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旅行編 お墓参り〜赤砂の街
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それからお金になりそうな物を用意するというルイーズさんにくっついて倉庫に向かった。
大きな鍵の束を取り出し倉庫に入ると、小さい箱や大きい箱を取り出して中身を確認する。中はアクセサリーだったり、魔法石の塊だったり、何に使うかよく分からない道具だったりした。よく分からないけど、高そうだな。
『ルイーズさん……すみません。必ず働いて返します』
価値が分からないから借用書とかきちんと書いてもらった方がいいような気がする。
「大丈夫って言ったでしょ。これくらいあれば大丈夫だと思うわ」
『どのくらいのお金になるか教えてください』
そう言うと、ルイーズさんに頭をツンとつつかれた。
「気にしないで。レヴィンに請求するわ」
『でも、何か手伝わせてください。何かする事ないですか?』
「いいの?仕事手伝ってもらえれば助かるけど……」
『頑張ります』
結局ルイーズさんが明日お店に行く間と、寝るまでの間に彼女がやる予定だった仕事を手伝うことにした。お金のことは後でアニキと相談しよう。
ルイーズさんはかなりの働き者だった。宿の経営者だから従業員にテキパキと指示を出している。夜は収入と支出を記録してるし、それ以外にも常連のお客さんの接待だったり、定食屋の料理の味付けやメニューを監督したりしているらしい。
とりあえず遅くまで定食屋の後片付けと掃除を手伝い、少しだけ部屋で仮眠を取ってから、早朝は仕込みの手伝いをすることにした。
ベッドで仮眠を取ろうと思っても眠れない。アニキは今頃どうしてるだろう。牢屋みたいな所に繋がれているかもしれないと思うと、心配で仕方がない。まさか拷問とかされてないよな……。
島で棘のある木に絡め取られて傷ついていたアニキを思い出す。もうアニキには痛い目にあって欲しくない。でも、俺に今すぐ出来ることはアニキを信じて帰りを待つ事だけだった。
翌朝、店について行きたかったけど
「レヴィンは連れて帰って来るから、定食屋と宿の受付の手伝いをしてもらえないかしら」
とルイーズさんに頼まれたので仕事をしながら宿で待つことにする。
昼までの間は宿の受付でお客さんをひたすら部屋に案内し、昼からは定食屋で注文を聞いたり料理を運んだり。忙しくてあっという間に時間が過ぎていった。
お昼を過ぎてだいぶたった頃、落ち着いたから夜まで休憩していいと言われて部屋に戻った。
アニキとルイーズさんはなかなか帰ってこなくて、心配だけが膨らんでいく。休憩時間内に昨日の店に行ってみようと宿を出た。
***
……おかしい。道を間違えたのかな。
けっこう歩き回っているけど、昨日の店に全然たどり着かない。もう一度最初から歩いてみようと、何度目かの路地裏を曲がってみる。
ようやく昨日と同じ店にたどり着いた時には宿を出て二時間近くたっていた。
『え? いない?』
店の人に話しを聞くと、警備兵の一人が
「その男なら店を出ていったぜ」
と教えてくれた。
『本当ですか?』
「ああ。胸のでかい美人のねーちゃんと一緒だった。羨ましいな」
ルイーズさんと一緒に帰れたみたいだ。
嬉しくなって走って宿に帰る。帰りの道は迷子にならずにすんだ。
『アニキー!!』
宿に戻ってアニキを探す。
「あら、ミサキ君。レヴィンなら部屋よ」
『ありがとうございます!』
受付にいたルイーズさんにお礼を言って五階に駆け上がる。
アニキは不死身だけど、昨日はひどいことされなかっただろうか。
部屋の鍵は開いていたので飛び込むと、室内には昨日と同じ服装の、相変わらず機嫌の悪そうなアニキが立っていた。
『アニキ! 帰れたんですね!』
服はどこも破れていないし、血の跡もない。拷問はされてなさそうだ。
『無事で良かったです』
「お前、どこに行っていた」
『え? アニキが遅いから迎えに……』
最後まで言い終わらないうちに、襟首を掴まれて壁に押し付けられる。
「一人で出歩くなと言っただろうが」
『ごめんなさ……』
ズボンの上から股間を掴まれ、ジワリと力を入れられる。
「分かってるだろうな……?」
なにが? と聞き返す勇気が出ない。これはあれだ。間違いない。お仕置き決定って奴だ。まさか、今から?
大きな鍵の束を取り出し倉庫に入ると、小さい箱や大きい箱を取り出して中身を確認する。中はアクセサリーだったり、魔法石の塊だったり、何に使うかよく分からない道具だったりした。よく分からないけど、高そうだな。
『ルイーズさん……すみません。必ず働いて返します』
価値が分からないから借用書とかきちんと書いてもらった方がいいような気がする。
「大丈夫って言ったでしょ。これくらいあれば大丈夫だと思うわ」
『どのくらいのお金になるか教えてください』
そう言うと、ルイーズさんに頭をツンとつつかれた。
「気にしないで。レヴィンに請求するわ」
『でも、何か手伝わせてください。何かする事ないですか?』
「いいの?仕事手伝ってもらえれば助かるけど……」
『頑張ります』
結局ルイーズさんが明日お店に行く間と、寝るまでの間に彼女がやる予定だった仕事を手伝うことにした。お金のことは後でアニキと相談しよう。
ルイーズさんはかなりの働き者だった。宿の経営者だから従業員にテキパキと指示を出している。夜は収入と支出を記録してるし、それ以外にも常連のお客さんの接待だったり、定食屋の料理の味付けやメニューを監督したりしているらしい。
とりあえず遅くまで定食屋の後片付けと掃除を手伝い、少しだけ部屋で仮眠を取ってから、早朝は仕込みの手伝いをすることにした。
ベッドで仮眠を取ろうと思っても眠れない。アニキは今頃どうしてるだろう。牢屋みたいな所に繋がれているかもしれないと思うと、心配で仕方がない。まさか拷問とかされてないよな……。
島で棘のある木に絡め取られて傷ついていたアニキを思い出す。もうアニキには痛い目にあって欲しくない。でも、俺に今すぐ出来ることはアニキを信じて帰りを待つ事だけだった。
翌朝、店について行きたかったけど
「レヴィンは連れて帰って来るから、定食屋と宿の受付の手伝いをしてもらえないかしら」
とルイーズさんに頼まれたので仕事をしながら宿で待つことにする。
昼までの間は宿の受付でお客さんをひたすら部屋に案内し、昼からは定食屋で注文を聞いたり料理を運んだり。忙しくてあっという間に時間が過ぎていった。
お昼を過ぎてだいぶたった頃、落ち着いたから夜まで休憩していいと言われて部屋に戻った。
アニキとルイーズさんはなかなか帰ってこなくて、心配だけが膨らんでいく。休憩時間内に昨日の店に行ってみようと宿を出た。
***
……おかしい。道を間違えたのかな。
けっこう歩き回っているけど、昨日の店に全然たどり着かない。もう一度最初から歩いてみようと、何度目かの路地裏を曲がってみる。
ようやく昨日と同じ店にたどり着いた時には宿を出て二時間近くたっていた。
『え? いない?』
店の人に話しを聞くと、警備兵の一人が
「その男なら店を出ていったぜ」
と教えてくれた。
『本当ですか?』
「ああ。胸のでかい美人のねーちゃんと一緒だった。羨ましいな」
ルイーズさんと一緒に帰れたみたいだ。
嬉しくなって走って宿に帰る。帰りの道は迷子にならずにすんだ。
『アニキー!!』
宿に戻ってアニキを探す。
「あら、ミサキ君。レヴィンなら部屋よ」
『ありがとうございます!』
受付にいたルイーズさんにお礼を言って五階に駆け上がる。
アニキは不死身だけど、昨日はひどいことされなかっただろうか。
部屋の鍵は開いていたので飛び込むと、室内には昨日と同じ服装の、相変わらず機嫌の悪そうなアニキが立っていた。
『アニキ! 帰れたんですね!』
服はどこも破れていないし、血の跡もない。拷問はされてなさそうだ。
『無事で良かったです』
「お前、どこに行っていた」
『え? アニキが遅いから迎えに……』
最後まで言い終わらないうちに、襟首を掴まれて壁に押し付けられる。
「一人で出歩くなと言っただろうが」
『ごめんなさ……』
ズボンの上から股間を掴まれ、ジワリと力を入れられる。
「分かってるだろうな……?」
なにが? と聞き返す勇気が出ない。これはあれだ。間違いない。お仕置き決定って奴だ。まさか、今から?
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