赤い髪の騎士と黒い魔法使い

カム

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専属の騎士

1 王族のパーティー

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 学年で首席をとれば必ず王族のパーティーに招待される、という制度をアルフレッドは入学するまで知らなかった。
 知っていたとしても、まさか自分が首席になるとは思っていなかった。あれほど手を抜いた試験で自分が一番になるとは。少なくともAクラスに入る事ができればいいと思っていたのに誤算だった。

「どうした? 気分が乗らないのか?」

 着替えの途中で話しかけてきたのは、学年2位のワルターだ。彼は地方から剣一本を持って都へやって来た男で、地位も後ろ盾もないがとても強い。15歳にも関わらず実戦経験豊富な才能あふれる男だった。今回パーティーに招待されているのは新入生ではアルフレッドとワルターのみだ。

「お前こそ王族のパーティーに興味があるように見えないが」

「権力争いに利用されるのはごめんだが、騎士の剣技などどこで振るおうと結局同じだと考え直した。生活するには金がかかるから、コネを作っておくのも悪くない。お前は名門の家の跡取り息子なんだろ? こういうパーティーからはどうせ逃げられないんじゃないのか?」

「物心ついた頃から騎士になれと言われてはいたが、政治や権力については教えてもらえなかったな。できれば関わりたくない」

「それは不運だったな」

 アルフレッドの父親は王宮の騎士隊長をしているが、仕事内容に関して家族に話すことはほとんどない。昔から家にはあまりいなかったので、そんな機会もなかった。

 制服によく似た銀の衣装の上に長いマントを身につけ、手袋をして、パーティー用に支給されたきらびやかな剣を装備する。
 ワルターは初めて身につけた高価な衣装に慣れなかったが、アルフレッドはさまになっていた。さすが名門のお坊ちゃんは違う、とワルターは内心思ったが、アルフレッドが出世にも権力にも興味がない事を知っていたので黙っておいた。

 王族のパーティーは日が沈んでから開催されるらしく、学園に迎えの馬車が来たのは夕方だった。
 2年と3年の成績上位者も馬車に乗り込み、馬車の行列が学園を出発する。
 広い学園の外周をぐるりと回って都の整備された石畳の道へ出るまでの間、アルフレッドは馬車の窓から魔法使いの住む棟を眺めていた。
 シンはどの部屋に住んでいるのだろうか。同い年の弟をいつまでも子供扱いしている自覚はあったが、やっぱりいつも心配だった。会わないと落ち着かない。
 だが、ここ数日忙しすぎてカフェには顔を出せていないし、ユーリやレオンハルトのせいでまともに会話も出来ていなかった。


 馬車は日が沈んだ頃、王宮の正面の門の前にたどり着いた。魔法の外灯に照らされて浮かび上がる豪華な正門と高い壁。
 門を守る護衛兵は学園の卒業生らしく、馬車から降りるアルフレッド達に物言いたげな視線を向けてきた。

 教師や先輩に続いて正門を抜け、長い通路を歩く。入ってすぐに深い堀があり、橋を渡った後、門を二つ抜けてようやく王宮の建物内へ入る事が出来た。
 迎えに出てきた騎士の男にアルフレッドは見覚えがあった。家庭教師をしてくれていたジェイクだ。昔は父親の部下としての認識しかしていなかったが、王宮でもそこそこの地位についているらしい。彼はアルフレッドを見るとニヤッと笑った。
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