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殺られるじゃなくて犯られるじゃねぇか!

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オーガ達は雄々しい雄叫びを上げて走り出す。

放たれたオーガは五体、十五名に対して五体とは良いのか悪いのか。


俺も直ぐに距離をとったが、オーガ達はまるで何かに引き寄せられる様に走り出した。



張られた結界は直径でおおよそ1キロ程か。

オーガはあまり頭は良くないはずだ。頭に血が上りやすく見境ないが腕力だけならどの種族よりも強い。捕まったら間違いなくその馬鹿力で腕をやられる。

普段魔獣を狩る側が狩られる立場へ。

幸い俺はまだ目をつけられていない。確実に残る為に、観察しながら気配を消して距離を取った。




「うわああああああっ!!やめてくれぇ!!」


オーガが捕まえた男に馬乗りになり腕を振り上げる。

振り下ろした腕はその男の服を引きちぎってゆく。


何だ?何かがおかしい。


上着を引き裂き履いていた物に手をかける。大きな音を立て盛大に破かれ下半身が露出すした。


「・・・・・はあ!?」


この状態にも驚いたが、オーガの状態に更に驚いた。

巻かれた腰巻を俺の腕ほどありそうなアレが元気に押し上げている。しかもべっとりとナニカで濡れている。


・・・・・・マジか。


「やめろお!!俺はメスじゃない!!」


男の股間を見たオーガはさらに大きく雄叫びを上げて怒り出す。


そこにあのジン・グルードがやってきてオーガの下から男を引き上げ男の失格を伝える。

オーガは怒りに目を血ばらせながら俺の方を見て真っ直ぐに突進して来る。


俺の背中を怖気が走り抜けた。


男に、しかもオーガに掘られるなんて冗談じゃない!!

合格の条件は無傷で残る。この場合の無傷は何処までか。あの男とジン・グルードを見た所服を剥がれれば失格だろう。


どう逃げる?

オーガを攻撃してはいけないとは言ってない。

が、ヨダレを垂らしながら股間を盛り上げるアレを見て、いつもの魔獣相手とは違う種類の恐怖が湧き上がる。


掘られたくない!!


俺は迫り来るオーガを前に、腰に差してある剣に手を置いた。


グオオオァァァ!!



アリエルに会いたい!

アリエルに会いたい!

アリエルに会いたい!!





「クソオオオオオ!・・・・・・・・・・あ?」








「嫌だァァァァ!!」


「…………」



オーガは俺を素通りし何故か別の男に襲いかかる。


逃げる男は顔から地面に転げ、背中を踏みつけられていた。

さっきと同じように服を剥ぐと、露になった尻を見て興奮し胸を左右の手で交互に叩きながら雄叫びを上げる。


どうやらアイツらオーガは完全に発情しているらしい。

オーガはオスしか生まれない。だから他種族のメスを孕ませるが、いくら他種族でもオスかメスかは匂いで分かるはずだ。なのに何故見境なく襲う?



「いやだアアアア!!があぁぁぁぁ………ぐゔぇぇ」




「・・・・・・・・・うへぇ」


離れた場所に居る俺の耳にもメリメリと押し広げる音が聞こえる。ずっぷりとハメ込まれた男は草を握りしめながら泡を吹いて意識を失った。

それでもオーガはヨダレを垂らしながら必死で腰を振る。捕まったら同じ目にあう気しかしない。


「ありゃ・・・・裂けたな」


気がつけばあちこちから悲鳴が上がり、俺は反撃することを諦め逃げに徹した。



たった十五分が恐ろしく長く感じ、たっぷりと狩られる側の恐怖を感じた。

狩られる意味が違うが。






第一王子がオーガ達を抑え、さっきと違い今度はリストでは無くジン・グルードが前に出る。


「脱落者七名、棄権六名。合格者はグレン・カーソンとリミオ・ビダの二名」



汗だくになり草の上に膝をつき、ジン・グルードの言葉を聞いた。



リミオ、リミオは無事だったのか。あの体格じゃあオーガに犯られたら裂けるじゃ済まない。

まぁ無事でよかった。



「・・・・・・・いや、ちょっと待ってくれジン・グルードさんよ。そもそも参加者に女がいなかったのに何で奴らは発情した?これが試験か?あんなもん突っ込まれたら下手すりゃ内臓破裂だぞ」


参加者に女がいて、そいつが襲われたってなら分かるが参加者に女はいなかった。

それに最初に第一王子が連れてきていた時は発情状態じゃあなかったはずだ。




「この牧場での飲食は禁じていたはずだ」



答えたのは冷めた目で見下ろすのはジン・グルードではなく第一王子だが飲食と聞いてリミオに視線を向けた。


「僕は食べていませんよ」


汗だくの俺と違い、汗一つかいてないリミオは涼しい顔で答えた。


「ああ、見てたから知っている。お前は持ち込んだだけで食ったのはアイツらだ。やり方は気に入らねぇが合格は合格だ」


相変わらず冷たい目をしたジン・グルードは綺麗な顔に似合わず口はあまり良くなかった。


「ありがとうございます。会場を聞いてきっとオーガを使うと思っていました」

「まさかあっさり食っちまうとは思わなかったが、食べない奴らには後で食えと紙に包んで渡したな?警戒して受け取らない奴もいたが、お前は崩したクッキーを隠匿の魔術を使ってポケットに入れた。目の前で包みを開けたお陰でアイツらは忍ばせたものの匂いを気にする事はなかった。オーガが襲い出してからは気配を消し距離をとる。一度完全にオーガの視界から外てから隠匿の術を使えば襲われる心配は無いからな」

「僕みたいに力の弱い者は頭を使わないと生き残れませんでしたから」


どうやらオーガ達の行動がおかしかったのはリミオのあのクッキーが原因って訳だ。

危ねぇ。食ってたら俺も他の男達みたいに……


「ってオイ!お前俺にも食わせようとしたろうが!」



「えへ。グレンさんは番がいるって言ってたからポケットに仕込んでないよ」


「じゃあ番がいるって言わなかったらやってたのか」


「もちろん。だってグレンさん男前じゃないですか。黒の姫様の近くに害虫を近づけたりしたくないですからね」


「………お前、ヤバイ奴だな。てか、よく菓子で発情すると知ってたな」


なんかもう、力が抜けた。コイツはやべぇ奴だ。


「正しくはバニラの香りですよ。グレンさん」





「もういいか?今回ケツ掘られたヤツらはしっかりと治療はしてある。アルバン、お前オーガの教育し直せよ。戦場で味方のケツに突っ込まれたらまずいだろ」

「あー……いや、その時は魔道具で調整するさ」

「合格者の二人はこの後場所を移して説明会だ」



「ありがとうございます!」

「・・・・・・・・・ああ」



リミオが言うには、黒姫が何年も前からごく稀に牧場に足を運んでるらしい。

元々頑丈な結界が張られた牧場は黒姫の子、二人がちょっと体を動かすのには丁度いいらしく、稀に黒姫も足を運ぶんだとか。

その時に何故かオーガにもバニラのクッキーを差し入れるらしく、黒姫の匂いのするクッキーを食ってたら発情するようになったとか。

今じゃ繁殖させるために専用の場所にはバニラの匂いが焚かれてるらしい。


「あ、バニラの香りは極秘事項ですからシーですよ?」




オーガに差し入れって、黒姫も変人かよ!





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