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旅行編 お墓参り〜赤砂の街
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『……うう』
時間がどのくらい経ったのか分からない。今が昼なのかどうかも。
力が入らなくて身体が動かせない。これって精神的なものなんだろうか。いつもこれくらい抱かれてる気がするけど、今日のダメージはでかい。
あの時に似てる。アニキと初めて王都のラブホテルに泊まった時。拘束されて襲われて泣いて、それから唐突に捨てられたんだった。あの時のキレてたアニキの態度と今回がすごく似てる。あの時と違うのは、今回は俺の方が逃げ出したって所だ。
すっかり抵抗する気力も無くした俺を、何も言わずに抱きしめてずっと胸の辺りを撫で回してるアニキ。胸が痛むのは物理的な理由と感情的な理由の両方だ。触られすぎたせいなのか乳首がじんじんして別の器官みたいだ。泣いていたのに涙は全部舐めとられて、頬もヒリヒリする。下半身とか含めてあちこち血が出てるかもしれない。
「形が変わったな」
『……え?』
ぼんやりしていたから反応が遅れた。触られすぎた乳首の事かと思ったけど、違うらしい。
「悪魔の印だ。お前の契約印」
アニキに言われて、頭が少しだけクリアになる。あのずっと変わらなかった模様の事だろうか。
「お前が……俺を憎んだ証拠だ」
アニキは自嘲気味にそう言うと、胸のあたりにぺろりと舌を這わせる。例えようのない快感が走った。今までよりも広範囲に。
悪魔の契約印が広がったって事だろうか。アニキの身体みたいに、そのうち全身に広がるんだろうか。アニキを少しだけ憎んだから。
『アニキが……愛してくれないから。俺のこと。やりたいだけで、全然……』
そう言うと再び涙が出てきて、泣きすぎて目が痛くなった。自分で認めるのは辛すぎる。何もかも失ったのに、たった一つの愛情すら手に入れられなかったなんて。
「ミサキ……」
『……いいですよ。ルイーズさんと付き合っても。今回だけアニキを恨んで終わりにします……』
精一杯の強がりでそう言うと、アニキは深々とため息をついた。
「馬鹿め。お前の頭は飾りだな」
『どういう意味ですか』
アニキは俺の疑問には答えずに起き上がると、身体を離して服を身につけた。
「腹が減った。獲物を狩ってくるから寝ていろ」
そう言ってテントから出て行く。
……会話が成立しない。
なんなんだあの男は。本当に腹が立ってきた。
「くう……」
痛む身体に鞭打ってなんとか起き上がり、隙間から入る光で自分の身体を見下ろすと、アニキが言った通り悪魔の契約印が鎖骨からへそのあたりまで広がっていた。なんの感慨もなくそれを眺める。
「いててて……」
テントの中に俺の荷物があるはずだから、少しだけ持ってきていた塗り薬でも塗ろうと身体を動かすと、足首に違和感を感じた。
見ると片足に拘束具が付いてる。鎖の先はテントの柱か。
アニキにプレイ以外で縛られるのはすごく久しぶりだ。俺が逃げないように……。
信用されてないな。契約印が広がるほど憎んでいるんだから当然か。そう思うと乾いた笑いが出た。
時間がどのくらい経ったのか分からない。今が昼なのかどうかも。
力が入らなくて身体が動かせない。これって精神的なものなんだろうか。いつもこれくらい抱かれてる気がするけど、今日のダメージはでかい。
あの時に似てる。アニキと初めて王都のラブホテルに泊まった時。拘束されて襲われて泣いて、それから唐突に捨てられたんだった。あの時のキレてたアニキの態度と今回がすごく似てる。あの時と違うのは、今回は俺の方が逃げ出したって所だ。
すっかり抵抗する気力も無くした俺を、何も言わずに抱きしめてずっと胸の辺りを撫で回してるアニキ。胸が痛むのは物理的な理由と感情的な理由の両方だ。触られすぎたせいなのか乳首がじんじんして別の器官みたいだ。泣いていたのに涙は全部舐めとられて、頬もヒリヒリする。下半身とか含めてあちこち血が出てるかもしれない。
「形が変わったな」
『……え?』
ぼんやりしていたから反応が遅れた。触られすぎた乳首の事かと思ったけど、違うらしい。
「悪魔の印だ。お前の契約印」
アニキに言われて、頭が少しだけクリアになる。あのずっと変わらなかった模様の事だろうか。
「お前が……俺を憎んだ証拠だ」
アニキは自嘲気味にそう言うと、胸のあたりにぺろりと舌を這わせる。例えようのない快感が走った。今までよりも広範囲に。
悪魔の契約印が広がったって事だろうか。アニキの身体みたいに、そのうち全身に広がるんだろうか。アニキを少しだけ憎んだから。
『アニキが……愛してくれないから。俺のこと。やりたいだけで、全然……』
そう言うと再び涙が出てきて、泣きすぎて目が痛くなった。自分で認めるのは辛すぎる。何もかも失ったのに、たった一つの愛情すら手に入れられなかったなんて。
「ミサキ……」
『……いいですよ。ルイーズさんと付き合っても。今回だけアニキを恨んで終わりにします……』
精一杯の強がりでそう言うと、アニキは深々とため息をついた。
「馬鹿め。お前の頭は飾りだな」
『どういう意味ですか』
アニキは俺の疑問には答えずに起き上がると、身体を離して服を身につけた。
「腹が減った。獲物を狩ってくるから寝ていろ」
そう言ってテントから出て行く。
……会話が成立しない。
なんなんだあの男は。本当に腹が立ってきた。
「くう……」
痛む身体に鞭打ってなんとか起き上がり、隙間から入る光で自分の身体を見下ろすと、アニキが言った通り悪魔の契約印が鎖骨からへそのあたりまで広がっていた。なんの感慨もなくそれを眺める。
「いててて……」
テントの中に俺の荷物があるはずだから、少しだけ持ってきていた塗り薬でも塗ろうと身体を動かすと、足首に違和感を感じた。
見ると片足に拘束具が付いてる。鎖の先はテントの柱か。
アニキにプレイ以外で縛られるのはすごく久しぶりだ。俺が逃げないように……。
信用されてないな。契約印が広がるほど憎んでいるんだから当然か。そう思うと乾いた笑いが出た。
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