まさに蚕の繭、それも小さい種の小石丸亘理ほど。
このサイズなら老人にも食べやすかろう。
絹世の口が小さく開き、そこに”龍の髭”が放りこまれる。
その口がモムモムと動いた時、彼女の目が大きく開かれた。
「おいしぃ~、おいしいねぇ~、甘くってサクサクしてて」
開かれた目はその目尻が下がり、次を求めるように口が開く。
「よかった。気に入ってもらえたみたい」
「ほら、おかわりだよ」
次の”龍の髭”が口の中に入れられ、絹世はまた嬉しそうに口を動かす。
「あら? よっぽど気に入ったみたいね。自分からお皿に手を伸ばしているわ」
「ほんとだ。はい、ひいばあちゃん、まだいっぱいあるからたんと食べな」
「私達もひとつだけ食べましょ。とっても美味しそうなんですもの」
曾孫たちも”龍の髭”をひとつずつ取り、それを口に入れる。
我は知っている、それを口にした時の驚きを。
数日前に味わったからな。
「えっ!? なにこれ? こんなに細いのにサクサクしてるぞ!」
「綿あめのように口で溶けない!? いや、でも溶けてく! 歯を使わなくても、舌と上あごだけでサクサクと溶ける!」
「ああ……、そのサクサクの中から香ばしい胡桃ペーストの味がひろがって。これって、宮廷料理の名に恥じない美味しさだわ」
まさにその通り。
あの女中の手の中の柔らかさとから受けるイメージとは大きく違い、その食感はサクサク。
我が王としてのメニューを選ぶとしたら、間違いなく入れる一品。
それが”龍の髭”。
ふと見ると、絹世がその指で持った手をこちらに向けている。
ああ、座敷童子の千世にも食べさせたいのであろうな。
だが、今は曾孫たちの視線がある。
虚空に菓子が消えるのはまずかろう。
そんな我の気持ちを察したのか、コンコンコンと女中が再びドーナツ状の飴を台に打ち付けた。
「はーい! 大変好評なようですので、お代わりをつくりまーす! 今度は長寿の薬とも言われた胡麻のペーストを中心にしますね」
流石は我が女中、良い仕事をする。
曾孫たちの視線は釘付けだ。
(さ、其方もそれを食べてみるといい。絹世もそれを望んでいるぞ)
(うん。絹世、ありがとう)
その皺だらけの指に唇を近づけ、千世は”龍の髭”を口にする。
(ほわぁ~! これは今までに食べたことのない食感! サクサクトロトロと口の中で甘さと香ばしさが織りかさなって繻子のような素晴らしさが生まれくるよう!)
「よかったね。千世、よかったね。おいしいね」
ふたりは笑い合い仲良くお菓子を分け合った。
ふたりが、かつてそうであった日のそのままに。
◇◇◇◇
「さて! ここで僕たちからひいばあちゃんへプレゼントがありまーす!」
女中の”龍の髭”のパフォーマンスを再び堪能した曾孫たちが祝いの箱を取り出す。
「うれしいねぇ、なんやろか」
”龍の髭”の甘味で意識が少し高まったのか、絹世は往年の正気を少し取り戻したように箱の前で手を合わせる。
「中身は私達からの白寿記念のちゃんちゃんこでーす! ほら、着て着て」
箱の中から出てきたのは絹のちゃんちゃんこ。
それを曾孫たちは甲斐甲斐しく絹世の身体に着せる。
「ああ~、これはいいねぇ。絹世が小さい頃からずっとずっと欲しかった絹や~」
手を両肩から胸にかけて絹世は何度もその服を撫で続ける。
「これって、伝説級のすっごい絹で作られたんですって。確かナントカ丸って……」
「小石丸よ、小石丸。その中でも隣の町の亘理城の名を冠する小石丸亘理って蚕から作られた絹」
「そうそう、それ。親切なおじいさんの紹介で買ってきて仕立てたんだから」
「高かったな~。でも、ものすごく手触りがいいの。光沢も他のとは一線を画す煌めき!」
絹世の周りに集まった曾孫たちは、わいのわいのとそのちゃんちゃんこの良さを説明している。
(あれはまさか!? それに親切なおじいさんとは……、お主の手のものか!?)
(無論、我の臣下の仕事よ。桃に染めたのも良いが、あの絹の良さを十全に堪能するのなら、素のままの白が良いだろうからな)
あの呉服店に再度我らが訪れた時、あの店員は警戒の色を隠せなかった。
ノークレームノーリターンと言ったが、鼠の噛み傷のある物を売りつけた相手が文句を言いに来たと思ったのであろう。
だが、それに反し我らが返したのは感謝の声。
『良き品を売ってくれた。鼠の噛み傷には気付いたが、それは絹の素晴らしさの前には些事。そこを避けて仕立てれば良いだけのこと。さすがは仙台一、いや日本一の呉服店ですなぁ』
これが店員の心を掴んだ。
寛容の心は相手の心の壁を崩す。
晴れて上客と認められた我らは、この曾孫らを連れて、今度こそ真っ当に小石丸亘理の反物を買ったというわけだ。
我は詭道も使うが、やはり正面からの王道の方が好みである。
「今日はほんにいい日やねぇ。あれほど欲しかった絹の反物を手にして、おいしいものを食べて、ちゃんちゃんこまでもらえるなんて」
「あれ? 反物なんてあったっけ?」
「父さんか叔父さんの誰かが送ったんじゃない?」
「でも、あの”龍の髭”っておいしかったわ。お土産にしたいくらい」
「できますよー! この”龍の髭”は水分が殆どないので、常温で1ヶ月は保ちますから。おばあさんが明日もまた楽しめる分とみなさんのお土産も作りますね」
そう言って女中は再び菓子作りの準備に取り掛かる。
「やったー!」
女中の妙技を見物しようと、曾孫たちは三度見物の輪を作る。
そんな折、絹世の視線が我らに向く。
いや、千世に向く。
”あやかし”がその姿を隠せば、常人の目にその姿は映らぬ、強き霊力でも持たぬ限り。
だが、十分に縁を結んだ”あやかし”と人間であれば、それに当てはまらぬ。
千世と絹世の百年にも及ぶ月日は、それに十分。
「千世様、これおいしいですよ。明日も一緒に食べよう。ねっ。明日も明後日もずっとずっと」
幼さを含んだ絹世の声に千世の目から一筋の滴が流れ落ちる。
「うん。絹世、いっしょ、ずっと一緒……」
手を握り合わせ、見つめ合うふたりの姿にその百年の歳月の姿が重なるように見えたのは、我の気のせいだろうか。
(千世、先ほどの話の続きだ。其方は我の臣下として働くには年月が不足。我に仕えるのであれば、あと数年、いや十年か二十年は早かろう。その後に来るがいい)
(まずは、来年にその桃色の絹でちゃんちゃんこ見事に作り上げてからじゃの。写真を送れば妾が評点をつけてやるぞ)
我は気が長い。
それに生い先短い人間の大切な者を奪うほど悪辣でもないのだ。
(ありがとうございます。この座敷童子の千世、これほどの重畳を受けたなら、恩義を返さぬわけには参りません。いずれ、黄貴様の覇道の力になることをお約束します)
恭しく頭を垂れ、千世が我の前にかしずく。
(ああ、ゆっくりと我らに追いつくといい。ま、その頃には我は既に妖怪王になっているだろうがな!)
これにて座敷童子の幸運を手に入れて、覇道を進むという今回のミッションは見事に失敗。
だが、それでもよいのだ。
我には幸運の女神が既にふたりもついているのだから。
口には出さぬが心の中でそう思い、我は我の隣と我の正面に視線を送る。
隣では讃美が『主殿の気まぐれも困ったもんじゃ』と笑い、正面では女中が額に汗を流しながら三度目の”龍の髭”作ろうとしている。
「ねぇ、料理人さん」
「はい、なんでしょう?」
「この”龍の髭”って、とっても美味しいのに、あんまり有名じゃないのはなぜかしら?」
「そうだな。とっても美しいし、なんでですかね?」
「やっぱ、相当な腕がいるから職人さんが少ないからでしょうかね」
曾孫たちが女中に質問を浴びせる。
「それはですね……」
コンコンとドーナツ状の飴で台を叩きながら少し女中は考える素振りを見せる。
「う~ん、論より証拠です。そこのお兄さん、あたしの真似をして一緒にやってみませんか?」
女中の誘いに男は「えー、俺はあまり器用じゃないんだけど」と言いながらも、少し楽しそうな表情で女中の隣に立つ。
「そこまで難しくはありませんよ。これを引き延ばしてビヨーンビヨーンと折りたたんで延ばしてを繰り返すだけです」
「はい、やってみます」
男はそう言ってドーナツの輪に手をかける。
「ただ……」
「「ただ?」」
観客のふたりの女性が怪訝な顔で女中を見る。
「これって作るのに相当の筋力が必要なんですよ。握力60kgくらい。これだから男の人でも成り手が少なくて、職人さんも長続きしないんですよね。あたしもあと何年作れるか」
そう言う女中の隣では男が必死に飴を延ばそうとしているが、それはビクともしない。
「ろ……60kg……」
「それって……」
「「女子柔道のオリンピック選手くらいじゃないですか~! 男の人でも本格的なスポーツマンじゃないと難しいくらいの!」」
曾孫の女性たちが驚愕の声を上げ、男はこりゃ無理だとばかりに飴を台に置く。
「そうなんですよ。ですから、あたしも三度目となると、気合を思いっきり入れないと駄目なんですよねー!」
ふぅーっと深い息吹と共に、女中の両手がドーナツ状の飴にかかる。
「ふん! ふん! ふんぬぅ~! ふんす!」
手の中から生まれる繊細で美麗な飴の絹糸とは真逆の声が室内に生まれた。
今回の旅の収穫は未来へ持ち越し。
だが、今日は女中のあの表情を見れただけで良しとしよう。
女中のあんな表情を見たのは、兄弟の中できっと我だけであろうからな。
あの鼻息の荒い赤面ゴリラのような表情を。
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