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火曜日、午前7時(ラウル編)
9 汚れなければ見えてこない物もある……らしい
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「やけに遅かったな」
小高い丘の上に戻ると、オッサンが昼食の準備をして待っていた。
「どうした兄ちゃん」
ケビンに乗ってぐったりしている俺に目を止める。俺は一応下着だけ身に着けていた。
多少湿っているが全裸で移動するよりましだろう。
「シュウヘイおなかいたいでトイレいってた」
「なるほどな。兄ちゃん、沼に落ちて冷えたんだろうな~潔癖症の兄ちゃんの事だから、洗いすぎたんだろう?」
とオッサンが納得したように頷く。
「大丈夫か?昼食は食えそうか?」
『大丈夫です……』
腰は痛いが、トイレに行ってお腹はすっきりだ。かなり腹が減っていた。
「それは良かった。では昼食にするか!」
昼食は肉と野菜と果物の挟まれたサンドイッチで、オッサンの手作りっぽかった。
ケビンとメアリーは別の餌を食べている。朝早かったのに、いつの間に準備したんだろう。オッサン仕事もできるのに料理もうまいなんてすごいな。
「兄ちゃん、潔癖症もいいが、男はたまには泥にまみれることも大切だぞ。時には汚れなければ見えてこない物もある」
「シュウヘイいっぱいよごれた。ラウルがあらった」
「泥にまみれても、誇りを失わなければ、かっこいい大人になれるってもんだ」
なんだかオッサンの言葉が身にしみるな……。
俺、異世界に来てからもとの世界では見てなかった物ばかり見てる気がする。
ラウルに思いっきり処女を奪われた俺だが(まだ童貞なのに)かっこいい大人になれるんだろうか。
「シュウヘイ、おなかいたいなおった?」
『大丈夫です』
ラウルが顔をよせてきて、思わず目をそらしてしまった。何だこのドキドキは……。俺は後ろの処女以外にも何かを失ったんじゃないだろうか。誇りを持て、きっとまだ大丈夫だ!
昼食を食べ終え、俺達は再びラウルの村に向けて移動を始めた。
昼食の間に乾いた異世界ズボンと木こりベストを着て、槍を持ち、動物に乗って移動していると、気分はすっかり戦国武将だ。ただ、槍には俺のシャツとTシャツが干してあるし、移動しているのは馬じゃなくて毛長ラクダだけどな。
ここからラウルの村まではそれほど距離がないみたいだ。
正直ケツが痛いから移動距離が少ないのは助かる。でも、もうすぐラウルとお別れかと思うと少し、いや……かなり寂しかった。
「しゅうへ……」
ラウルは満腹になったせいか、俺の背中でうとうとしている。
何度かずり落ちそうになったので、腕を引っ張って起こす。
「掴まってないと落ちるぞ」
「ねむい」
「あと少しだから」
「シュウヘイ、ここさわっていい?」
「殴るぞ」
「シュウヘイのことばラウルむつかしい。ひまだからさわってあそぶ」
『駄目です』
触られるよりましか、と俺はラウルの両手を掴んで両脇に固定した。槍に手綱にラウルの腕、俺はいっぱいいっぱいだ。ケビンが賢くて本当に助かった。
「シュウヘイ……」
「寝てろ」
ラウルは俺の肩に頭を乗せた。完全に寝る気だな。
「シュウヘイと、はじめてのなかよしできた……ラウルしあわせ……」
ラウルの寝ごとのような呟きが聞こえてきた。誰も見ていなくて良かった。多分俺、真っ赤になってる。
ちらりと肩を見ると、ラウルのふわふわの茶色い髪が風に揺れている。
あどけない顔で眠っているラウルに感じる気持ちは、一体何なんだろう?俺にはよく分からない。
『おやすみ』
相変わらずケツは痛いが、もう少し距離が遠くてもいいと思った。
小高い丘の上に戻ると、オッサンが昼食の準備をして待っていた。
「どうした兄ちゃん」
ケビンに乗ってぐったりしている俺に目を止める。俺は一応下着だけ身に着けていた。
多少湿っているが全裸で移動するよりましだろう。
「シュウヘイおなかいたいでトイレいってた」
「なるほどな。兄ちゃん、沼に落ちて冷えたんだろうな~潔癖症の兄ちゃんの事だから、洗いすぎたんだろう?」
とオッサンが納得したように頷く。
「大丈夫か?昼食は食えそうか?」
『大丈夫です……』
腰は痛いが、トイレに行ってお腹はすっきりだ。かなり腹が減っていた。
「それは良かった。では昼食にするか!」
昼食は肉と野菜と果物の挟まれたサンドイッチで、オッサンの手作りっぽかった。
ケビンとメアリーは別の餌を食べている。朝早かったのに、いつの間に準備したんだろう。オッサン仕事もできるのに料理もうまいなんてすごいな。
「兄ちゃん、潔癖症もいいが、男はたまには泥にまみれることも大切だぞ。時には汚れなければ見えてこない物もある」
「シュウヘイいっぱいよごれた。ラウルがあらった」
「泥にまみれても、誇りを失わなければ、かっこいい大人になれるってもんだ」
なんだかオッサンの言葉が身にしみるな……。
俺、異世界に来てからもとの世界では見てなかった物ばかり見てる気がする。
ラウルに思いっきり処女を奪われた俺だが(まだ童貞なのに)かっこいい大人になれるんだろうか。
「シュウヘイ、おなかいたいなおった?」
『大丈夫です』
ラウルが顔をよせてきて、思わず目をそらしてしまった。何だこのドキドキは……。俺は後ろの処女以外にも何かを失ったんじゃないだろうか。誇りを持て、きっとまだ大丈夫だ!
昼食を食べ終え、俺達は再びラウルの村に向けて移動を始めた。
昼食の間に乾いた異世界ズボンと木こりベストを着て、槍を持ち、動物に乗って移動していると、気分はすっかり戦国武将だ。ただ、槍には俺のシャツとTシャツが干してあるし、移動しているのは馬じゃなくて毛長ラクダだけどな。
ここからラウルの村まではそれほど距離がないみたいだ。
正直ケツが痛いから移動距離が少ないのは助かる。でも、もうすぐラウルとお別れかと思うと少し、いや……かなり寂しかった。
「しゅうへ……」
ラウルは満腹になったせいか、俺の背中でうとうとしている。
何度かずり落ちそうになったので、腕を引っ張って起こす。
「掴まってないと落ちるぞ」
「ねむい」
「あと少しだから」
「シュウヘイ、ここさわっていい?」
「殴るぞ」
「シュウヘイのことばラウルむつかしい。ひまだからさわってあそぶ」
『駄目です』
触られるよりましか、と俺はラウルの両手を掴んで両脇に固定した。槍に手綱にラウルの腕、俺はいっぱいいっぱいだ。ケビンが賢くて本当に助かった。
「シュウヘイ……」
「寝てろ」
ラウルは俺の肩に頭を乗せた。完全に寝る気だな。
「シュウヘイと、はじめてのなかよしできた……ラウルしあわせ……」
ラウルの寝ごとのような呟きが聞こえてきた。誰も見ていなくて良かった。多分俺、真っ赤になってる。
ちらりと肩を見ると、ラウルのふわふわの茶色い髪が風に揺れている。
あどけない顔で眠っているラウルに感じる気持ちは、一体何なんだろう?俺にはよく分からない。
『おやすみ』
相変わらずケツは痛いが、もう少し距離が遠くてもいいと思った。
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