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恋人を放置したら、少し拗れた件(ミヤビside)
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ユウシと恋人になって一週間。
実は、恋人というのがよく分からなかったから、とりあえず登下校を一緒にする事以外は自分のペースで、普通に行動した。
けれど、ユウシは何故か不満に思ってるようで、今日のお昼を一緒に食べないと言った途端に拗ねてしまった。
いや、そもそもユウシの話は面白いんだよ!?
とある日の夕方の散歩で、近所のおばちゃんの犬(ポメラニアン)に噛まれそうになった話とか、家で寝ぼけて妹さんのパンツを自分の箪笥の中に入れた話とか。あと、キッチンに出てきたゴキブリ退治のために、キッチン用泡ハイターを使い切って父親に怒られた話とか!
とにかく、ユウシがベラベラ楽しそうに話すもんだから、こっちは何もせずに笑ってはウンウン頷いているだけ。
こんなに楽しいのはいつぶりだろうって、本当に思う。
けれど、ユウシ曰く、俺の話も聞かせて欲しいらしい。
…うーん、これと言って話す事ないんだけど…。
あと、ここだけの話、俺の弁当はいつも茶色いから、この場でユウシに笑われるかもしれないし…。
「だったら、せめて俺のお弁当の中身見てから、どっかでご飯食べろよ!」
「!?」
えっ…?なんか気がついたら、ユウシが自分自身で作ったという弁当を持ってきて、俺にその中身を見せてきたぞ?
しかも…な、なんだこれ!?めっちゃくちゃカラフルで、野菜も入ってるし、健康的だぁ!
…あー、なるほど。ユウシがやりたい事、分かったわ。
つまりこれはあれだな。弁当自慢ってやつか。
『お前の弁当は見栄え悪いから、この俺がお手本見せてやるぜ~』みたいな。
…まだユウシに、俺の弁当見せてないけど。
とにかく、もうここにユウシの作った弁当があるんだし、俺の弁当はお役御免だな。
…まぁでも一応、ユウシの弁当が被害を被らないように、しっかり蓋をしてっと。
そして、自分の弁当を手にして、外に投げようとしたその時…。
「わっわ、うわああああああ!!ストップううううう!!ミヤビ、お弁当ストップうううう!!」
と叫びながら、いきなりユウシが横から抱き付いてきて、しかも教室側に身体を引っ張られながら、弁当を投げるのを阻止してきた。
しかも抱き付く力が強い!思うように動かねぇ!
「ちょっ、身体離せって、ユウシ!お前の弁当見たら、俺の弁当がチンケに見えたんだよ!だからポイする!清々しいお外に向かってぇ!」
「そ、それも人生だけど、よくない人生ー!!食べるために生まれてきた命をポイすると、不運が襲うってー!ステーイ!!」
あーもう!何なんだよ、人生人生って!
俺の人生は俺の人生だろ!?好きにしたっていいじゃないかああああああ!
「……」
…はぁ、なんか疲れた。このままだと、一生この状態で過ごすことになりそう。…うん、折れるか。
自分の弁当を投げ捨てるのをやめた俺は、一旦弁当を机の上に置いて、自分の席に戻った。
その時、不安そうに見上げて話してくるユウシに、ちょっと申し訳なく思った俺は、しばらく黙った後にこう言った。
「…ごめんな、ユウシ。じゃあ…誰もいない屋上だったら、一緒にお昼食べるよ」
実は、恋人というのがよく分からなかったから、とりあえず登下校を一緒にする事以外は自分のペースで、普通に行動した。
けれど、ユウシは何故か不満に思ってるようで、今日のお昼を一緒に食べないと言った途端に拗ねてしまった。
いや、そもそもユウシの話は面白いんだよ!?
とある日の夕方の散歩で、近所のおばちゃんの犬(ポメラニアン)に噛まれそうになった話とか、家で寝ぼけて妹さんのパンツを自分の箪笥の中に入れた話とか。あと、キッチンに出てきたゴキブリ退治のために、キッチン用泡ハイターを使い切って父親に怒られた話とか!
とにかく、ユウシがベラベラ楽しそうに話すもんだから、こっちは何もせずに笑ってはウンウン頷いているだけ。
こんなに楽しいのはいつぶりだろうって、本当に思う。
けれど、ユウシ曰く、俺の話も聞かせて欲しいらしい。
…うーん、これと言って話す事ないんだけど…。
あと、ここだけの話、俺の弁当はいつも茶色いから、この場でユウシに笑われるかもしれないし…。
「だったら、せめて俺のお弁当の中身見てから、どっかでご飯食べろよ!」
「!?」
えっ…?なんか気がついたら、ユウシが自分自身で作ったという弁当を持ってきて、俺にその中身を見せてきたぞ?
しかも…な、なんだこれ!?めっちゃくちゃカラフルで、野菜も入ってるし、健康的だぁ!
…あー、なるほど。ユウシがやりたい事、分かったわ。
つまりこれはあれだな。弁当自慢ってやつか。
『お前の弁当は見栄え悪いから、この俺がお手本見せてやるぜ~』みたいな。
…まだユウシに、俺の弁当見せてないけど。
とにかく、もうここにユウシの作った弁当があるんだし、俺の弁当はお役御免だな。
…まぁでも一応、ユウシの弁当が被害を被らないように、しっかり蓋をしてっと。
そして、自分の弁当を手にして、外に投げようとしたその時…。
「わっわ、うわああああああ!!ストップううううう!!ミヤビ、お弁当ストップうううう!!」
と叫びながら、いきなりユウシが横から抱き付いてきて、しかも教室側に身体を引っ張られながら、弁当を投げるのを阻止してきた。
しかも抱き付く力が強い!思うように動かねぇ!
「ちょっ、身体離せって、ユウシ!お前の弁当見たら、俺の弁当がチンケに見えたんだよ!だからポイする!清々しいお外に向かってぇ!」
「そ、それも人生だけど、よくない人生ー!!食べるために生まれてきた命をポイすると、不運が襲うってー!ステーイ!!」
あーもう!何なんだよ、人生人生って!
俺の人生は俺の人生だろ!?好きにしたっていいじゃないかああああああ!
「……」
…はぁ、なんか疲れた。このままだと、一生この状態で過ごすことになりそう。…うん、折れるか。
自分の弁当を投げ捨てるのをやめた俺は、一旦弁当を机の上に置いて、自分の席に戻った。
その時、不安そうに見上げて話してくるユウシに、ちょっと申し訳なく思った俺は、しばらく黙った後にこう言った。
「…ごめんな、ユウシ。じゃあ…誰もいない屋上だったら、一緒にお昼食べるよ」
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