23 / 24
第二章
日記の行方
しおりを挟む
皇子様がいきなり私の両肩を掴んでくる。
「それは本当ですか!?」
あまりの勢いに私も押されてしまう。
そんなに大事な日記なのだろうか。
「う、うん。あくまでも予想だけど…。」
「それでも構いません。」
真剣な表情で私を見つめる。
後ろにいるお兄様も同じ表情をしていて、何だか責任重大だ。
「イヴ、どうして場所がわかるんだ?」
「えっと、私大事なものはある場所に隠すって決めてるの。だからもしかしたらそこにあるかもと思って。今の私も同じ事してるかどうかはわからないけど。」
「なるほど…。確かにお前は昔から勉強が嫌だからと教材を無くした振りしたり、気に入った物を大事に隠したりする癖があったな。」
お兄様はいつも余計な事を言う。
それは大人になった今でも変わらないみたいだ。
皇子様の前でそんな事言われると流石の私でも恥ずかしい。
「もう!そんな事、今はどうでも良いでしょ!早く探しに行くよ!」
私は早く話を切り替えたくて言う。
「?部屋には置いていないのか。」
不思議そうな顔をしている皇子様とお兄様。
そんな二人に得意げな顔で私は告げる。
「うん。だって部屋に置いておいたらすぐに見つかっちゃうでしょ?だからね…。」
私がとある場所の名前を言うと、案の定二人は驚いた顔をした。
――
「…本当にこの場所にあるんですか。」
「うん、多分!」
皇子様に場所を言ったら、敷地が広すぎるという事で使用人に頼んで探してもらった。
そう。
この場所で一番大きな木を。
「まさか、ここで一番大きな木を探せと言われるとは思いませんでした。」
「そうですね…。イヴ、何でここに隠したんだ?」
お兄様の問いに私は自信満々に答える。
「すごくわかりやすい目印だから!それに大きいから迫力もあってかっこいい!」
「「…。」」
私がそう言うとなぜか二人は黙り込んだ。
心なしか呆れた顔をしている様に見えなくもない。
「我が家の敷地も後で確認しようと思います。あの様子じゃ他に何か隠していそうです。」
「そうですね。その方が良いかと。」
私には聞こえないくらいの声で二人がひそひそと話している。
仲間外れにされたみたいで気分は良くない。
「もう、せっかく教えてあげたのに。それよりも早く探そ…。」
私が動こうとした瞬間。
誰かの手が私を制したことがわかった。
皇子様だ。
「待ってください。まだ体が痛い筈です、どこを探せばいいのか教えてくれればこちらで探します。」
確かに皇子様の言う通り、まだ体が痛かった。
さっき二人から聞いて分かったのだが、私は怪我をして二週間以上眠り続けていたらしい。
通りで体が痛い訳だと納得したが、なぜ怪我をしたかまでは教えてもらえなかった。
単純に私がドジして怪我をしたのかとも思ったけど、二人の深刻そうな顔を見てるとそうではないらしい。
今はまだ聞ける雰囲気じゃないから私も何も聞かないでいる。
それよりも今は日記探しだ。
だがこんな状態では私も探しに行けない。
場所を知っているのは私だけ。
考えた末、車椅子で行く事になりお兄様が押してくれてここまで来た。
その事をすっかり忘れていた私に皇子様は気づいて止めてくれた。
紳士的で男らしいその姿に思わずときめく。
「あ、じゃあ…、ここの下を掘ってほしい。」
少し赤くなった顔を隠すように逸らし、木の右側の下を指す。
「ここですね。」
皇子様は特に気にした様子もなく、そこを掘ろうと用意していた道具を手にする。
お兄様も手伝おうとして皇子様と一緒にそこを掘ろうとするが。
なぜか二人とも固まっていた。
どうしたのだろうかと私は首を傾げた。
すると皇子様が深刻そうな顔をして私に言う。
「既に誰かが掘った形跡があります。」
それは想像していなかった事だった。
「ですがこれはイヴが埋めた時の跡とも言えませんか?」
「彼女が眠っていた期間に雨が降った日があったでしょう。その時に濡れた土が馴染んで平らになると思いますがこれはそうなっていない。土が柔らかすぎます。」
皇子様は土を触り感触を確かめている。
私もその場所を見てみたが確かに誰かが掘ったように見えなくもない。
「…嫌な予感はしますが、一先ず確認しましょう。」
取り敢えず掘ってみようという事で二人は作業を再開した。
しかし。
皇子様の嫌な予感は当たってしまっていたようだ。
どれだけ掘り進めても、そこからは何も発見されなかった。
「やはり無いですね。まさか我々より先に取っていたとは。」
顎に手をかけて悩んでいる皇子様。
だが、そんな彼とは対象にお兄様は冷静だった。
「殿下、今回の件を一番揉み消したいと思っている人物がいるとすれば…。」
「それは私も考えました。しかし、この場所はイヴェットしか知らない筈でしょう。」
「メイドを潜り込ませていたくらいです。イヴの行動も監視されていたのでは?」
「…。」
お兄様が責めるような目で皇子様へ詰め寄る。
今の口振りだと、二人は既に誰が犯人なのか知っているようだった。
皇子様は認めたくないのか眉間に皺を寄せ何かに耐えている表情だ。
よっぽど情のある人なのだろうか。
「ね、ねえねえ。そもそもその日記って私にとって何か悪い事でも書いてあるの?」
私は彼の苦しげに歪んだ顔を見ていたくなくて話題を変えようと疑問に思っていたことを聞いた。
これだけ協力しておいてなんだが、もし私に不利なことが書いてあるとするのならばこのまま見つからないでほしいとも思ったからだ。
少しドキドキしながら答えを待っていると、二人は首を振って否定を示した。
「いえ、寧ろイヴェットにとっては見つけて欲しい物だと思います。」
「?そうなの?」
「ええ。あなたの尊厳を守る大事な証拠ですから。」
皇子様の言っている事がいまいち理解できなかったが私にとって悪い物ではないらしいので安心する。
しかし、そうなってくると新たな疑問が湧いた。
「見つけて欲しいのに誰もわからない場所に隠したの?後から言うつもりだったとか?」
「…いえ、そんな筈は。彼女は最初からあの日を最後にしようと…。」
語尾がどんどんと小さくなって彼が何と言おうとしていたか最後まで聞こえなかった。
だが、私の疑問で皇子様もおかしいと思ったのか考え込んだ。
「因みにこの隠し場所を知っている人は他にいますか?」
「ううん。誰にも言ってないよ。」
ここは私だけの秘密の場所。
どんなに仲の良い友達でも絶対に喋っていない。
家族であるお兄様にすら言っていなかったくらいだ。
今回は緊急っぽかったから話したけど、そうでなければ誰にも教えない。
「イヴェットの行動を考えると、彼女は誰かが日記を見つけてくれると確信していた風に思えます。そうでなければ、態々隠した日記を証拠として提示しないでしょう。」
「そうですね。しかしそれは一体誰なのでしょうか。」
二人とも頭を悩ませている。
私も一緒に考えたいが、今の私が誰と交流を持っていたのかさっぱりわからない。
手助けできる事は何もなかった。
「取り敢えず彼女が親しくしていたであろう人物に聴取していきましょう。」
手掛かりも何もない。
今できる事と言えばそれくらいだろう。
この場にいる全員がそう思い、皇子様の意見に賛同したのだった。
「それは本当ですか!?」
あまりの勢いに私も押されてしまう。
そんなに大事な日記なのだろうか。
「う、うん。あくまでも予想だけど…。」
「それでも構いません。」
真剣な表情で私を見つめる。
後ろにいるお兄様も同じ表情をしていて、何だか責任重大だ。
「イヴ、どうして場所がわかるんだ?」
「えっと、私大事なものはある場所に隠すって決めてるの。だからもしかしたらそこにあるかもと思って。今の私も同じ事してるかどうかはわからないけど。」
「なるほど…。確かにお前は昔から勉強が嫌だからと教材を無くした振りしたり、気に入った物を大事に隠したりする癖があったな。」
お兄様はいつも余計な事を言う。
それは大人になった今でも変わらないみたいだ。
皇子様の前でそんな事言われると流石の私でも恥ずかしい。
「もう!そんな事、今はどうでも良いでしょ!早く探しに行くよ!」
私は早く話を切り替えたくて言う。
「?部屋には置いていないのか。」
不思議そうな顔をしている皇子様とお兄様。
そんな二人に得意げな顔で私は告げる。
「うん。だって部屋に置いておいたらすぐに見つかっちゃうでしょ?だからね…。」
私がとある場所の名前を言うと、案の定二人は驚いた顔をした。
――
「…本当にこの場所にあるんですか。」
「うん、多分!」
皇子様に場所を言ったら、敷地が広すぎるという事で使用人に頼んで探してもらった。
そう。
この場所で一番大きな木を。
「まさか、ここで一番大きな木を探せと言われるとは思いませんでした。」
「そうですね…。イヴ、何でここに隠したんだ?」
お兄様の問いに私は自信満々に答える。
「すごくわかりやすい目印だから!それに大きいから迫力もあってかっこいい!」
「「…。」」
私がそう言うとなぜか二人は黙り込んだ。
心なしか呆れた顔をしている様に見えなくもない。
「我が家の敷地も後で確認しようと思います。あの様子じゃ他に何か隠していそうです。」
「そうですね。その方が良いかと。」
私には聞こえないくらいの声で二人がひそひそと話している。
仲間外れにされたみたいで気分は良くない。
「もう、せっかく教えてあげたのに。それよりも早く探そ…。」
私が動こうとした瞬間。
誰かの手が私を制したことがわかった。
皇子様だ。
「待ってください。まだ体が痛い筈です、どこを探せばいいのか教えてくれればこちらで探します。」
確かに皇子様の言う通り、まだ体が痛かった。
さっき二人から聞いて分かったのだが、私は怪我をして二週間以上眠り続けていたらしい。
通りで体が痛い訳だと納得したが、なぜ怪我をしたかまでは教えてもらえなかった。
単純に私がドジして怪我をしたのかとも思ったけど、二人の深刻そうな顔を見てるとそうではないらしい。
今はまだ聞ける雰囲気じゃないから私も何も聞かないでいる。
それよりも今は日記探しだ。
だがこんな状態では私も探しに行けない。
場所を知っているのは私だけ。
考えた末、車椅子で行く事になりお兄様が押してくれてここまで来た。
その事をすっかり忘れていた私に皇子様は気づいて止めてくれた。
紳士的で男らしいその姿に思わずときめく。
「あ、じゃあ…、ここの下を掘ってほしい。」
少し赤くなった顔を隠すように逸らし、木の右側の下を指す。
「ここですね。」
皇子様は特に気にした様子もなく、そこを掘ろうと用意していた道具を手にする。
お兄様も手伝おうとして皇子様と一緒にそこを掘ろうとするが。
なぜか二人とも固まっていた。
どうしたのだろうかと私は首を傾げた。
すると皇子様が深刻そうな顔をして私に言う。
「既に誰かが掘った形跡があります。」
それは想像していなかった事だった。
「ですがこれはイヴが埋めた時の跡とも言えませんか?」
「彼女が眠っていた期間に雨が降った日があったでしょう。その時に濡れた土が馴染んで平らになると思いますがこれはそうなっていない。土が柔らかすぎます。」
皇子様は土を触り感触を確かめている。
私もその場所を見てみたが確かに誰かが掘ったように見えなくもない。
「…嫌な予感はしますが、一先ず確認しましょう。」
取り敢えず掘ってみようという事で二人は作業を再開した。
しかし。
皇子様の嫌な予感は当たってしまっていたようだ。
どれだけ掘り進めても、そこからは何も発見されなかった。
「やはり無いですね。まさか我々より先に取っていたとは。」
顎に手をかけて悩んでいる皇子様。
だが、そんな彼とは対象にお兄様は冷静だった。
「殿下、今回の件を一番揉み消したいと思っている人物がいるとすれば…。」
「それは私も考えました。しかし、この場所はイヴェットしか知らない筈でしょう。」
「メイドを潜り込ませていたくらいです。イヴの行動も監視されていたのでは?」
「…。」
お兄様が責めるような目で皇子様へ詰め寄る。
今の口振りだと、二人は既に誰が犯人なのか知っているようだった。
皇子様は認めたくないのか眉間に皺を寄せ何かに耐えている表情だ。
よっぽど情のある人なのだろうか。
「ね、ねえねえ。そもそもその日記って私にとって何か悪い事でも書いてあるの?」
私は彼の苦しげに歪んだ顔を見ていたくなくて話題を変えようと疑問に思っていたことを聞いた。
これだけ協力しておいてなんだが、もし私に不利なことが書いてあるとするのならばこのまま見つからないでほしいとも思ったからだ。
少しドキドキしながら答えを待っていると、二人は首を振って否定を示した。
「いえ、寧ろイヴェットにとっては見つけて欲しい物だと思います。」
「?そうなの?」
「ええ。あなたの尊厳を守る大事な証拠ですから。」
皇子様の言っている事がいまいち理解できなかったが私にとって悪い物ではないらしいので安心する。
しかし、そうなってくると新たな疑問が湧いた。
「見つけて欲しいのに誰もわからない場所に隠したの?後から言うつもりだったとか?」
「…いえ、そんな筈は。彼女は最初からあの日を最後にしようと…。」
語尾がどんどんと小さくなって彼が何と言おうとしていたか最後まで聞こえなかった。
だが、私の疑問で皇子様もおかしいと思ったのか考え込んだ。
「因みにこの隠し場所を知っている人は他にいますか?」
「ううん。誰にも言ってないよ。」
ここは私だけの秘密の場所。
どんなに仲の良い友達でも絶対に喋っていない。
家族であるお兄様にすら言っていなかったくらいだ。
今回は緊急っぽかったから話したけど、そうでなければ誰にも教えない。
「イヴェットの行動を考えると、彼女は誰かが日記を見つけてくれると確信していた風に思えます。そうでなければ、態々隠した日記を証拠として提示しないでしょう。」
「そうですね。しかしそれは一体誰なのでしょうか。」
二人とも頭を悩ませている。
私も一緒に考えたいが、今の私が誰と交流を持っていたのかさっぱりわからない。
手助けできる事は何もなかった。
「取り敢えず彼女が親しくしていたであろう人物に聴取していきましょう。」
手掛かりも何もない。
今できる事と言えばそれくらいだろう。
この場にいる全員がそう思い、皇子様の意見に賛同したのだった。
289
お気に入りに追加
1,077
あなたにおすすめの小説

愛されない花嫁はいなくなりました。
豆狸
恋愛
私には以前の記憶がありません。
侍女のジータと川遊びに行ったとき、はしゃぎ過ぎて船から落ちてしまい、水に流されているうちに岩で頭を打って記憶を失ってしまったのです。
……間抜け過ぎて自分が恥ずかしいです。
大好きなあなたを忘れる方法
山田ランチ
恋愛
あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。
登場人物
・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。
・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。
・イーライ 学園の園芸員。
クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。
・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。
・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。
・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。
・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。
・マイロ 17歳、メリベルの友人。
魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。
魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。
ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。

【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
〈完結〉「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

婚約者の心変わり? 〜愛する人ができて幸せになれると思っていました〜
冬野月子
恋愛
侯爵令嬢ルイーズは、婚約者であるジュノー大公国の太子アレクサンドが最近とある子爵令嬢と親しくしていることに悩んでいた。
そんなある時、ルイーズの乗った馬車が襲われてしまう。
死を覚悟した前に現れたのは婚約者とよく似た男で、彼に拐われたルイーズは……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる