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アマデウス侯爵領
閑話 父上はパパと呼ばれたい 2
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涼貴のいる森に不審な魔力が立ち上った日、夕方になって帰還したエルヴィスから衝撃的な話を聞いた。涼貴の恋人がこちらに降り立ったらしい。しかも、死の神自らの力によって。次の日、今後のことを話し合いに行った息子から更なる衝撃の事実が告げられる。その恋人はこの世界の真の庇護者である創造神とやらの加護を持ったもので、それ故に彼には瘴気すら近づけない。エルフと獣、魔獣ではないらしい、が現れて彼らをエルフの国へと招待することになったと。
エルフ族が本当にいるとは驚いたが、彼らが匿うのなら涼貴の身の安全をこれ程にまで保証してくれる場所はないだろう。その点少し肩の荷が下りた気がする。
しかし、勲美の登場は同時にかなりリスキーであった。まずもって、我が領に留まる監視者たちが不審な魔力を自分たちの主に報告しただろう。瘴気が溜まりすぎた故だと説明したが、どこまで信じられるか。また、それによって、我らに対する監視も一層強化されてしまった。人間を1人逃がすだけでもかなりの準備がいるというのに、2人となれば慎重には慎重を期さねばならない。しかし2人を上手く逃がすための計画を立てようにも表立っては普段と変わらぬ生活を続けなければならんのは些か不便である。姿は見せないがきっとつけられているであろう王族直属の影たちの動きも気にかかる。
そして何より、自分もその勲美とやらに会いたいのに森へ出向くことがまだ出来ていないのである。聞くところによると2人はとても仲睦まじく、お互いに信頼し合っているのがこれでもかと伝わってくるとか。新しく自分の末の息子となった涼貴がようやく何も気兼ねせずに落ち着ける場を見つけたというのに、父である自分はその幸せそうな様子を見ることすら敵わない。エルヴィスもエリオットも護衛達でさえもその姿を嬉しそうに語って聞かせるというのに。これが最近コンラッドを苦しめている一番の理由である。
勲美がこちらにやってきてから2週間後、ようやくコンラッドに森を訪れる機会が回ってきた。マーサに頼んでいくつか涼貴の好みの菓子を作らせ、勇み足で小屋へと向かう。さて、そこには今まで見た中で一番の笑顔を見せる涼貴とそれを愛おし気に眺める美丈夫の姿があった。あぁ、彼はこんなに穏やかな顔が出来るのか。
「涼貴よ。」
感極まって震えそうになる喉をなんとか抑えて可愛らしい息子に呼び掛ける。
「あ!…父さん。」
恥ずかしがってパパとは呼んでくれないが、父さんとは呼んでくれる。言いようもない感動が胸に押し寄せ、久しぶりの我が子を抱擁する。頬を抑え、撫で、隅々まで目を走らせる。以前よりずいぶんと健康的になった。はっはと笑いながら叩く背にもいくらか肉が戻ってきたようである。
「涼貴、こちらは?」
「あ、こちら、コンラッドさんです。エルヴィス達のお父さん…」
「エルヴィス達の、だけではないだろう?涼貴?」
「…はい。僕のこの世界の父親になってくれた人です。」
それを聞いて涼貴の恋人が目を見開く。彼はきっと元の世界での涼貴の家族についても知っているのだろう。
「そちらは勲美殿だな。話は聞いておる。私はコンラッド、このアマデウス家前当主で涼貴の父親だ。」
「申し遅れました。勲美と申します。コンラッドさん…涼貴を保護し、息子としても大事にしてくださってありがとうございます。」
差し出した手を両手で掴んで頭を下げる男を見る。背はエルヴィスと同じくらいか。体もがっしりとしていて、精悍な顔の似合ういい男ではないか。だが、父親として可愛い息子の相手はきちんと見極めさせてもらおう。
「勲美殿よ、そなたに我が愛しい息子を守り抜く覚悟とそれ相応の力があるのかな?」
慌てる涼貴を止めて、いきなり相手に向かって魔力の刃を向ける。エルフから魔力操作を教わっているのならこれくらい簡単に対処してもらわねば。ビクッと身を強張らせた勲美はそれでも咄嗟に盾を出して防ぎ、そのまま後ろに飛んでこちらに捕縛のための縄を飛ばす。ふんと鼻で笑って縄を粉々に切り刻むと今度は身体強化で瞬時に肉薄し、その胴に剣の柄をめり込ませる。上手くみぞおちに入ったと思ったところで自分の腕が握られ、体を地面へと押し倒されるのを阻止する。なるほど、少しは動けるらしい。面白くなってきた、と次々に魔力と物理で攻撃を繰り出していると
「そこまで!」
という叫びと共に2人の間に大きな壁を作られた。どこから出てきたと目を向けると涼貴が怒った顔でこちらを見ている。
「父さん、勲美さんは僕の大事な人です…僕のこともとても大事にしてくれています。僕が証明できます。だからそんなに疑わないでください。」
「コンラッドさん、私は今まで涼貴を1人苦しませてきましたが、これからは片時もそばを離れず一生かけて支えていくと誓っています。ですので、どうか涼貴を私に守らせてもらえないでしょうか。」
悲し気な顔をする涼貴と隣で頭を下げる恋人を交互に睨みつける。父として厳しい顔を作って無言を貫こうとしたが、若い2人の姿を見るとどうも無理だった。
「はっはっは。いや、すまんすまん。一度こういう事をしてみたくてな。勲美殿も頭を上げてくれ。涼貴のためにこちらの世界に単身乗り込む時点でどれほど大切に思っているかなど分かりきっておるわ。それに、そなたといる時の涼貴の安心しきった顔を見せられては反対をしようなどというバカな考えは浮かばん。」
「えっ、ふざけていたんですか?!」
「いや、弱ければ叱ってやろうとは思っていた。…良い人が伴侶だな、涼貴。お前が幸せそうな姿が見れて父は嬉しいぞ。」
そう言って息子をもう一度抱き寄せると、恥ずかしそうにしながらも、うん、と頷いていた。僕も父さんと勲美さんを会わせられてよかったと頬を染める涼貴をよしよしとこれでもかと撫でる。
「さて、マーサに菓子を焼いてもらって来たのだ。3人で食べよう。私に2人の話を聞かせてくれ。」
わーいと喜んで紅茶を準備しに行った涼貴の後姿を見守りながら、隣の男に声を掛ける。
「そなたが涼貴にとってどれほどの存在か知っておったつもりだったが、ここまでとは思わなかった。大変な目に合ったあの子を保護したはいいが、いつでも少し気を使って本当に心から安心することがなかったからな。あのように笑う彼を見られて私もやっと安心できる。」
「彼を大事にしてくださった皆さんのお力があってこそです、コンラッドさん。」
「ははは、君も涼貴の伴侶なら私の義息子だろう。遠慮せずにパパと呼んでよいのだぞ。」
「…‥‥ぱぱ、ですか?」
「あ~~!また、そうやってふざける!」
戻ってきて早々に小言を言う涼貴に、兄に似てきたなと内心少し凹む。しかし、おいしそうに菓子を頬張る姿はやはりとびっきり愛しい末の息子で、私は2人の馴れ初めなどを聞きながらつかの間の休息を楽しんだ。
そろそろ、帰らねばならない時が近づく。
「涼貴、少しこちらに。」
別れを惜しむ彼を手招いて、手を差し出させる。素直に左手を突き出した彼の手首になめした皮を編んだブレスレットをつけてやった。中心にアマデウス家の紋章を彫り込んだ指輪が飾られているそれは、涼貴の手には少し大きい。
「これは私からの餞別だ。私が当主になった際に作らせたもので付けた者の身の安全を守るまじないがかけられておる。」
「父さん。」
「これから先、何が起ころうとも、これが君を守ってくれることを祈っているよ。
君は常に強く正しくありなさい。自分の信じる道を何があっても突き進みなさい。アマデウス家の男として矜持を持ちなさい。」
うるうると目を潤ませる彼の額に唇をつける。どうか、彼のこの先が平穏でありますように。
「私は君のことを常に誇りに思っている。」
もうすぐここを出て行ってしまう彼に強い味方がいると確認出来て良かった。私の力の及ばない所に行くが、彼らならどんな困難も乗り越えるだろう。
今生の別れとなるかもしれない帰り道、振り返りたくなる気持ちを堪えて前だけを向いて歩く。私は最後まで、息子に誇れる自分でありたい。
エルフ族が本当にいるとは驚いたが、彼らが匿うのなら涼貴の身の安全をこれ程にまで保証してくれる場所はないだろう。その点少し肩の荷が下りた気がする。
しかし、勲美の登場は同時にかなりリスキーであった。まずもって、我が領に留まる監視者たちが不審な魔力を自分たちの主に報告しただろう。瘴気が溜まりすぎた故だと説明したが、どこまで信じられるか。また、それによって、我らに対する監視も一層強化されてしまった。人間を1人逃がすだけでもかなりの準備がいるというのに、2人となれば慎重には慎重を期さねばならない。しかし2人を上手く逃がすための計画を立てようにも表立っては普段と変わらぬ生活を続けなければならんのは些か不便である。姿は見せないがきっとつけられているであろう王族直属の影たちの動きも気にかかる。
そして何より、自分もその勲美とやらに会いたいのに森へ出向くことがまだ出来ていないのである。聞くところによると2人はとても仲睦まじく、お互いに信頼し合っているのがこれでもかと伝わってくるとか。新しく自分の末の息子となった涼貴がようやく何も気兼ねせずに落ち着ける場を見つけたというのに、父である自分はその幸せそうな様子を見ることすら敵わない。エルヴィスもエリオットも護衛達でさえもその姿を嬉しそうに語って聞かせるというのに。これが最近コンラッドを苦しめている一番の理由である。
勲美がこちらにやってきてから2週間後、ようやくコンラッドに森を訪れる機会が回ってきた。マーサに頼んでいくつか涼貴の好みの菓子を作らせ、勇み足で小屋へと向かう。さて、そこには今まで見た中で一番の笑顔を見せる涼貴とそれを愛おし気に眺める美丈夫の姿があった。あぁ、彼はこんなに穏やかな顔が出来るのか。
「涼貴よ。」
感極まって震えそうになる喉をなんとか抑えて可愛らしい息子に呼び掛ける。
「あ!…父さん。」
恥ずかしがってパパとは呼んでくれないが、父さんとは呼んでくれる。言いようもない感動が胸に押し寄せ、久しぶりの我が子を抱擁する。頬を抑え、撫で、隅々まで目を走らせる。以前よりずいぶんと健康的になった。はっはと笑いながら叩く背にもいくらか肉が戻ってきたようである。
「涼貴、こちらは?」
「あ、こちら、コンラッドさんです。エルヴィス達のお父さん…」
「エルヴィス達の、だけではないだろう?涼貴?」
「…はい。僕のこの世界の父親になってくれた人です。」
それを聞いて涼貴の恋人が目を見開く。彼はきっと元の世界での涼貴の家族についても知っているのだろう。
「そちらは勲美殿だな。話は聞いておる。私はコンラッド、このアマデウス家前当主で涼貴の父親だ。」
「申し遅れました。勲美と申します。コンラッドさん…涼貴を保護し、息子としても大事にしてくださってありがとうございます。」
差し出した手を両手で掴んで頭を下げる男を見る。背はエルヴィスと同じくらいか。体もがっしりとしていて、精悍な顔の似合ういい男ではないか。だが、父親として可愛い息子の相手はきちんと見極めさせてもらおう。
「勲美殿よ、そなたに我が愛しい息子を守り抜く覚悟とそれ相応の力があるのかな?」
慌てる涼貴を止めて、いきなり相手に向かって魔力の刃を向ける。エルフから魔力操作を教わっているのならこれくらい簡単に対処してもらわねば。ビクッと身を強張らせた勲美はそれでも咄嗟に盾を出して防ぎ、そのまま後ろに飛んでこちらに捕縛のための縄を飛ばす。ふんと鼻で笑って縄を粉々に切り刻むと今度は身体強化で瞬時に肉薄し、その胴に剣の柄をめり込ませる。上手くみぞおちに入ったと思ったところで自分の腕が握られ、体を地面へと押し倒されるのを阻止する。なるほど、少しは動けるらしい。面白くなってきた、と次々に魔力と物理で攻撃を繰り出していると
「そこまで!」
という叫びと共に2人の間に大きな壁を作られた。どこから出てきたと目を向けると涼貴が怒った顔でこちらを見ている。
「父さん、勲美さんは僕の大事な人です…僕のこともとても大事にしてくれています。僕が証明できます。だからそんなに疑わないでください。」
「コンラッドさん、私は今まで涼貴を1人苦しませてきましたが、これからは片時もそばを離れず一生かけて支えていくと誓っています。ですので、どうか涼貴を私に守らせてもらえないでしょうか。」
悲し気な顔をする涼貴と隣で頭を下げる恋人を交互に睨みつける。父として厳しい顔を作って無言を貫こうとしたが、若い2人の姿を見るとどうも無理だった。
「はっはっは。いや、すまんすまん。一度こういう事をしてみたくてな。勲美殿も頭を上げてくれ。涼貴のためにこちらの世界に単身乗り込む時点でどれほど大切に思っているかなど分かりきっておるわ。それに、そなたといる時の涼貴の安心しきった顔を見せられては反対をしようなどというバカな考えは浮かばん。」
「えっ、ふざけていたんですか?!」
「いや、弱ければ叱ってやろうとは思っていた。…良い人が伴侶だな、涼貴。お前が幸せそうな姿が見れて父は嬉しいぞ。」
そう言って息子をもう一度抱き寄せると、恥ずかしそうにしながらも、うん、と頷いていた。僕も父さんと勲美さんを会わせられてよかったと頬を染める涼貴をよしよしとこれでもかと撫でる。
「さて、マーサに菓子を焼いてもらって来たのだ。3人で食べよう。私に2人の話を聞かせてくれ。」
わーいと喜んで紅茶を準備しに行った涼貴の後姿を見守りながら、隣の男に声を掛ける。
「そなたが涼貴にとってどれほどの存在か知っておったつもりだったが、ここまでとは思わなかった。大変な目に合ったあの子を保護したはいいが、いつでも少し気を使って本当に心から安心することがなかったからな。あのように笑う彼を見られて私もやっと安心できる。」
「彼を大事にしてくださった皆さんのお力があってこそです、コンラッドさん。」
「ははは、君も涼貴の伴侶なら私の義息子だろう。遠慮せずにパパと呼んでよいのだぞ。」
「…‥‥ぱぱ、ですか?」
「あ~~!また、そうやってふざける!」
戻ってきて早々に小言を言う涼貴に、兄に似てきたなと内心少し凹む。しかし、おいしそうに菓子を頬張る姿はやはりとびっきり愛しい末の息子で、私は2人の馴れ初めなどを聞きながらつかの間の休息を楽しんだ。
そろそろ、帰らねばならない時が近づく。
「涼貴、少しこちらに。」
別れを惜しむ彼を手招いて、手を差し出させる。素直に左手を突き出した彼の手首になめした皮を編んだブレスレットをつけてやった。中心にアマデウス家の紋章を彫り込んだ指輪が飾られているそれは、涼貴の手には少し大きい。
「これは私からの餞別だ。私が当主になった際に作らせたもので付けた者の身の安全を守るまじないがかけられておる。」
「父さん。」
「これから先、何が起ころうとも、これが君を守ってくれることを祈っているよ。
君は常に強く正しくありなさい。自分の信じる道を何があっても突き進みなさい。アマデウス家の男として矜持を持ちなさい。」
うるうると目を潤ませる彼の額に唇をつける。どうか、彼のこの先が平穏でありますように。
「私は君のことを常に誇りに思っている。」
もうすぐここを出て行ってしまう彼に強い味方がいると確認出来て良かった。私の力の及ばない所に行くが、彼らならどんな困難も乗り越えるだろう。
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