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第一章
もう一人の補佐官の正体
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何の代り映えもない一日。
今日も私は一人寂しく部屋で過ごすことになるだろうと、そう思っていた。
だが、それは嵐の前の静けさだったらしい。
午後のティータイム中。
メイドの一人であるマーサが私宛に手紙が来ていると言った。
件の手紙が机の上に置かれ、中を開いて見る。
「お茶会の招待状だわ。」
マーサは表情を変えないまま、静かにこちらを伺っていた。
彼女のこの無表情にも慣れたものである。
マーサは私の世話をしてくれている担当メイドだ。
因みに、初夜の日にあのスケスケの寝巻を持ってきたのも彼女である。
他のメイドと違い、マーサは私に対して唯一嫌がらせをして来ないので一緒にいて安心だった。
だからと言って好意を持たれているわけでもないのだが…。
他の者よりは大分マシだろう。
「誰からの招待かしら。」
「タシェ子爵のご息女であられるカレン様からです。」
「タシェ子爵…?」
結婚する前も定期的にお茶会の誘いがあって参加したことはあった。
だが、そこでタシェ子爵家とは交流した覚えはない。
コルベール家とも何の繋がりもない筈の家門がなぜ急にと不思議に思う。
(もしかして、皇太子妃である私に気に入られようと?)
貴族の中にはそう言った思惑を以て近づいてくる人も少なくはない。
コルベール家にいた時でさえ、いい大人が私にゴマを擦ってたくらいだから皇族となれば猶更だろう。
しかし、皇宮で何の権力も持たない私が出来ることは何もない。
残念だが、タシェ様のご希望に沿う事は難しい。
「マーサ、悪いけど…。」
断ってくれないかとそう言おうとした矢先。
「今回のお茶会はイヴェット様に正式に挨拶をしたいとの事で計画されたそうです。」
マーサのこの言葉を聞いて、思い止まる。
私が思っていた目的とは違うという事だろうか。
「挨拶?なぜ私に?」
「タシェ様はアルフォール殿下の補佐官を務めているお方なのですが、イヴェット様はまだお会いになられていないかと。」
「殿下の補佐官を…すごい方なのね。」
「はい。女性ながらに大変優秀なお方だと聞きます。」
タシェ様がなぜ私を招待したかの謎が今ここで解けた。
補佐官はエトワール卿だけかとばかり思っていたが、タシェ様もだったとは。
知らなかった自分が恥ずかしい。
「そうだったのね。確かにこれからも城内で会うことになるだろうし私も彼女とお話してみたいわ。」
「では、参加するという事でよろしいですね?」
「ええ、そうするわ。」
「かしこまりました。カレン様もさぞお喜びになるでしょう。」
普段無表情のマーサがその時だけ、にこりとほほ笑んだような気がしたのは気のせいだろうか。
私は1週間後に控えたお茶会の事で頭がいっぱいで、すっかりその違和感を見逃してしまった。
――
そうして迎えたお茶会当日。
会場に着くとある女性が迎え入れてくれた。
エトワール卿と同じ補佐官の制服を身に纏っていたことから、彼女がカレン・タシェ様なのだろうと予想する。
「タシェ様、本日はお招きありがとう。」
「お忙しい中、お越しくださりありがとうございます。ご挨拶が遅れ申し訳ございません。私アルフォール殿下の補佐官を務めております。カレン・タシェと申します。」
挨拶をしてくれる彼女を改めて見る。
タシェ様を一言で表すなら、「かっこいい女性」だ。
艶やかな黒い髪は短く、挨拶で頭を下げた時に顔の横をさらりと流れた。
少し吊り上がった赤い瞳は意志の強さを感じられ、女性にしては高い背丈。
一見すると、男性にも見えてしまいそうな中性的な顔立ちは同じ女性から見ても、なんて美しいのだろうかと見惚れてしまう。
「イヴェット様?」
「あ、不躾に申し訳ございません!」
イメージしていた方と違っていた為、驚いて思わず見つめてしまっていた。
補佐官と言えば私の中ではエトワール卿のイメージが強い。
しかし、タシェ様は彼のように冷たい雰囲気ではなく、寧ろ穏やかな方だった。
どちらかと言うと、アドリアン様と同じ空気を纏っている。
「早速お席までご案内いたします。」
「ええ、お願いします。」
タシェ様は気にいしていないようで、私を席まで案内する。
用意された席の数は二つ。
どうやら今日の参加者は私とタシェ様のみらしい。
お茶会の会場が皇宮内だったので、もしかしてアドリアン様も来るかしらと期待していたが無駄だったみたいだ。
タシェ様には失礼だが、少し残念な気持ちになった。
席へと座ると、テーブルの真ん中に花瓶があり、花が生けられていた。
見事なまでに咲き誇っているオレンジ色の花は輝きを放ち、テーブルを綺麗に彩っている。
私はというと、少し前にこの花を見た気がして記憶を呼び覚ましていた。
この花は確か…。
「殿下が大切にされている花…。」
「あら、ご存じでしたか。今日の為に殿下から特別に頂いたのですよ。」
「そう、なのですか。」
「はい。この時期が一番綺麗に咲きますから。イヴェット様にもお見せしたくて。」
そうやって綺麗に笑うタシェ様。
彼女は別に変なことを言っているわけではない。
だけれど一瞬、胸のつかえるような感覚がしたのはなぜか。
「それでは始めましょうか。」
「…そうですわね。」
気にしないふりをして、私は目の前のお茶会に集中することにしたのだった。
あの花を見てからと言うもの、胸がざわつき、今日のお茶会は果たして楽しめるか不安に思っていたが。
そんな私の心配は杞憂だったようだ。
いつもはピリピリとした態度で接してくるメイド達も今日は大人しく、穏やかだ。
お茶もお菓子も有名な店で買ってきたものらしく、存分に堪能できた。
何よりもタシェ様との会話は面白く、興味を惹かれるものばかり。
特に気に入ったのは他国の特産品の話だ。
国外に出たことない私にとって、知らない世界の様で聞いていてワクワクした。
令嬢同士だと大抵、流行りの化粧品やドレスの話が多いので新鮮だ。
こんなに博識なんて、マーサの言っていた通り、本当に優秀な方なのだと感心する。
彼女の持つ親しみやすさがそうさせているのだろうか。
初対面だというのに親友と話しているような気分になった。
「タシェ様は本当に物知りなのですね。」
「ありがとうございます。ですが、実は私も国外に出たことは無くて…。」
「そうなのですか?私、てっきり…。ではその知識はどこで?」
「人づてに聞いた話なのです。私もイヴェット様のようにいつもその方の話を楽しく聞いているんですよ。」
その人を思い出しているのか。
タシェ様の表情が柔らかくなったのを私は見逃さなかった。
(もしかしてその人というのは、タシェ様の思い人かしら。)
他人の恋バナを聞くこともなかった私はつい、興味本位でタシェ様に聞いてしまった。
「その方とはどなたですか?」
私の質問にタシェ様は言い淀んでいる。
そんなに言いにくい方なのか。
勿体ぶられてしまうと、余計に気になるのが人間の性だろう。
だが私はタシェ様にこの質問をしたことを後悔することになる。
「アルフォール殿下でございます。」
タシェ様は愛しい人の名を口にするかのように言った。
私はまたしても花を見た時のような気持ちになり、楽しかった気分が急降下していく。
正に上げて落とされた気分だ。
「殿下、ですか?」
「はい。」
「…。」
タシェ様はアドリアン様の補佐官なので偶にはそういう話をすることもあるだろう。
皇太子として外国に行くことも多いアドリアン様なら納得ではあるが。
「…殿下とは随分仲が良いのですね。」
それだけではないような気がしてならない。
タシェ様の表情から私は嫌な予感がする。
そんな私の予想は当たってしまう。
「実は殿下と私は幼馴染なんです。私が外国に興味があるからと、たくさんお話してくださるんですよ。」
―アドリアン様の『幼馴染』。
その言葉を聞いて私は思い出す
皇宮内で流れている、アドリアン様のある噂を
―幼馴染と結ばれたかった筈なのに気の毒なお方。
―家柄さえ問題なければ。
―あの人とは違い、幼馴染の方にはお優しいみたい。
―そう、まるであっちが本物の夫婦のよう。
メイド達が度々口にしていた。
どうやらアドリアン様には他に想う人がいらっしゃったが、家格が釣り合わず結ばれなかったらしい。
そして、その女性との関係値は『幼馴染』。
皇宮内はその話題が頻繁に飛び交っている。
私に充て付けるかの如く。
内容がリアルなものもあるので、本当にただの幼馴染ではないのかもしれないと不安になっていた。
私はその幼馴染を見たら、どうなってしまうのだろう。
そう思い、噂を聞きたくなくて部屋に籠るようになってしまっていた。
それがまさか。
噂のご令嬢が今私の目の前にいるタシェ様だなんて。
夢にも思わなかった。
呆然とする私に美しく咲くオレンジ色の花が目につく。
―実はあの花は殿下が大切にされている花なのです。
―特定の方にしか触らせないので、近づかれるのは控えた方が良いかと。
あの日、エトワール卿が私に言ったことが脳内を巡っていた。
今日も私は一人寂しく部屋で過ごすことになるだろうと、そう思っていた。
だが、それは嵐の前の静けさだったらしい。
午後のティータイム中。
メイドの一人であるマーサが私宛に手紙が来ていると言った。
件の手紙が机の上に置かれ、中を開いて見る。
「お茶会の招待状だわ。」
マーサは表情を変えないまま、静かにこちらを伺っていた。
彼女のこの無表情にも慣れたものである。
マーサは私の世話をしてくれている担当メイドだ。
因みに、初夜の日にあのスケスケの寝巻を持ってきたのも彼女である。
他のメイドと違い、マーサは私に対して唯一嫌がらせをして来ないので一緒にいて安心だった。
だからと言って好意を持たれているわけでもないのだが…。
他の者よりは大分マシだろう。
「誰からの招待かしら。」
「タシェ子爵のご息女であられるカレン様からです。」
「タシェ子爵…?」
結婚する前も定期的にお茶会の誘いがあって参加したことはあった。
だが、そこでタシェ子爵家とは交流した覚えはない。
コルベール家とも何の繋がりもない筈の家門がなぜ急にと不思議に思う。
(もしかして、皇太子妃である私に気に入られようと?)
貴族の中にはそう言った思惑を以て近づいてくる人も少なくはない。
コルベール家にいた時でさえ、いい大人が私にゴマを擦ってたくらいだから皇族となれば猶更だろう。
しかし、皇宮で何の権力も持たない私が出来ることは何もない。
残念だが、タシェ様のご希望に沿う事は難しい。
「マーサ、悪いけど…。」
断ってくれないかとそう言おうとした矢先。
「今回のお茶会はイヴェット様に正式に挨拶をしたいとの事で計画されたそうです。」
マーサのこの言葉を聞いて、思い止まる。
私が思っていた目的とは違うという事だろうか。
「挨拶?なぜ私に?」
「タシェ様はアルフォール殿下の補佐官を務めているお方なのですが、イヴェット様はまだお会いになられていないかと。」
「殿下の補佐官を…すごい方なのね。」
「はい。女性ながらに大変優秀なお方だと聞きます。」
タシェ様がなぜ私を招待したかの謎が今ここで解けた。
補佐官はエトワール卿だけかとばかり思っていたが、タシェ様もだったとは。
知らなかった自分が恥ずかしい。
「そうだったのね。確かにこれからも城内で会うことになるだろうし私も彼女とお話してみたいわ。」
「では、参加するという事でよろしいですね?」
「ええ、そうするわ。」
「かしこまりました。カレン様もさぞお喜びになるでしょう。」
普段無表情のマーサがその時だけ、にこりとほほ笑んだような気がしたのは気のせいだろうか。
私は1週間後に控えたお茶会の事で頭がいっぱいで、すっかりその違和感を見逃してしまった。
――
そうして迎えたお茶会当日。
会場に着くとある女性が迎え入れてくれた。
エトワール卿と同じ補佐官の制服を身に纏っていたことから、彼女がカレン・タシェ様なのだろうと予想する。
「タシェ様、本日はお招きありがとう。」
「お忙しい中、お越しくださりありがとうございます。ご挨拶が遅れ申し訳ございません。私アルフォール殿下の補佐官を務めております。カレン・タシェと申します。」
挨拶をしてくれる彼女を改めて見る。
タシェ様を一言で表すなら、「かっこいい女性」だ。
艶やかな黒い髪は短く、挨拶で頭を下げた時に顔の横をさらりと流れた。
少し吊り上がった赤い瞳は意志の強さを感じられ、女性にしては高い背丈。
一見すると、男性にも見えてしまいそうな中性的な顔立ちは同じ女性から見ても、なんて美しいのだろうかと見惚れてしまう。
「イヴェット様?」
「あ、不躾に申し訳ございません!」
イメージしていた方と違っていた為、驚いて思わず見つめてしまっていた。
補佐官と言えば私の中ではエトワール卿のイメージが強い。
しかし、タシェ様は彼のように冷たい雰囲気ではなく、寧ろ穏やかな方だった。
どちらかと言うと、アドリアン様と同じ空気を纏っている。
「早速お席までご案内いたします。」
「ええ、お願いします。」
タシェ様は気にいしていないようで、私を席まで案内する。
用意された席の数は二つ。
どうやら今日の参加者は私とタシェ様のみらしい。
お茶会の会場が皇宮内だったので、もしかしてアドリアン様も来るかしらと期待していたが無駄だったみたいだ。
タシェ様には失礼だが、少し残念な気持ちになった。
席へと座ると、テーブルの真ん中に花瓶があり、花が生けられていた。
見事なまでに咲き誇っているオレンジ色の花は輝きを放ち、テーブルを綺麗に彩っている。
私はというと、少し前にこの花を見た気がして記憶を呼び覚ましていた。
この花は確か…。
「殿下が大切にされている花…。」
「あら、ご存じでしたか。今日の為に殿下から特別に頂いたのですよ。」
「そう、なのですか。」
「はい。この時期が一番綺麗に咲きますから。イヴェット様にもお見せしたくて。」
そうやって綺麗に笑うタシェ様。
彼女は別に変なことを言っているわけではない。
だけれど一瞬、胸のつかえるような感覚がしたのはなぜか。
「それでは始めましょうか。」
「…そうですわね。」
気にしないふりをして、私は目の前のお茶会に集中することにしたのだった。
あの花を見てからと言うもの、胸がざわつき、今日のお茶会は果たして楽しめるか不安に思っていたが。
そんな私の心配は杞憂だったようだ。
いつもはピリピリとした態度で接してくるメイド達も今日は大人しく、穏やかだ。
お茶もお菓子も有名な店で買ってきたものらしく、存分に堪能できた。
何よりもタシェ様との会話は面白く、興味を惹かれるものばかり。
特に気に入ったのは他国の特産品の話だ。
国外に出たことない私にとって、知らない世界の様で聞いていてワクワクした。
令嬢同士だと大抵、流行りの化粧品やドレスの話が多いので新鮮だ。
こんなに博識なんて、マーサの言っていた通り、本当に優秀な方なのだと感心する。
彼女の持つ親しみやすさがそうさせているのだろうか。
初対面だというのに親友と話しているような気分になった。
「タシェ様は本当に物知りなのですね。」
「ありがとうございます。ですが、実は私も国外に出たことは無くて…。」
「そうなのですか?私、てっきり…。ではその知識はどこで?」
「人づてに聞いた話なのです。私もイヴェット様のようにいつもその方の話を楽しく聞いているんですよ。」
その人を思い出しているのか。
タシェ様の表情が柔らかくなったのを私は見逃さなかった。
(もしかしてその人というのは、タシェ様の思い人かしら。)
他人の恋バナを聞くこともなかった私はつい、興味本位でタシェ様に聞いてしまった。
「その方とはどなたですか?」
私の質問にタシェ様は言い淀んでいる。
そんなに言いにくい方なのか。
勿体ぶられてしまうと、余計に気になるのが人間の性だろう。
だが私はタシェ様にこの質問をしたことを後悔することになる。
「アルフォール殿下でございます。」
タシェ様は愛しい人の名を口にするかのように言った。
私はまたしても花を見た時のような気持ちになり、楽しかった気分が急降下していく。
正に上げて落とされた気分だ。
「殿下、ですか?」
「はい。」
「…。」
タシェ様はアドリアン様の補佐官なので偶にはそういう話をすることもあるだろう。
皇太子として外国に行くことも多いアドリアン様なら納得ではあるが。
「…殿下とは随分仲が良いのですね。」
それだけではないような気がしてならない。
タシェ様の表情から私は嫌な予感がする。
そんな私の予想は当たってしまう。
「実は殿下と私は幼馴染なんです。私が外国に興味があるからと、たくさんお話してくださるんですよ。」
―アドリアン様の『幼馴染』。
その言葉を聞いて私は思い出す
皇宮内で流れている、アドリアン様のある噂を
―幼馴染と結ばれたかった筈なのに気の毒なお方。
―家柄さえ問題なければ。
―あの人とは違い、幼馴染の方にはお優しいみたい。
―そう、まるであっちが本物の夫婦のよう。
メイド達が度々口にしていた。
どうやらアドリアン様には他に想う人がいらっしゃったが、家格が釣り合わず結ばれなかったらしい。
そして、その女性との関係値は『幼馴染』。
皇宮内はその話題が頻繁に飛び交っている。
私に充て付けるかの如く。
内容がリアルなものもあるので、本当にただの幼馴染ではないのかもしれないと不安になっていた。
私はその幼馴染を見たら、どうなってしまうのだろう。
そう思い、噂を聞きたくなくて部屋に籠るようになってしまっていた。
それがまさか。
噂のご令嬢が今私の目の前にいるタシェ様だなんて。
夢にも思わなかった。
呆然とする私に美しく咲くオレンジ色の花が目につく。
―実はあの花は殿下が大切にされている花なのです。
―特定の方にしか触らせないので、近づかれるのは控えた方が良いかと。
あの日、エトワール卿が私に言ったことが脳内を巡っていた。
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