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僕の生きる場所(セオル)2

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久しぶりの美人なお客に、実は結構期待してた。変な雄の匂いはしないし、話聞いてたら発情した事がないって言う。もしかして初めて? ちょっとヨダレ垂れそうになったのは秘密。
だからアリエルの「帰る」って言葉を聞いた時は慌てて引き止めた。
何にもしないのに寝ちゃったけど、ホント助かった。あの日アリエルが泊まってくれたからあの客の相手しなくて済んだ。僕が泊まりの客取ったの聞いてかなり怒ったみたいだけどね。




アリエルはすごく不思議な子だった。
同性の身内を番と認識しているのにその人から離れようとしたり、近くにいるんじゃなくて離れていても役に立とうと必死だったり。
人への接し方が下手、慣れてないみたいだった。
会う度にすごくいい顔で祖母自慢するアリエル。僕に対して警戒が無いのか気がついてない。
眠りに落ちる時「凛子様」って呼んだのを。
その名は僕も知ってる。この国じゃ有名人だから。



辞めようと思っていたけど、アリエルが来るからもう少しだけ頑張ることにして暫く、臭い客は相変わらず僕を指名する。
だけど最近僕のモノが中々元気にならなくて客が怒るようになって、仕方なく薬を調合して飲むようになった。
いや、あの客相手に僕頑張ったと思うよ? でも薬使ってもキツくなって、やっと気がついた。

『番』だって。

ああ、そっか。だから使い物にならなかったんだって。

そう気がついたらストンと気持ちが落ち着いた。


僕は娼館の主に番ができたからもう客は取れないって伝えた。とりあえず入ってた予約分は薬使ってこなすけど、それ以降は全部断ってもらった。




そんなある日、アリエルの番が亡くなって、僕は狡いやり方でアリエルを抱いた。

初めてのアリエルはあの日と同じ迷子のような不安そうな顔をしてた。

散々会っていたのに、初めてアリエルを抱いた。入れただけで出そうになるなんて初めてだった。
初めてのアリエルを散々貪って、そして知った。
僕達の終わりを。


あ~あ。もし避妊紋失敗じゃなかったらこの先いつか子供つくってさ、番同士じゃなくても仲良く暮らせたかもしれないのに。
これ、もう治んないんだよね。
こんな体じゃ、アリエルに家族をあげられないよ……




この日から僕はほかの女を抱けなくなった。近づくだけで嫌悪感が走った。
アリエルの、番を知った後でほかの女なんて触れない。触りたくない。幸い僕は娼館に借金がある訳じゃない。残ってた予約分のキャンセル料は負担しなきゃなんないけど、そんなの大したことない。




「だからずっと僕と居てくれたアリエルに忠告。今のままの関係でいたいなら番にこれ以上近寄らない方がいいよ。新しく産まれた若い体は、知っているよりずっと濃い匂いがするから。番を知ったら引き返せなくなる。どんなに薬を使っても、忘れられなくなる」

アリエーラは僕が知っていることに驚いてた。でも当たり前だ。ここは娼館、情報の集まる場所。そうでなくても「凛子様」は有名で、更にその人の獣人の孫はアリエーラ・ユウキ、一人しかいない。

僕は愛しいアリエーラに別れを告げた。
あっさりと、軽い別れ。
アリエーラにとって僕は発散する道具じゃないのは分かってる。
でも一緒には居られないよ。

愛に飢えたアリエーラ、僕は君に必要なものをあげられないんだ。 

番じゃない僕からの愛情は、きっと君にとっては迷惑なものだろうし、僕は隠しきる自信はない。

だからこれでいい。


「アリエーラ、今までありがとうね」


「私こそ、ありがとう。セオル」









と、思ってたのに、あんな筋肉しか取り柄なさそうな男がアリエーラの隣に!?
許せる訳無いじゃん!!




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