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カム

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火曜日、午前7時(ラウル編)

5 水難の相が出てるな、きっと

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「ラウルとシュウヘイ~なかよし~」

 ラウルの妙な歌?が聞こえる。お前もしかして俺より音痴じゃないか?

 ぐしゃぐしゃ

 ラウルの指が俺の髪をかきまわす。

「あらうのたのしいな~」

 たまに髪を引っ張られて痛い時もあるけど、自分以外の手で髪を洗ってもらうのはけっこう気持ち良かった。なんていうか……マッサージみたいで頭がぼうっとする。
 ラウルは服を洗っている時よりはずっと丁寧に俺の髪をかきまわしていた。

 突然その手が止まる。

「シュウヘイ……つのない」

 ん?歌じゃなくて質問か?もしかして、今まで髪に隠れてると思ってたんだろうか。

『ないです』

 ラウルを見上げると、神妙な表情で俺を見ていた。角がないのはラウルから見ると変な事なんだろうな。

「シュウヘイ……ちゃいろいとりのなんこつたべると、つのはやくはえる」

 それは、俺が19年間生きてきた中で一番役に立たないアドバイスのような気がする。でも……。

『ありがとう』

 俺が言うと、ラウルはにっこり笑い、そしていきなり俺をぎゅうっと抱きしめてきた。

『ら、ラウル!?』
「ラウル、つのなくてもシュウヘイすき」

 うわ……。なんて恥ずかしい事言うんだ、こいつは。

「よ、汚れも落ちたし……、そろそろオッサン達の所にもどろ……うあっ」


 そう言ってラウルを引き剥がそうと思ったら、乳首をきゅっとつままれた。

「あっ、ラウル、よせっ……」
「よごれついてる」

 嘘つけ!わざとだろ!
 ラウルは片手で俺の乳首をプ二プ二と潰しながら、俺の首筋に舌を這わせ始めた。

「な……にすんだ。ラウル」
「シュウヘイ、あらっていいにおいにもどった」
『だ、駄目です……』

 ペロペロ

 ラウルは俺の制止も聞かず首筋から頭を下げていき、つまんでいた方とは逆の乳首を口に含んだ。

「あっ……んうっ……」

 背筋がびりびりとしびれて力が抜けていきそうだ。変な声ばかり出る。だが、舌から逃れようと俺が思いきりのけぞったせいでラウルは体勢を崩し、二人して水の中に思いきり倒れ込んだ。

「げほっ……!げほ」

 水位の浅い小川でも、寝転がるとさすがに水が口に侵入してくる。
 今日の俺には水難の相が出てるんじゃないだろうか。背中を鈍く打ちつけたけど、それほど痛みはなかった。ラウルは倒れても俺にしがみついている。すごい根性だ。

『ラウル大丈夫?』
「だいじょうぶ……いたくない」
『そうか。良かった』

 ラウルは俺の首に腕を回し、俺の口のまわりをぺろりと舐めた。冷たい水の中でも、ラウルの体温は高い。ざらざらした舌も、回してくる腕も、俺の上にのしかかっている体も。

『……ラウル』
「シュウヘイ、くちあけて」

 首を振って拒絶する。
 そう何度も男にキスされてたまるか。
……それがたとえどんなに気持ち良くても。気持ちいいとか思う時点で、俺って終わってんのか?
 拒絶していると、ラウルの腕が脇腹を撫でてきた。

「……くっ」

 変な笑いが出そうだ。
 さらに俺のズボンの紐をさがしているラウル。まずい。
唯一、下着は異世界ズボンのおかげでそれほど濡れてないのに。ここでズボン下ろされたら完全にびしょぬれだろ。

「やめ……むぐっ」

 一瞬のすきをついて、ラウルの舌が口の中に侵入してきた。舌が別の生き物みたいだ。翻弄される。

「んっ……ふうっ」

 何で俺だけ鼻息あらくしてんだ!?いや、ラウルもか。目を閉じる前に見たラウルの表情も、いつもより余裕が無い気がする。ラウルが俺の口の中をなめとるように舌を動かし、俺の口の端からあふれた唾液がこぼれて落ちた。

 ふいに腰回りがひんやりと冷たくなった。ズボンの紐が解かれ、水が侵入してきたらしい。ああ……俺の乾いた下着という最後の砦が……。
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