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第四章 加速する物語とハッピーエンド
雷獣とポン菓子(その3) ※全4部
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とまあ、こんな成り行きで国盗り合戦の延長戦兼、兄弟喧嘩が発生したわけだ。
場所はこの前の雷獣と蒼明が戦った所。
日時は明後日の夕暮れとくらぁ。
「んで、勝算はあるのかねぇ。言っとくが蒼明は強えし、おじさんは弱えぞ」
あの後、俺たちは作戦会議に入った。
「人類の叡智! 武器をいっぱい準備しましょう! 具体的には塩素系洗剤とアルカリ性洗剤を混ぜるとか、ファミリー花火の火薬をほぐしてまとめるとか!」
なんで、お嬢ちゃんはそんなに好戦的なんだ……
「……ダメ、絶対」
「むむう」
そして、この弟は相変わらずイイ子だねぇ。
このチームの良心だよ。
「やはり拙者の『雷鳴一閃』を直撃させるしかなかろう」
「いや、そいつは無理だね。蒼明のヤツはお前さんの動きを完全に見切ってるぜ」
「……タメ動作」
おっ、やっぱり橙依くんも気づいてたか。
「というと?」
「お前さんの攻撃は、最初に光って、それから稲妻に乗って突進、そして空気を切り裂く轟音が出るだろ。最初の光で攻撃が来るってバレバレなのさ」
まあ、こいつの速度は音速を超えるので、音は攻撃の後に来るんだけどね。
普通のヤツなら来るのがわかっても対応できんのだが、蒼明のヤツは音速戦闘が出来るんでなぁ。
「そうでござったか! 今まで躱された事がなかったので、気づかなんだ……」
「……気づいても避けられないのが普通、そこは自信を持っていい」
その通りだねぇ、おじさんには出来ない芸当さ。
しかし、決め手がひとつしかないのは、やっぱり不利だねぇ。
しょうがない、橙依くんは嫌がるかもしれないが、おじさんが言ってやるとしますか。
「なあ、雷獣くんよ」
「何でござるか?」
「……ダメ」
橙依くんが止めようとするが、おじさんの舌はそんなもんじゃ止まらない。
「この橙依くんと友達になっちゃくれないか?」
「なんだ、そんな事でござるか。言われなくても、もう友達でござるよ」
はっはっはっと笑いながら雷獣が言う。
うん、おじさんの思った通り、いいヤツだねぇ。
「……違うんだ、僕の友達になるって事は……」
少し迷いと困惑の表情で橙依くんが言葉を濁す。
でも、ダメだね。
ここに居る面子が悪いよ。
いや、面子が良すぎるのかな。
「あれ? それって、雷獣くんの心を読ませて欲しいってこと?」
ほら、心を隠すって事とは無縁の女の子がひとり。
「ああ、そういう事でござったか。覚のような能力を持っているのでござったか」
「……違う、僕の心を読む能力は相手の許可という制限があって、勝手には……。イヤ、だよね……そんなの」
橙依くんはそう言って下を向くけど、そーでもないぜ。
少なくとも、ここに居る連中はな。
「嫌なもんでござろうか。男子が戦いに赴くのならば、胸襟を開いて語り合うのが常、ささっ、どーんと来いでござるよ」
なっ。
「……いいの?」
「武士に二言はござらん、いや男の真摯な言葉に虚言などあろうはずがない」
そう言って、雷獣は小粋に小袖から肩を出して服をはだけた。
「ありがとう」
そう言って、橙依くんと雷獣は固く握手をしたのさ。
いいねぇ、青春の友情ってやつは。
だから、お嬢ちゃんが何やら鼻息を荒くしているのは見なかった事にしておくよ。
◇◇◇◇
「さて、これで決め手がひとつ増えたな」
「……うん」
「決め手って、蒼明さんに通じる攻撃が増えたって事ですか?」
「そうさ、お嬢ちゃんは知らないかもしれないが、橙依君には心を通わせた友の能力をコピーする能力があってな、それが使えるようになったって事さ」
「スゴーイ! これまた最強に通じる能力じゃない!」
弟ながら、スゴイ能力だと思うぜ。
橙依くんは制限は多いが、多彩な術を持ってる。
そいつらを駆使すれば、格上の相手だって負けない。
だけどねぇ、相手が超格上の場合は……うーん、ちと辛いねぇ。
「……大した能力じゃない。威力はオリジナルを超えないし、妖力の消費も大きい」
ちょっと照れくさそうに橙依くんは言うけど、ちょっと嬉しそうでもある。
「よしっ、それじゃあ、お前たちはこれから特訓な。お互いにぶつかり合って、威力を高める練習をするんだ」
「威力を高める? 当てる訓練ではなくてござるか?」
「ああ、そっちの方はおじさんとお嬢ちゃんにまかせな」
そう言って、おじさんはお嬢ちゃんの肩を抱く。
ボゴッ
「さりげなく、セクハラしないで下さる、オホホ」
お嬢ちゃんの、今までにないお上品な言葉使いの中から放たれる肘鉄は痛かった。
◇◇◇◇
「で、緑乱おじさん、雷獣くんと橙依君の大技を当てる方法なんですけど、どうするんです? あたしはバトルは専門外ですよ」
翌日の朝、お嬢ちゃんとおじさんは庭に片隅にある蔵に向かう。
いや、蔵というより土蔵だな。
「おじさんはね、昔、ひとりで全国を旅してたんだよ」
「ええ、聞きました。みなさんの封印を見つける旅でしたよね」
「そうそう、そして旅には先立つ物が必要だろう」
「ああ、そう言えばそうですね。でも、その頃ってこの『酒処 七王子』は無かったでしょう。どうやってお金を稼いでいたのですか? 人足みたいな日雇い労働とかですか? 力は強そうですし」
ここで犯罪的な想像をしない所がお嬢ちゃんのいい所だね。
いや、おじさんを少しは信頼してくれてるのかな。
ちょいと嬉しいねぇ。
「ちょいとした行商さ。旅をするからには、移動しながら売れて、しかも材料は簡単に手に入るものがいい。そう思わないかい?」
「確かにそうですね。そして、その答えがこの蔵にあると」
ギギィと音を立てて、蔵の扉が開く。
かび臭い匂いと太陽の光を受けてキラキラと舞う埃。
そして、その中には年月を思わせる、俺の思い出の道具たちがあった。
「あっ、あれチンドン屋の太鼓。あっちの鍋は……ひょっとして金平糖を作る鍋ですか!?」
「さすがだねぇ、食べ物に関しては目端が利くねぇ」
「おじさんって、金平糖の行商をやってたんですか?」
「ああ、ちょっとの間な。でも、今回の決闘に使う道具はそれじゃない、もっとスゴイ物さ」
そう言って、おじさんは蔵の灯りを付け、奥に鎮座している大物を指す。
それには小さいベッドほどの大きさで、布のカバーで覆われていた。
「これって、大砲とかですか? あたしはそんな物は使えませんよ」
言われてみればそうだねぇ。
カバーで覆われたこいつは小型の大砲にも見えなくはない。
「違うさ、こいつはそんな物よりずっといい物さ」
そう言っておじさんはカバーを外す。
「うわぁ……おじさん! これってひょっとして!」
「お嬢ちゃんの想像の通りさ。炭で動く骨董品だが、おじさんとお嬢ちゃんなら、明日までに使えるように出来るんじゃないかい?」
実に80年ぶりだろうか、こいつを動かすのは。
「やりましょう、おじさん! あたし、このタイプを使うのは初めてですよ! いやー、腕が鳴ります! 胸が躍ります! ルンルンのドーンですよ!」
「おっ、イイ感じに温まってきたねぇ。それじゃあ、始めるとしますか」
「ええ! みんなをビックリさせちゃいましょう!」
ガシーン
俺とお嬢ちゃんの腕がクロスした。
◇◇◇◇
天気は土砂降り、いい日和。
でも、こんな夏の夕立ちは、おあつらえ向けの兄弟喧嘩日和だねぇ。
こんな日にこの寂れた公園に来る人間なんてお嬢ちゃんだけさ。
「いやー、屋根のある所があって助かりました」
カバーの掛かった大きな骨董品を眺めながら、お嬢ちゃんが言う。
こいつを持ち込むのは骨が折れた。
なんせ100キロはあるからねぇ。
橙依くんと雷獣も加わり、俺たちは相手を待つ。
パラパラと雨の音が変わる。
雨が傘を打つ音だ。
そして、雨の中から最強の弟が現れた。
「よくぞ逃げずに来ました。そこだけは褒めておきましょう」
「……申し込んだのは僕。逃げるわけにはいかない」
いつになく真剣な目で橙依くんは蒼明を見る。
「で、なぜ、あなたがたは、そんなけったいな恰好をしているのですか?」
蒼明は白い目でおじさんとお嬢ちゃんを指差す。
あー、うん、そうだよね。
俺たちが着ているのは和服に笠、おしろい姿にまん丸の紅のほっぺ。
昔懐かしチンドン屋の恰好さ。
「あたしたちは応援部隊です。チアーですよ。それ、がんばれがんがれ」
そう言ってお嬢ちゃんは、ドンドンパフパフと太鼓を叩き、小さいラッパを吹きならす。
こいつはおじさんも負けてられないね。
「あそれ、扇子の先から鯨の潮吹き、こっちは何故かお盆に還る、覆水でござーい」
おじさんの妖力で、水がピュピューと虹を描く。
「まったくもう、決闘を何だと…」と蒼明は頭を抱えるが、いいじゃないか、こっちの方がおれたちらしくって。
「それに何です? その大荷物は」
「えへへ、これは勝負が終わった後のお楽しみですよ。とってもおいしいんですから」
米袋と炭袋を持ち上げ、お嬢ちゃんも、これから始まる荒事には似つかわしくない笑顔を見せる。
「まったく、こっちのふたりは真剣勝負を何だと……、まあいいでしょう、私の相手になりそうなのは、雷獣と……少し男の顔になった橙依君だけのようですから」
「拙者と橙依殿は付け焼刃ではあるが、訓練を重ねた。先日のような遅れは取らぬ」
「……協力プレイ」
昨日、おじさんと嬢ちゃんが必死に道具の手入れをしている間、雷の音はずっと響いていた。
近くに遠くに、ドガガシャーンと響く音は今でも耳に残っている。
「では、始めましょうか。どちらかが負けを認めるか、立てなくなったら負けですよ」
眼鏡を白く光らせながら、凄みのある声の宣言で、俺たちの兄弟喧嘩は始まった。
◇◇◇◇
ゴロゴロ
ピカッ
ドガガシャーン!
雷光が走り、雷鳴が響くごとに、ふたつの影が交差する。
その交差の中心にいるのが蒼明のヤツだ。
「どうしました? ふたり掛かりなら私が捌けないとでも思いましたか?」
前後左右に加え、上空からの攻撃、しかもその速度は音速を遥かに超えた雷速だというのに、蒼明からは余裕の声が上がる。
「もう一度いくぞ!」
「……うん、フォーメーションF」
ゴロゴロ
ピカッ
ドガガシャーン!
再び轟音が響くも、ふたりの軌跡は蒼明の近くを掠めるばかり。
まいったねぇ、完全に見切られててるよ。
バシャ―、ゴロゴロゴロ
雷獣と橙依くんが泥のぬかるみの中で体を回転させる。
あの一瞬、刹那の交差の中で蒼明のヤツがカウンターを合わせたせいだ。
「ハァハァ、大丈夫か?」
「……まだ、何とか、でもこのままじゃ勝てない」
息を荒くしながら、ふたりは顔を見合わせる。
泥で良く見えないが、かなり消耗しているようだねぇ。
あの攻撃は、あと1,2回が限度って所か。
「あなたの攻撃、『雷鳴一閃』でしたか。強力な技ではありますが、大きな欠点があります。それは、カウンターを受けると着地に失敗して逆にダメージを受ける所です」クイッ
冷静に、冷淡に、そして冷酷に、まるで教師がレクチャーするかのように蒼明が言う。
「あ、あたし聞いた事があります! 雷獣は、雷と共に地上に落ちるが、その時に大怪我したり、時には死んじゃう事もあるんですって!」
扇子で炭に風を送りながら、お嬢ちゃんが言う。
そう言えば、おじさんも聞いた事があるねえ。
雷の落ちた所で、人間がイタチに似た獣の死体を発見したって話を。
パチリ
炭の爆ぜる音がして、辺りに香ばしい匂いが漂う。
もちろん、匂いの元はあの装置だ。
んじゃま、おじさんたちも全力応援といきますか。
「準備はいいかい、お嬢ちゃん」
「ええ、バッチリです」
おじさんの問いに、お嬢ちゃんが指を丸くしてOKマークを作る。
よし、準備は万端、あとは仕掛けを御覧じろだ。
ふたりへ合図を送る必要はない、この匂いがふたりへの合図だ。
「いくでござる! 拙者たちの最後の一撃!」
「……全力でいく!」
ふたりの妖力が高まり、今までより長く、長く、そして長く、ゴロゴロという音が響き渡る。
「来なさい、妖力が尽きた時が、あなたたちの敗北の時です」
蒼明の視線がふたりへと集中する。
よし、今だ!
「いきます!」
ガキン!
音はふたつ、お嬢ちゃんの声とハンマーが何かを叩く音。
そして落雷にも似た轟音が俺の後ろから轟いた。
ドゴゴバアァァーーーーン!
「何っ!?」
蒼明の視線が一瞬こっちに注がれる。
そして、その隙をふたりは見逃さなかった。
「「双雷一閃!!」」
光とともにふたりは雷の線となり、蒼明に襲い掛かる。
「しまっ!?」
ドオオオゥゥゥーン!!
ふたつの影が蒼明に重なり、そしてひとつとなった塊は木々と地面を吹き飛ばしながら移動する。
「うおおおおおおおおぉぉぉぉ!」
「おおおおおおぉぉぉぉ!」
「ぬうぅぅぅーーーーー! はいっ!」
影が止まった時、そこには右手でひとり、左手でひとり、ふたりの吶喊を必死の形相で受け止めた蒼明の姿があった。
なんてこったい。
「流石に、今のは私もあせりましたよ」
「……あ、あああ……」
「およばずでござったか……」
妖力尽きたのだろう、ふたりはガックリと膝を着く。
「さて、この間合いなら……」
クイッ、ズルッ
大幅にずれたメガネを直そうとする蒼明。
だが、その手が力なく垂れる。
「おや、私の両手はしばらく使い物にならなさそうですね」
だらりと下がる両手を見て、蒼明は少し考える素振りを見せた。
「いいでしょう、今回は私の負けという事で」
敵の意外な申し出に、雷獣と橙依くんが顔を見合わせる。
「よいのか!? たとえ蹴りだけになろうと、このまま続ければ、お主の勝ちであるのに!?」
「……いいの?」
「ええ、この前はすみませんでした。貴方は、貴方がたは、立派な男ですよ」
そう言って、蒼明は雷獣と橙依くんの頭を優しくなでたのさ。
場所はこの前の雷獣と蒼明が戦った所。
日時は明後日の夕暮れとくらぁ。
「んで、勝算はあるのかねぇ。言っとくが蒼明は強えし、おじさんは弱えぞ」
あの後、俺たちは作戦会議に入った。
「人類の叡智! 武器をいっぱい準備しましょう! 具体的には塩素系洗剤とアルカリ性洗剤を混ぜるとか、ファミリー花火の火薬をほぐしてまとめるとか!」
なんで、お嬢ちゃんはそんなに好戦的なんだ……
「……ダメ、絶対」
「むむう」
そして、この弟は相変わらずイイ子だねぇ。
このチームの良心だよ。
「やはり拙者の『雷鳴一閃』を直撃させるしかなかろう」
「いや、そいつは無理だね。蒼明のヤツはお前さんの動きを完全に見切ってるぜ」
「……タメ動作」
おっ、やっぱり橙依くんも気づいてたか。
「というと?」
「お前さんの攻撃は、最初に光って、それから稲妻に乗って突進、そして空気を切り裂く轟音が出るだろ。最初の光で攻撃が来るってバレバレなのさ」
まあ、こいつの速度は音速を超えるので、音は攻撃の後に来るんだけどね。
普通のヤツなら来るのがわかっても対応できんのだが、蒼明のヤツは音速戦闘が出来るんでなぁ。
「そうでござったか! 今まで躱された事がなかったので、気づかなんだ……」
「……気づいても避けられないのが普通、そこは自信を持っていい」
その通りだねぇ、おじさんには出来ない芸当さ。
しかし、決め手がひとつしかないのは、やっぱり不利だねぇ。
しょうがない、橙依くんは嫌がるかもしれないが、おじさんが言ってやるとしますか。
「なあ、雷獣くんよ」
「何でござるか?」
「……ダメ」
橙依くんが止めようとするが、おじさんの舌はそんなもんじゃ止まらない。
「この橙依くんと友達になっちゃくれないか?」
「なんだ、そんな事でござるか。言われなくても、もう友達でござるよ」
はっはっはっと笑いながら雷獣が言う。
うん、おじさんの思った通り、いいヤツだねぇ。
「……違うんだ、僕の友達になるって事は……」
少し迷いと困惑の表情で橙依くんが言葉を濁す。
でも、ダメだね。
ここに居る面子が悪いよ。
いや、面子が良すぎるのかな。
「あれ? それって、雷獣くんの心を読ませて欲しいってこと?」
ほら、心を隠すって事とは無縁の女の子がひとり。
「ああ、そういう事でござったか。覚のような能力を持っているのでござったか」
「……違う、僕の心を読む能力は相手の許可という制限があって、勝手には……。イヤ、だよね……そんなの」
橙依くんはそう言って下を向くけど、そーでもないぜ。
少なくとも、ここに居る連中はな。
「嫌なもんでござろうか。男子が戦いに赴くのならば、胸襟を開いて語り合うのが常、ささっ、どーんと来いでござるよ」
なっ。
「……いいの?」
「武士に二言はござらん、いや男の真摯な言葉に虚言などあろうはずがない」
そう言って、雷獣は小粋に小袖から肩を出して服をはだけた。
「ありがとう」
そう言って、橙依くんと雷獣は固く握手をしたのさ。
いいねぇ、青春の友情ってやつは。
だから、お嬢ちゃんが何やら鼻息を荒くしているのは見なかった事にしておくよ。
◇◇◇◇
「さて、これで決め手がひとつ増えたな」
「……うん」
「決め手って、蒼明さんに通じる攻撃が増えたって事ですか?」
「そうさ、お嬢ちゃんは知らないかもしれないが、橙依君には心を通わせた友の能力をコピーする能力があってな、それが使えるようになったって事さ」
「スゴーイ! これまた最強に通じる能力じゃない!」
弟ながら、スゴイ能力だと思うぜ。
橙依くんは制限は多いが、多彩な術を持ってる。
そいつらを駆使すれば、格上の相手だって負けない。
だけどねぇ、相手が超格上の場合は……うーん、ちと辛いねぇ。
「……大した能力じゃない。威力はオリジナルを超えないし、妖力の消費も大きい」
ちょっと照れくさそうに橙依くんは言うけど、ちょっと嬉しそうでもある。
「よしっ、それじゃあ、お前たちはこれから特訓な。お互いにぶつかり合って、威力を高める練習をするんだ」
「威力を高める? 当てる訓練ではなくてござるか?」
「ああ、そっちの方はおじさんとお嬢ちゃんにまかせな」
そう言って、おじさんはお嬢ちゃんの肩を抱く。
ボゴッ
「さりげなく、セクハラしないで下さる、オホホ」
お嬢ちゃんの、今までにないお上品な言葉使いの中から放たれる肘鉄は痛かった。
◇◇◇◇
「で、緑乱おじさん、雷獣くんと橙依君の大技を当てる方法なんですけど、どうするんです? あたしはバトルは専門外ですよ」
翌日の朝、お嬢ちゃんとおじさんは庭に片隅にある蔵に向かう。
いや、蔵というより土蔵だな。
「おじさんはね、昔、ひとりで全国を旅してたんだよ」
「ええ、聞きました。みなさんの封印を見つける旅でしたよね」
「そうそう、そして旅には先立つ物が必要だろう」
「ああ、そう言えばそうですね。でも、その頃ってこの『酒処 七王子』は無かったでしょう。どうやってお金を稼いでいたのですか? 人足みたいな日雇い労働とかですか? 力は強そうですし」
ここで犯罪的な想像をしない所がお嬢ちゃんのいい所だね。
いや、おじさんを少しは信頼してくれてるのかな。
ちょいと嬉しいねぇ。
「ちょいとした行商さ。旅をするからには、移動しながら売れて、しかも材料は簡単に手に入るものがいい。そう思わないかい?」
「確かにそうですね。そして、その答えがこの蔵にあると」
ギギィと音を立てて、蔵の扉が開く。
かび臭い匂いと太陽の光を受けてキラキラと舞う埃。
そして、その中には年月を思わせる、俺の思い出の道具たちがあった。
「あっ、あれチンドン屋の太鼓。あっちの鍋は……ひょっとして金平糖を作る鍋ですか!?」
「さすがだねぇ、食べ物に関しては目端が利くねぇ」
「おじさんって、金平糖の行商をやってたんですか?」
「ああ、ちょっとの間な。でも、今回の決闘に使う道具はそれじゃない、もっとスゴイ物さ」
そう言って、おじさんは蔵の灯りを付け、奥に鎮座している大物を指す。
それには小さいベッドほどの大きさで、布のカバーで覆われていた。
「これって、大砲とかですか? あたしはそんな物は使えませんよ」
言われてみればそうだねぇ。
カバーで覆われたこいつは小型の大砲にも見えなくはない。
「違うさ、こいつはそんな物よりずっといい物さ」
そう言っておじさんはカバーを外す。
「うわぁ……おじさん! これってひょっとして!」
「お嬢ちゃんの想像の通りさ。炭で動く骨董品だが、おじさんとお嬢ちゃんなら、明日までに使えるように出来るんじゃないかい?」
実に80年ぶりだろうか、こいつを動かすのは。
「やりましょう、おじさん! あたし、このタイプを使うのは初めてですよ! いやー、腕が鳴ります! 胸が躍ります! ルンルンのドーンですよ!」
「おっ、イイ感じに温まってきたねぇ。それじゃあ、始めるとしますか」
「ええ! みんなをビックリさせちゃいましょう!」
ガシーン
俺とお嬢ちゃんの腕がクロスした。
◇◇◇◇
天気は土砂降り、いい日和。
でも、こんな夏の夕立ちは、おあつらえ向けの兄弟喧嘩日和だねぇ。
こんな日にこの寂れた公園に来る人間なんてお嬢ちゃんだけさ。
「いやー、屋根のある所があって助かりました」
カバーの掛かった大きな骨董品を眺めながら、お嬢ちゃんが言う。
こいつを持ち込むのは骨が折れた。
なんせ100キロはあるからねぇ。
橙依くんと雷獣も加わり、俺たちは相手を待つ。
パラパラと雨の音が変わる。
雨が傘を打つ音だ。
そして、雨の中から最強の弟が現れた。
「よくぞ逃げずに来ました。そこだけは褒めておきましょう」
「……申し込んだのは僕。逃げるわけにはいかない」
いつになく真剣な目で橙依くんは蒼明を見る。
「で、なぜ、あなたがたは、そんなけったいな恰好をしているのですか?」
蒼明は白い目でおじさんとお嬢ちゃんを指差す。
あー、うん、そうだよね。
俺たちが着ているのは和服に笠、おしろい姿にまん丸の紅のほっぺ。
昔懐かしチンドン屋の恰好さ。
「あたしたちは応援部隊です。チアーですよ。それ、がんばれがんがれ」
そう言ってお嬢ちゃんは、ドンドンパフパフと太鼓を叩き、小さいラッパを吹きならす。
こいつはおじさんも負けてられないね。
「あそれ、扇子の先から鯨の潮吹き、こっちは何故かお盆に還る、覆水でござーい」
おじさんの妖力で、水がピュピューと虹を描く。
「まったくもう、決闘を何だと…」と蒼明は頭を抱えるが、いいじゃないか、こっちの方がおれたちらしくって。
「それに何です? その大荷物は」
「えへへ、これは勝負が終わった後のお楽しみですよ。とってもおいしいんですから」
米袋と炭袋を持ち上げ、お嬢ちゃんも、これから始まる荒事には似つかわしくない笑顔を見せる。
「まったく、こっちのふたりは真剣勝負を何だと……、まあいいでしょう、私の相手になりそうなのは、雷獣と……少し男の顔になった橙依君だけのようですから」
「拙者と橙依殿は付け焼刃ではあるが、訓練を重ねた。先日のような遅れは取らぬ」
「……協力プレイ」
昨日、おじさんと嬢ちゃんが必死に道具の手入れをしている間、雷の音はずっと響いていた。
近くに遠くに、ドガガシャーンと響く音は今でも耳に残っている。
「では、始めましょうか。どちらかが負けを認めるか、立てなくなったら負けですよ」
眼鏡を白く光らせながら、凄みのある声の宣言で、俺たちの兄弟喧嘩は始まった。
◇◇◇◇
ゴロゴロ
ピカッ
ドガガシャーン!
雷光が走り、雷鳴が響くごとに、ふたつの影が交差する。
その交差の中心にいるのが蒼明のヤツだ。
「どうしました? ふたり掛かりなら私が捌けないとでも思いましたか?」
前後左右に加え、上空からの攻撃、しかもその速度は音速を遥かに超えた雷速だというのに、蒼明からは余裕の声が上がる。
「もう一度いくぞ!」
「……うん、フォーメーションF」
ゴロゴロ
ピカッ
ドガガシャーン!
再び轟音が響くも、ふたりの軌跡は蒼明の近くを掠めるばかり。
まいったねぇ、完全に見切られててるよ。
バシャ―、ゴロゴロゴロ
雷獣と橙依くんが泥のぬかるみの中で体を回転させる。
あの一瞬、刹那の交差の中で蒼明のヤツがカウンターを合わせたせいだ。
「ハァハァ、大丈夫か?」
「……まだ、何とか、でもこのままじゃ勝てない」
息を荒くしながら、ふたりは顔を見合わせる。
泥で良く見えないが、かなり消耗しているようだねぇ。
あの攻撃は、あと1,2回が限度って所か。
「あなたの攻撃、『雷鳴一閃』でしたか。強力な技ではありますが、大きな欠点があります。それは、カウンターを受けると着地に失敗して逆にダメージを受ける所です」クイッ
冷静に、冷淡に、そして冷酷に、まるで教師がレクチャーするかのように蒼明が言う。
「あ、あたし聞いた事があります! 雷獣は、雷と共に地上に落ちるが、その時に大怪我したり、時には死んじゃう事もあるんですって!」
扇子で炭に風を送りながら、お嬢ちゃんが言う。
そう言えば、おじさんも聞いた事があるねえ。
雷の落ちた所で、人間がイタチに似た獣の死体を発見したって話を。
パチリ
炭の爆ぜる音がして、辺りに香ばしい匂いが漂う。
もちろん、匂いの元はあの装置だ。
んじゃま、おじさんたちも全力応援といきますか。
「準備はいいかい、お嬢ちゃん」
「ええ、バッチリです」
おじさんの問いに、お嬢ちゃんが指を丸くしてOKマークを作る。
よし、準備は万端、あとは仕掛けを御覧じろだ。
ふたりへ合図を送る必要はない、この匂いがふたりへの合図だ。
「いくでござる! 拙者たちの最後の一撃!」
「……全力でいく!」
ふたりの妖力が高まり、今までより長く、長く、そして長く、ゴロゴロという音が響き渡る。
「来なさい、妖力が尽きた時が、あなたたちの敗北の時です」
蒼明の視線がふたりへと集中する。
よし、今だ!
「いきます!」
ガキン!
音はふたつ、お嬢ちゃんの声とハンマーが何かを叩く音。
そして落雷にも似た轟音が俺の後ろから轟いた。
ドゴゴバアァァーーーーン!
「何っ!?」
蒼明の視線が一瞬こっちに注がれる。
そして、その隙をふたりは見逃さなかった。
「「双雷一閃!!」」
光とともにふたりは雷の線となり、蒼明に襲い掛かる。
「しまっ!?」
ドオオオゥゥゥーン!!
ふたつの影が蒼明に重なり、そしてひとつとなった塊は木々と地面を吹き飛ばしながら移動する。
「うおおおおおおおおぉぉぉぉ!」
「おおおおおおぉぉぉぉ!」
「ぬうぅぅぅーーーーー! はいっ!」
影が止まった時、そこには右手でひとり、左手でひとり、ふたりの吶喊を必死の形相で受け止めた蒼明の姿があった。
なんてこったい。
「流石に、今のは私もあせりましたよ」
「……あ、あああ……」
「およばずでござったか……」
妖力尽きたのだろう、ふたりはガックリと膝を着く。
「さて、この間合いなら……」
クイッ、ズルッ
大幅にずれたメガネを直そうとする蒼明。
だが、その手が力なく垂れる。
「おや、私の両手はしばらく使い物にならなさそうですね」
だらりと下がる両手を見て、蒼明は少し考える素振りを見せた。
「いいでしょう、今回は私の負けという事で」
敵の意外な申し出に、雷獣と橙依くんが顔を見合わせる。
「よいのか!? たとえ蹴りだけになろうと、このまま続ければ、お主の勝ちであるのに!?」
「……いいの?」
「ええ、この前はすみませんでした。貴方は、貴方がたは、立派な男ですよ」
そう言って、蒼明は雷獣と橙依くんの頭を優しくなでたのさ。
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「後宮の隠し事〜嘘つき皇帝と餌付けされた宮女の謎解き料理帖〜」
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先輩女官たちの虐めにも負けずに日々仕事をこなしていた笙鈴だったが、いつも腹を空かせていた。
そんな笙鈴の唯一の楽しみは、夜しか料理を作らず、自らが作った料理は決して食さない、謎の料理人・竜(ロン)が作る料理であった。
今日も竜の料理を食べに行った笙鈴だったが、竜から「料理を食べさせた分、仕事をしろ」と言われて仕事を頼まれる。
その仕事とは、飛竜の一人娘である皇女・氷水(ビンスイ)の身辺を探る事だった。
氷水から亡き母親の形見の首飾りが何者かに盗まれた事を知った笙鈴は首飾り探しを申し出る。
氷水の身辺を探る中で、氷水の食事を毒見していた毒見役が毒殺されてしまう。毒が入っていた小瓶を持っていた笙鈴が犯人として扱われそうになる。
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