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土曜日、午前11時30分(レヴィン編)
16 嘘ついてごめん
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アニキの迫力に、内心縮み上がりそうになったけど、なんとか平静を装った。
『私はアニキが五年後も生きてる方に賭けます。アニキは黒い獣を追い払って、自由に生きてます』
これでどうだ!
占いじゃないけど、これだけ言いきられたら少しは復讐を止めて生きてみようって思うんじゃないか?
少なくとも俺の姉ちゃんなら、占い師に言われた事なんかめちゃくちゃ信じこむぞ。問題は、俺の姉ちゃんとアニキの共通点が今のところ見当たらないって事だ。
アニキはずっと黙っている。レイカンじゃ弱かったかな……。それとも嘘がバレバレなのか。
『……ごめんなさいやっぱり今のは』
「賭けを対象となる俺本人に持ちかけてどうするんだよ。そういうのは、誰か別の人間とやるもんじゃねーのか?」
う……。
そう言われてみれば、ルールとか何も考えていなかった。
「だが、まあいい。それに乗ってやるよ」
『え?』
俺の髪をアニキがぐしゃぐしゃと撫でる。
「どうせこの騒ぎなら、今日グリモフを殺るのは無理だ。もう少し……長く生きるのも悪くない」
『アニキ……』
「だから、五年後に俺が生きていたら」
アニキはそこで一拍置いた。じっと俺の目を覗き込む。
「お前は俺の人生を変えた代償を死ぬまで俺に払え。分かったな」
え?代償って何だ?
『……お金もってません』
「だったら体で支払わないとな?」
ヒィー!
アニキが悪魔の笑みを浮かべながら、俺のムスコを握りつぶす勢いで掴んでくる!
口をパクパクさせる俺に
「じゃあな、ミサキ。賭けを忘れるなよ」
と囁くと、アニキは俺から離れた。
『あ……アニキ』
急所攻撃で涙目の俺に微笑むと、アニキはまるで獣のようにするりと扉から出ていった。
……俺、早まったかな。
いやいや、どうせもうすぐ日本に帰るんだ。
だからアニキとはこれでお別れなんだ。賭けは嘘になってしまうけど、アニキが少しでも長く生きてくれればいい。
五年もすれば、アニキだってきっと新しい生き方を見つけるだろう。楽天的に考えすぎかな。
「……」
アニキとの別れはいつもあっさりしてる。
俺、アニキとの別れが寂しいのかな?あんなにひどい目に合わされたのに。目に涙が溜まってるのは、さっきの急所攻撃のせいだ。……多分。
「……アニキ、嘘ついてごめん」
俺は空腹と疲労で眠くなるまで、アニキが出ていった扉を見つめていた。
『私はアニキが五年後も生きてる方に賭けます。アニキは黒い獣を追い払って、自由に生きてます』
これでどうだ!
占いじゃないけど、これだけ言いきられたら少しは復讐を止めて生きてみようって思うんじゃないか?
少なくとも俺の姉ちゃんなら、占い師に言われた事なんかめちゃくちゃ信じこむぞ。問題は、俺の姉ちゃんとアニキの共通点が今のところ見当たらないって事だ。
アニキはずっと黙っている。レイカンじゃ弱かったかな……。それとも嘘がバレバレなのか。
『……ごめんなさいやっぱり今のは』
「賭けを対象となる俺本人に持ちかけてどうするんだよ。そういうのは、誰か別の人間とやるもんじゃねーのか?」
う……。
そう言われてみれば、ルールとか何も考えていなかった。
「だが、まあいい。それに乗ってやるよ」
『え?』
俺の髪をアニキがぐしゃぐしゃと撫でる。
「どうせこの騒ぎなら、今日グリモフを殺るのは無理だ。もう少し……長く生きるのも悪くない」
『アニキ……』
「だから、五年後に俺が生きていたら」
アニキはそこで一拍置いた。じっと俺の目を覗き込む。
「お前は俺の人生を変えた代償を死ぬまで俺に払え。分かったな」
え?代償って何だ?
『……お金もってません』
「だったら体で支払わないとな?」
ヒィー!
アニキが悪魔の笑みを浮かべながら、俺のムスコを握りつぶす勢いで掴んでくる!
口をパクパクさせる俺に
「じゃあな、ミサキ。賭けを忘れるなよ」
と囁くと、アニキは俺から離れた。
『あ……アニキ』
急所攻撃で涙目の俺に微笑むと、アニキはまるで獣のようにするりと扉から出ていった。
……俺、早まったかな。
いやいや、どうせもうすぐ日本に帰るんだ。
だからアニキとはこれでお別れなんだ。賭けは嘘になってしまうけど、アニキが少しでも長く生きてくれればいい。
五年もすれば、アニキだってきっと新しい生き方を見つけるだろう。楽天的に考えすぎかな。
「……」
アニキとの別れはいつもあっさりしてる。
俺、アニキとの別れが寂しいのかな?あんなにひどい目に合わされたのに。目に涙が溜まってるのは、さっきの急所攻撃のせいだ。……多分。
「……アニキ、嘘ついてごめん」
俺は空腹と疲労で眠くなるまで、アニキが出ていった扉を見つめていた。
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