盗賊とペット(レヴィン編)

カム

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旅行編 黄葉樹の街

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 遠くに見える壁のような岩肌と、左右に続く深い森。空の高いところを大型の鳥が鋭く鳴きながら通過していく。
 牛よりもはるかに巨大な獣に引っ張られた牛車はゆっくりと舗装されていない道を進む。

 三日前に赤砂の街を出た俺たちは、街道のオアシスに寄り道しながら国境目指して進んでいた。
 御者の座る椅子に手綱を持ったアニキとスグリさんがいて話をしてる。俺は足をぶらぶらさせながら荷台から遠ざかっていく景色を眺めていた。
 片足には相変わらず鉄の輪っかが存在してる。でも鎖はなくなっているから歩くのは自由だ。ここ三日の間にアニキの機嫌は少しだけ良くなったらしい。夜がハードな事に変わりはないけど、アニキってもとからそんな感じだったからこれが通常なのかも。

 スグリさんは地図を片手に何か考え込んでるみたいだった。地図といっても日本で見るような詳細なものじゃなくて、街や村の位置が簡単にイラストで描かれたものだ。旅人が使う比較的安い地図らしい。

「アニキ、どうする?」
「黄葉樹の街と国境の砦、近いのは砦だな。通過するのは面倒だが」
「兵士がいっぱい。アニキ顔が怖いから捕まる。イテッ」

『次はどこに行くんですか?』

 荷台から顔を出すと、スグリさんがアニキに蹴られてた。

「ミサキ、起きたのか。スグリと代われ」
「ミサキ、黄葉樹の街に行こう!」
「お前が決めるな」
『私も黄葉樹の街に行ってみたいです』

 アニキに引っ張られて御者台に移動する。代わりにスグリさんが荷台に引きこもった。アニキの膝の間に座らされて、当然のように手綱も渡される。このでっかい牛もどきを制御できる自信は全然ないんだけど。アニキが俺にも地図を見せてくれた。

「今はこの辺りだ。黄葉樹の街はこの牛車では五日はかかる。途中から森に入るが、村がなければ野宿だな。国境の砦なら少し近いし道も整備されている」
『砦に行くとアニキが捕まるかもしれないから嫌です』
「砦は崖の上にあって、国境は崖下のトンネルを通過するだけだ。偉い兵士は魔物と隣国の兵士を警戒するだけで下を歩く庶民なんて見ちゃいねえ」

 そうなのか。それなら一度行ってみたいかも。でも黄葉樹の街にも行きたい。

『じゃあ両方行きましょう』
「馬鹿かお前は。どれだけ遠回りになると思ってる」
『のんびり世界旅行だから遠回りでもいいです』
「仕方ねえな。とりあえず黄葉樹の街に行ってやる。あそこは酒がうまいらしいからな」
『やった! ありがとうアニキ!』
「礼なら身体で払え」
『いつも払って……あっ、まだ腰が……」

 アニキは地図をしまうと、相変わらず俺の言葉なんて聞かずに服の下に手を入れてくる。手綱を渡された時点でそうくると思ったけど。

「腰が痛いならこっちにしといてやるよ」
『ああぅ……』

 耳を甘噛みされながら両方の乳首を引っ張られる。いつもより力が強い。強めに刺激されると腰が疼く。乳首だって毎日いじられてるし悪魔の契約印のそばにあるからめちゃくちゃ敏感なんだ。

「黄葉樹の街に寄ったら、ここに着ける飾りを買ってやる」
『やあっ……あっ』
「それともこっちの方が嬉しいか?」

 不意打ちで股間を握りこまれた。電流が走ったみたいに身体を快感が駆け巡り、手綱を落とさないようにするので精一杯だった。必死に首を振る。気持ちいいけどとんでもない物を付けられる可能性大だ。

『どっちも、やだ……』
「遠慮するな。魔法の装飾品なら位置を特定できるらしいからな。街でお前が迷子にならないように飾りをつけておかないとな」
『アニキ……の、意地悪……んっ、ああっ!』

 王都に初めて入った時のことを思い出した。あの時もケビンの背中に揺られながらさんざん身体を弄られたんだった。あの時と違って今ではアニキのことが好きだけど、身体がきついのはやっぱり同じだった。
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