訳あり男装執事は、女嫌いの騎士団長に愛され口説かれる

九重ネズ

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ダブルデートのお洋服とアナベル 2

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 とにかく、アナベルを着飾る事が出来たエマは、彼女を連れてロザリアの部屋を訪れた。

「ロザリア様。アナベルを連れて参りました。入室してもよろしいでしょうか?」
「わわっ!ま、待って頂戴!今着替えている最中だから!あ、あれ?チャックはどこかしら…」
「…はぁ…。それなら私がしますので、入りますね」
「えっ!?わ、分かったわ…。どうぞ、入って頂戴…」

 焦ったような声を出すロザリアに、エマはチラッとアナベルを見た後、ズカズカと彼女の部屋に入る。
 すると、長い髪を適当にリボンで高く結んだロザリアが、白いワンピースを身に纏いながら困った顔をしていたので、エマは頭を抱えた。

「…ロザリア様。一人で服を着替えるなと、あれほど言ったはずですよ!?大人しくベッドに座って、待ってれば良かったじゃないですか!」
「そんなの嫌よ!早く着替えてアナベルの着替えを見たかったのに!しかも、もうアナベルが綺麗になってるわ!く、悔しい!!なんなら先に、私を着替えさせた方が良かったんじゃないかしら!?」
「ロザリア様…。はぁ…本当に我儘なんですから…」

 エマは疲れた顔をしながらロザリアに近づき、彼女のワンピースのチャックを見つけて上にあげる。
 そして、エマとロザリアが軽い口喧嘩をしているのを眺めていたアナベルは、少し考え事をしたあと、ロザリアに近付いて優しく笑った。

「…ロザリア…いえ、ロザリア。私…ではなく、に逢いに行くために一人で頑張ろうとしてくれたのですね?ありがとうございます」
「あ、アン…ディ?」
「ふっ、はい。です。僕は貴女のお世話をエマと一緒に行う執事ですよ?貴女の着替えが全て終われば、アナベルに戻りますが、今だけは貴女の執事でいさせてください。…とにかく、この髪を綺麗にするのは僕の役目ですので、早く化粧台の前に行きましょうね」
「は…はいぃ…」

 突然目の前にいるアナベルが、執事のアンディになって王子様のように微笑み、優しく声をかけられたものだから、ロザリアの目がハートになる。
 そして、言われるがまま化粧台の前に座ったロザリアに、エマは安堵の息を漏らした。

「…ふぅ…。えっと、ありがとうございます…えーっと」
「大丈夫だよ、エマ。アナベルと呼んでも。…ロザリアは執事のアンディが好きだから、今少し顔を出させて貰ったってだけ。私はロザリアの髪を綺麗にするから、エマはロザリアの顔をより可愛くしてくれないか?」
「は、はい。承知しました、アナベル。では可愛く綺麗にしていきますね、ロザリア様」
「え、ええ!ありがとう、エマ。よろしくお願いするわ」

 ロザリアがコクリと頷いたのを合図に、エマとアナベルはロザリアを綺麗に仕上げ始めた。
 髪は綺麗に梳いたあとに、綺麗な三つ編みおさげに、そして化粧は全体的に甘めのピンクで統一して、可愛さを全面的に出していく。
 そして、全てが終わったあと、ロザリアは興奮した様子ではしゃぎ始め、エマとアナベルはお互いを見合わせてから笑った。

「すっごく可愛いわ!なんかドキドキしちゃう!しかも、アナベルと同じ三つ編みだなんて、最高ね!」
「え?…あ。そういえば私の髪、三つ編みだったの忘れてた…。と言ってもウィッグだけど。…うぅ…アンディと別人になれたとはいえ、やっぱりロザリアの可愛さには叶わないなぁ…」
「何言ってるのよ!貴女も充分大人びていて綺麗よ!きっと騎士団の男どもが貴女を見たら、惚れ直して求婚を…。って、あ”ー、なんか私が言っておいてなんだけど、すっごくムカムカしてきたわ!今から騎士団に乗り込んで、男どもを罵倒してきてもいいかしら!?」
「えっえええ!?だ、ダメだよ、ロザリア!そんな事したら、可愛いロザリアに騎士たちが群がるって!しかも私が騎士団でモテてるって!?エマもさっき言ってたけど、私はそんなんじゃないし、全然モテてないから~!」

 話を否定して首を振るアナベルに、ロザリアとエマは眉間に皺を寄せて『嘘だろ?』と言いたげな顔をする。
 そして、『これは後で騎士団長を利用して証明させなければ』とロザリアは心の中で誓ったのであった。
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