One week

カム

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木曜日、午前6時(リック編)

1 カレーの思い出

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「修平~ご飯よ」

 部屋で漫画を読んでいたら、母親の呼ぶ声がした。
 バタバタと二階から降りていく。台所からはカレーの匂いがした。

「今日のご飯、カレー?」
「そうよ」

 台所では母さんが一人、鍋に入ったカレーをかき混ぜていた。

「もしかして残り物カレー?」
「美味しいわよ~」

 母さんはあまり料理が上手くない。
カレーに前日の味噌汁の具が入っていたりする。でもなんとなく懐かしくて、大人しく椅子に座った。

「みんなは?」
「父さんは残業で、お兄ちゃんはバイト、朋子は部活で遅くなるんですって。今日は修平と母さんの二人」
「ふーん」

 母さんはカレーを注ぎながら俺を見て呆れたように言った。

「修平、あなたまた裸じゃないの。服を着ないと風邪引くわよ」

 びっくりして自分を見ると、確かに服を着ていなかった。
 あれ?いつ脱いだんだ?
 恥ずかしくなって、母さんに手渡された服を受けとると椅子の上でモソモソと着た。

「あなたはいつも無茶ばかりするのだから……。焦るのはわかるけど、皆にも迷惑をかけてしまうし、自分だってひどい目に合うでしょう?あまり心配させないで」
「……」

 母さんに心配をかけているのは分かったけど、何の話か分からず、俺は皿に注がれたカレーをスプーンでつついた。


 そして不意に気づいた。

 これは夢だ。俺はもう小学生じゃない。

 母さんは亡くなって、父さんは再婚した。兄ちゃんと姉ちゃんは結婚して出ていった。

「心配かけてごめん」

 夢だと気づくと、俺はすぐに目を覚ましてしまう。


 木曜日、午前6時


 俺は目が覚める前に、大急ぎで懐かしいカレーを口に運んだ。
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