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第七章 回帰する物語とハッピーエンド
黄泉醜女と活け造り(その4) ※全4部
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◇◇◇◇
ジュー、ジュー、ジュジュー
あたしたちの前バターの香ばしい匂いと音を立てているのは9つのIHクッキングヒーターに乗せられたフライパン。
そして、その各々に生地が投入されていく。
中身は泡立てた卵とホットケーキミックスと少々のマヨネーズで作られた生地。
マヨネーズを入れることで、これはふわっふわっに膨らむの。
「なーんだ、ただのパンケーキじゃないですか。おふたりが変な事を言うから、ちょっと心配ちゃいましたよ」
あたしたちが作るのが、ただのパンケーキだということがわかって、よっちゃんさんは胸をなでおろす。
「珠子さん。準備はできましたよ」
あたしがパンケーキを焼いている間、板前さんはイザナギ様や黄泉醜女のみなさんの出来るだけ近くにテーブルを設置した。
「ありがとうございます。こっちももう少しです」
既に皿に一段目のパンケーキは盛られ、その上にシロップはかけられている。
あたしが作っているのは二段目。
これは二段重ねのパンケーキなのだ。
「ほっ、ほっ、ほっ」
あたしはフライパンと皿を器用にジャグリングして、橋渡し用の皿から盛り付け用の皿にパンケーキを乗せる。
ちょっとずれちゃったけど、この方がオシャレよね、きっと。
「さぁて、お立合い! ここにありますは、あつあつふわふわのパンケーキ! それをこれから”活け造り”にて、素敵なレディたちに振舞いましょう!」
「は? 活け造り!? パンケーキで!?」
そんな疑問の声が上がる中、あたしは秘密のガラス容器を取り出し、その中身をパンケーキにふりかける。
「「「「キャー」」」
悲鳴があがる。
絹は裂かない、黄色い悲鳴。
「キャー、うごいた、うごいたわ」
「ほんと、かわいらしい」
「それに、とってもいい香り」
パンケーキの上でゆらりゆらりのそれは動く。
赤、黄、紫、ピンクの小さい欠片。
「これはポプリね。ポプリがパンケーキの熱気で動いているのだわ」
「その通りですイザナミ様。これは食用花のポプリですっ!」
これは撫子にビオラ、マリーゴールドにペンタス、色とりどりの食用花の花びらを乾燥させ、ポプリにしたもの。
料理を彩りを与え、特別なものに変えてくれる素敵な食材。
それを熱々のパンケーキにふりかけると、焼き筍やお好み焼きの上で踊る削り節のように動き出すの。
「ぷっ、ふふふっ、あははははっ、さっき言質言質って言っていたのは、このためだったのね。科学現象で動くなら、これも”活け造り”だと言い張るために」
あたしたちの口上の真意を読み取り、イザナミ様が手をパンと叩く。
「そうでーす! お気に召されましたか?」
「気に入ったわ、とても。こんなの完全に予想外ですもの。”活け造り”を望んでパンケーキがでてくるなんて。もう、びっくりよ」
そう言うイザナミ様の顔は、驚きながらも笑みは隠せない、そんな素敵な表情だった。
「この演出は、珠子さんが考えたものですよ。『素敵な女性に出すのなら、華やかなスイーツがいいと思います。そんな活け造りを考えてみました』ってね。私の知恵はそこまで及びませんでした。たとえスイーツの領域でも料理の腕には自信があるのですが、完全に脱帽です」
いやぁー、負けた負けた、そんな口調で板前さんが言う。
「だって、黄泉醜女のよっちゃんさんはとっても可愛らしい方なのですよ、その同僚の方々や上司のイザナミ様も素敵な女性に間違いないじゃないですか。そんな方にはちょっとグロテスクな踊るイカ丼より、踊る花びらのパンケーキの方が似合うに決まっています。ねっ」
「うん、あたしもこっちがすきー」
「まさか最初の丼が前フリだったなんてねー」
「あまーい、ふわふわ」
こう話している間に、パンケーキはみなさんの元に運ばれ、既に食べ始めている方もいる。
その姿は、おしゃれなスイーツ店を楽しむ女の子たちのよう。
ううん、女の子はいつまでも女の子なんです。
たとえ、神代からいままででも。
「うーん、おいしー」
あれ?
一瞬、スイーツを堪能して微笑むイザナミ様の姿が、皮と骨の髑髏ではなく、ふっくらとした女神に見えたような……。
「どうされました? あ、わたくしの食べっぷりが気になっているのですね。いいですわ、おかわりを所望しまーす!」
そう言ってお皿を掲げる顔はやっぱり皮をかぶった髑髏。
見間違いかしら……、ううん、見間違いじゃない。
「ねえ、これなら黄泉でも作れないかしら。黄泉のみなさんにごちそうしたいわ」
「あたしたちもお手伝いします。これなら、あたしでもつくれそう」
「えー、もっちーとつっしーってぶきっちょじゃない、だいじょうぶぅー?」
「へーき、へーき、ざっと10年修行すればねっ」
「そんなに待てないわよ。ここはリーダーのイズミにまかせましょ」
「あー、あたしは食べる専門だから」
「あらあら、だめよイズミ。うふふ」
黄泉醜女さんたちを見るイザナミ様の表情はとても優しく、それを囲む彼女たちも、とても可愛らしく笑っている。
でも、それも当然よね。
地の底にあっても、この御方は皆に愛される女神なのですから。
◇◇◇◇
「とまあ、そんなことがあったのですよ」
「へー、この新メニューの開発の裏にそんなお話があったなんてねぇ」
『酒処 七王子』の新メニュー”踊るポプリのパンケーキ”を食べながら藍蘭さんは言う。
「でも、笑顔が素敵なハッピーエンドの終着点、そこが黄泉の国だなんて最高じゃない。アタシも行ってみたかったわ。ついでに黄泉の国の観光なんかしちゃったりして」
「へー、どなたかお逢いしたい方でもいるんですか?」
「今はいないわ、でも百年後に珠子ちゃんに逢いたくなったら行ってみようかしら。珠子ちゃんは死んだらどこに逝きたいの? 黄泉? 天国? 極楽? それとも転生かしら?」
「うーん、まだ決めていません。イザナミ様からは『あなたたち死んだらこっちにいらっしゃい。天国や極楽よりも、ずっとスゴイサービスしちゃうから』なんて誘われましたけど」
ちなみに板前さんは『妻といっしょなら』って答えてましたけど。
「へー、だったら珠子ちゃんの死後は安泰ね」
「ふふっ、そうですね、老後の年金は心配ですけど。あっ、緑乱さんは『おいおい、天国や極楽以上の人妻サービスだなんて、まるで新宿の歌舞伎……』って答えた時点でセクハラの刑でよっちゃんさんに吹っ飛ばされてましたよ」
そう言ってクスクス笑うあたしに向かって藍蘭さんは「あのバカ」と頭を抱える。
「ういーっく、いま帰ったぜ。よろこべ嬢ちゃん。いい情報を持ってきたぜ」
その時、扉をカランと鳴らし、緑乱おじさんが帰って来た。
「おかえりバカ」
「おかえりなさいバカ」
いきなりのバカ呼ばわりに緑乱おじさんがちょっと目をキョトンとさせる。
「おいおい、いきなりバカ呼ばわりとは随分だねぇ」
「あはは、ごめんなさい。とってもタイミングが良かったものですから。それで、いい情報ってなんですか?」
「これさ」
緑乱おじさんが広げたのはオシャレなファッション雑誌。
服のコーデやスイーツの情報誌だ。
「これってウチのパクリじゃない!?」
開いたページを見て、藍蘭さんが声を上げる。
そこには、
=========================================
逆転の発想! 寿司屋でスイーツの活け造り!?
新宿の寿司の名店がランチタイム後のスイーツタイムで大人気!
これぞ”最もパフォーマンスに優れ、最も美しく、最も美味な活け造り”!
=========================================
という記事とあの板前さんの写真が載っていたから。
あー、あの時に考えていた答えをこれにしたんだ。
もちろん、スイーツの写真は藍蘭さんが今食べている”踊るポプリのパンケーキ”と同じもの。
「うーん、さすが一流、如才ないですね。でもまあ、しょうがないですね」
「いいの珠子ちゃん!? パクられても!?」
「料理レシピに著作権はないですから。ま、数日もすれば他の店も真似するでしょ。というか、既に出てきてますね」
あたしがちょっとスマホで検索しただけで、すでに5件がヒットした。
「競争は激化するでしょうし、そのうち定番メニューになるか飽きられるかでしょ。ま、流行の1ページですね」
「そんなものなの?」
「そんなもんです。紅茶キノコとかティラミスとか、ナタデココとか、流行っては消え、流行っては消える。これもそんなものでしょうね」
でも、不思議。
緑乱おじさんは”いい知らせ”と言ってた。
それが意味するのは……なるほど!
「へっへっへっ、そなたもワルですよのぅ」
「察しがいいなぁ、嬢ちゃん。また俺っちとイイトコロに行こうぜ」
やっぱりあたしの予想通り。
このレシピ提供をネタに、また、あの板前さんにおごってもらう算段を付けたようですね。
あのお高い店の!
「なあに、緑乱ちゃんってば、またセクハラ発言? そんなことばかり言ってると、いつか痛い目みるわよ」
半ばあきれたように、藍蘭さんは言うけど、おじさんは気にしない。
「いいってことよ。思った事をバカ正直に口にして、カワイ子ちゃんに刺されるのなら男冥利に尽きるってもんさ」
そう言ってカカカと笑うおじさんを傍から見ると、何も考えていなさそう。
でも、あたしは知ってますよ。
緑乱さんは女性の見た目に惑わされずに、その本質を捉えるってことを。
だって、あのセクハラ発言の数々でも、みなさんはまんざらでもなさそうでしたから。
ジュー、ジュー、ジュジュー
あたしたちの前バターの香ばしい匂いと音を立てているのは9つのIHクッキングヒーターに乗せられたフライパン。
そして、その各々に生地が投入されていく。
中身は泡立てた卵とホットケーキミックスと少々のマヨネーズで作られた生地。
マヨネーズを入れることで、これはふわっふわっに膨らむの。
「なーんだ、ただのパンケーキじゃないですか。おふたりが変な事を言うから、ちょっと心配ちゃいましたよ」
あたしたちが作るのが、ただのパンケーキだということがわかって、よっちゃんさんは胸をなでおろす。
「珠子さん。準備はできましたよ」
あたしがパンケーキを焼いている間、板前さんはイザナギ様や黄泉醜女のみなさんの出来るだけ近くにテーブルを設置した。
「ありがとうございます。こっちももう少しです」
既に皿に一段目のパンケーキは盛られ、その上にシロップはかけられている。
あたしが作っているのは二段目。
これは二段重ねのパンケーキなのだ。
「ほっ、ほっ、ほっ」
あたしはフライパンと皿を器用にジャグリングして、橋渡し用の皿から盛り付け用の皿にパンケーキを乗せる。
ちょっとずれちゃったけど、この方がオシャレよね、きっと。
「さぁて、お立合い! ここにありますは、あつあつふわふわのパンケーキ! それをこれから”活け造り”にて、素敵なレディたちに振舞いましょう!」
「は? 活け造り!? パンケーキで!?」
そんな疑問の声が上がる中、あたしは秘密のガラス容器を取り出し、その中身をパンケーキにふりかける。
「「「「キャー」」」
悲鳴があがる。
絹は裂かない、黄色い悲鳴。
「キャー、うごいた、うごいたわ」
「ほんと、かわいらしい」
「それに、とってもいい香り」
パンケーキの上でゆらりゆらりのそれは動く。
赤、黄、紫、ピンクの小さい欠片。
「これはポプリね。ポプリがパンケーキの熱気で動いているのだわ」
「その通りですイザナミ様。これは食用花のポプリですっ!」
これは撫子にビオラ、マリーゴールドにペンタス、色とりどりの食用花の花びらを乾燥させ、ポプリにしたもの。
料理を彩りを与え、特別なものに変えてくれる素敵な食材。
それを熱々のパンケーキにふりかけると、焼き筍やお好み焼きの上で踊る削り節のように動き出すの。
「ぷっ、ふふふっ、あははははっ、さっき言質言質って言っていたのは、このためだったのね。科学現象で動くなら、これも”活け造り”だと言い張るために」
あたしたちの口上の真意を読み取り、イザナミ様が手をパンと叩く。
「そうでーす! お気に召されましたか?」
「気に入ったわ、とても。こんなの完全に予想外ですもの。”活け造り”を望んでパンケーキがでてくるなんて。もう、びっくりよ」
そう言うイザナミ様の顔は、驚きながらも笑みは隠せない、そんな素敵な表情だった。
「この演出は、珠子さんが考えたものですよ。『素敵な女性に出すのなら、華やかなスイーツがいいと思います。そんな活け造りを考えてみました』ってね。私の知恵はそこまで及びませんでした。たとえスイーツの領域でも料理の腕には自信があるのですが、完全に脱帽です」
いやぁー、負けた負けた、そんな口調で板前さんが言う。
「だって、黄泉醜女のよっちゃんさんはとっても可愛らしい方なのですよ、その同僚の方々や上司のイザナミ様も素敵な女性に間違いないじゃないですか。そんな方にはちょっとグロテスクな踊るイカ丼より、踊る花びらのパンケーキの方が似合うに決まっています。ねっ」
「うん、あたしもこっちがすきー」
「まさか最初の丼が前フリだったなんてねー」
「あまーい、ふわふわ」
こう話している間に、パンケーキはみなさんの元に運ばれ、既に食べ始めている方もいる。
その姿は、おしゃれなスイーツ店を楽しむ女の子たちのよう。
ううん、女の子はいつまでも女の子なんです。
たとえ、神代からいままででも。
「うーん、おいしー」
あれ?
一瞬、スイーツを堪能して微笑むイザナミ様の姿が、皮と骨の髑髏ではなく、ふっくらとした女神に見えたような……。
「どうされました? あ、わたくしの食べっぷりが気になっているのですね。いいですわ、おかわりを所望しまーす!」
そう言ってお皿を掲げる顔はやっぱり皮をかぶった髑髏。
見間違いかしら……、ううん、見間違いじゃない。
「ねえ、これなら黄泉でも作れないかしら。黄泉のみなさんにごちそうしたいわ」
「あたしたちもお手伝いします。これなら、あたしでもつくれそう」
「えー、もっちーとつっしーってぶきっちょじゃない、だいじょうぶぅー?」
「へーき、へーき、ざっと10年修行すればねっ」
「そんなに待てないわよ。ここはリーダーのイズミにまかせましょ」
「あー、あたしは食べる専門だから」
「あらあら、だめよイズミ。うふふ」
黄泉醜女さんたちを見るイザナミ様の表情はとても優しく、それを囲む彼女たちも、とても可愛らしく笑っている。
でも、それも当然よね。
地の底にあっても、この御方は皆に愛される女神なのですから。
◇◇◇◇
「とまあ、そんなことがあったのですよ」
「へー、この新メニューの開発の裏にそんなお話があったなんてねぇ」
『酒処 七王子』の新メニュー”踊るポプリのパンケーキ”を食べながら藍蘭さんは言う。
「でも、笑顔が素敵なハッピーエンドの終着点、そこが黄泉の国だなんて最高じゃない。アタシも行ってみたかったわ。ついでに黄泉の国の観光なんかしちゃったりして」
「へー、どなたかお逢いしたい方でもいるんですか?」
「今はいないわ、でも百年後に珠子ちゃんに逢いたくなったら行ってみようかしら。珠子ちゃんは死んだらどこに逝きたいの? 黄泉? 天国? 極楽? それとも転生かしら?」
「うーん、まだ決めていません。イザナミ様からは『あなたたち死んだらこっちにいらっしゃい。天国や極楽よりも、ずっとスゴイサービスしちゃうから』なんて誘われましたけど」
ちなみに板前さんは『妻といっしょなら』って答えてましたけど。
「へー、だったら珠子ちゃんの死後は安泰ね」
「ふふっ、そうですね、老後の年金は心配ですけど。あっ、緑乱さんは『おいおい、天国や極楽以上の人妻サービスだなんて、まるで新宿の歌舞伎……』って答えた時点でセクハラの刑でよっちゃんさんに吹っ飛ばされてましたよ」
そう言ってクスクス笑うあたしに向かって藍蘭さんは「あのバカ」と頭を抱える。
「ういーっく、いま帰ったぜ。よろこべ嬢ちゃん。いい情報を持ってきたぜ」
その時、扉をカランと鳴らし、緑乱おじさんが帰って来た。
「おかえりバカ」
「おかえりなさいバカ」
いきなりのバカ呼ばわりに緑乱おじさんがちょっと目をキョトンとさせる。
「おいおい、いきなりバカ呼ばわりとは随分だねぇ」
「あはは、ごめんなさい。とってもタイミングが良かったものですから。それで、いい情報ってなんですか?」
「これさ」
緑乱おじさんが広げたのはオシャレなファッション雑誌。
服のコーデやスイーツの情報誌だ。
「これってウチのパクリじゃない!?」
開いたページを見て、藍蘭さんが声を上げる。
そこには、
=========================================
逆転の発想! 寿司屋でスイーツの活け造り!?
新宿の寿司の名店がランチタイム後のスイーツタイムで大人気!
これぞ”最もパフォーマンスに優れ、最も美しく、最も美味な活け造り”!
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という記事とあの板前さんの写真が載っていたから。
あー、あの時に考えていた答えをこれにしたんだ。
もちろん、スイーツの写真は藍蘭さんが今食べている”踊るポプリのパンケーキ”と同じもの。
「うーん、さすが一流、如才ないですね。でもまあ、しょうがないですね」
「いいの珠子ちゃん!? パクられても!?」
「料理レシピに著作権はないですから。ま、数日もすれば他の店も真似するでしょ。というか、既に出てきてますね」
あたしがちょっとスマホで検索しただけで、すでに5件がヒットした。
「競争は激化するでしょうし、そのうち定番メニューになるか飽きられるかでしょ。ま、流行の1ページですね」
「そんなものなの?」
「そんなもんです。紅茶キノコとかティラミスとか、ナタデココとか、流行っては消え、流行っては消える。これもそんなものでしょうね」
でも、不思議。
緑乱おじさんは”いい知らせ”と言ってた。
それが意味するのは……なるほど!
「へっへっへっ、そなたもワルですよのぅ」
「察しがいいなぁ、嬢ちゃん。また俺っちとイイトコロに行こうぜ」
やっぱりあたしの予想通り。
このレシピ提供をネタに、また、あの板前さんにおごってもらう算段を付けたようですね。
あのお高い店の!
「なあに、緑乱ちゃんってば、またセクハラ発言? そんなことばかり言ってると、いつか痛い目みるわよ」
半ばあきれたように、藍蘭さんは言うけど、おじさんは気にしない。
「いいってことよ。思った事をバカ正直に口にして、カワイ子ちゃんに刺されるのなら男冥利に尽きるってもんさ」
そう言ってカカカと笑うおじさんを傍から見ると、何も考えていなさそう。
でも、あたしは知ってますよ。
緑乱さんは女性の見た目に惑わされずに、その本質を捉えるってことを。
だって、あのセクハラ発言の数々でも、みなさんはまんざらでもなさそうでしたから。
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