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金曜日、午前9時15分(ルーシェン編)

13 ギャラリー増えてませんか

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 ガラスの向こうに黒いお化けの空洞のような眼がいくつもひしめきあってる。
 二度と見たくないほど怖いのに、カーテンを閉めることすらままならない。

「ああっ!あっ、こっち……み、見るな」

 お化けとはいえ、片足を上げたままバックでやられて喘いでいる所なんて見られたくない。
 気のせいかもしれないけど、ギャラリーがさっきより増えてないか?

『ルーシェン……お化け、が、』
「外野を気にするなんて余裕だな」

 ルーシェンの動きが激しくなって、気持ちいい場所にダイレクトに当たると目の前がチカチカした。

「ああーっ……」

 恐怖より気持ち良さが完全に勝った瞬間だった。

***


「酔ったな」

 今更!?

  ルーシェンはキッチンで二回も中出ししやがった。
 その後ヘロヘロになった俺を抱えて(俗に言うお姫様抱っこだ)風呂場に向かい、現在二人で浴槽にたまったままのぬるま湯に浸かっている。もう指一本動かすのもダルい。

『王子は酔ってます。さっきからずっと』
「そうか……」

 今も酔ってるけど、さっきよりはマシだ。話が通じる。

「シュウヘイ……」
『……何ですか?疲れたので酔っ払いの相手はもう出来ません』

 明日からは酔わさないように対策を考えないと……体がもたない。
 それでも風呂に入って血行が良くなったせいか、少しだけ体が動かせるようになった。
 腰とか尻とか腹とか足とか、いろいろ痛いけどマッサージして何とか明日に響かないようにしよう。無理かな。
 ルーシェンが風呂場を出ていったら、いろんな場所を洗おうと思うのに、ルーシェンは一向に出ていく気配がない。

『ルーシェン、酔っているので先に上がって寝ていいですよ』
「体を洗うのは一人だと難しいだろう?」
『一人で大丈夫です』

 変な所で気を使うな。そこは王子なんだから「庶民の体なんて洗えるか」で終了だろ?
 だけどルーシェン王子は再び俺を抱きよせると、散々ほぐされた場所に再び指を突っ込んできた。

『あぅ!る、ルーシェン……やめ……』

 何となくルーシェンが俺を襲ったのは、禁欲生活が長くて見境がなくなったからだと思っていたけど……だったら後始末なんて無しでいいだろ。
 男同士なんだから寝たあとで放置されても別に俺は気にしないのに。むしろ恥ずかしいから止めてくれ。

「シュウヘイ……そんな顔をされると、また抱きたくなるな」
「ふざけんな!この馬鹿王子……っ、うう」
「今のは悪口か?」
『す、すみませんでした……ああっ、そこ、駄目です……!』

 少し冷めたお湯とルーシェンの指が胎内をかき回す。もうそんな体力ないのに……気を失いたい。

「シュウヘイと二人なら、この生活も悪くない」

 こんな毎日が続いたら俺が壊れる!
 ケビン、早く助けに来てくれ……。回らない頭でルーシェンを見上げると、そのまま唇を塞がれた。

「ふうっ……んん……んっ」

 頭がぼうっとして、もう訳がわからなくなってきた。
 ルーシェンのなのか俺のなのか分からない唾液が飲み込めずにこぼれる。
 長い口づけの合間に俺は薄目をあけてルーシェンのまつ毛を眺め、肌に貼りつく黒い髪に視線を移す。
 エロい。

「んんーっ……」

 胎内にあった指が、さんざん刺激された気持ちいい場所を激しく擦り、少しでも逃れようとしたけど無駄だった。
 あっさりルーシェンに押さえつけられ、さらに指が増やされる。

『あっ……もう……無理、です……ルーシェン』

 口づけからようやく自由になってルーシェンに訴えると、王子オーラ全開の微笑で囁かれた。

「入れてください王子様、お願いします、だろ?」
『……無理、で……ひああっ!』

 耳たぶを甘噛みされて、密着していた腰を持ち上げられて、指がかき回している入り口に固いものが触れたと思ったら、浅い場所に少しだけ入れられて擦られた。

『あっ……無理……!あうっ……あうっ』

 必死にルーシェンの首にしがみついて、少しでも刺激から逃れようとするけど腕に力が入らない。
 波のような快感が繰り返し体中に伝わっておかしくなりそうだ。
 もう痛くはなくて、襲ってくる快感にどこまで耐えられるかという持久戦になってる。疲れて気を失いたい気持ちと、もっと激しい快感に身を委ねてイキたい気持ちが混ざりあって、そしてどっちも叶えられない。

「シュウヘイ……」

 ルーシェンも少し呼吸が荒い。
 密着した体から、体の熱と速い鼓動が伝わってくる。それでもルーシェンは、浅い場所だけをゆるゆると擦り、それ以上入れて来なかった。
 イけなくて苦しそうな俺のムスコの先端をルーシェンが指先で弄ぶ。先に快感に負けたのは俺の方だった。

『ルーシェン……もっと、奥……入れてください…』

 ルーシェンの青い目を覗きこんで訴える。

「お願いします、は?」
『お、お願いします……王子、様』
「シュウヘイがどうしても入れて欲しい、と言うのなら仕方ないな」

 ルーシェンはにやりと笑うと、一気に奥まで挿入してきた。

「あ、あーーっ……!」

 お湯が一緒に入ってきて気持ちいい。
 ルーシェンの動きが激しくて、体がガクガクと揺さぶられる。

 俺ってこんなにMだったのか……。
 いや、Mなのは知ってたけど綺麗な女の人限定じゃなかったのか?いくら美形とはいえ、男にこんなことされて、ねだるような言葉を言わされて、気持ちよすぎて涙が出そうなんて終わってる。

『ああっ!もっと……!ルーシェン……気持ちいい、で……す』

 喘ぎ声を上げると気持ちよさに拍車がかかる気がする。
 俺は自分でも恥ずかしくなるくらい声を上げてルーシェンにねだった。

「シュウヘイ……俺は……」

 ルーシェンが何かを囁いたけど、よく聞こえない。
 俺はあっさりとのぼり詰め、今度こそ気を失った。
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