50 / 92
専属の騎士
1 王族のパーティー
しおりを挟む
学年で首席をとれば必ず王族のパーティーに招待される、という制度をアルフレッドは入学するまで知らなかった。
知っていたとしても、まさか自分が首席になるとは思っていなかった。あれほど手を抜いた試験で自分が一番になるとは。少なくともAクラスに入る事ができればいいと思っていたのに誤算だった。
「どうした? 気分が乗らないのか?」
着替えの途中で話しかけてきたのは、学年2位のワルターだ。彼は地方から剣一本を持って都へやって来た男で、地位も後ろ盾もないがとても強い。15歳にも関わらず実戦経験豊富な才能あふれる男だった。今回パーティーに招待されているのは新入生ではアルフレッドとワルターのみだ。
「お前こそ王族のパーティーに興味があるように見えないが」
「権力争いに利用されるのはごめんだが、騎士の剣技などどこで振るおうと結局同じだと考え直した。生活するには金がかかるから、コネを作っておくのも悪くない。お前は名門の家の跡取り息子なんだろ? こういうパーティーからはどうせ逃げられないんじゃないのか?」
「物心ついた頃から騎士になれと言われてはいたが、政治や権力については教えてもらえなかったな。できれば関わりたくない」
「それは不運だったな」
アルフレッドの父親は王宮の騎士隊長をしているが、仕事内容に関して家族に話すことはほとんどない。昔から家にはあまりいなかったので、そんな機会もなかった。
制服によく似た銀の衣装の上に長いマントを身につけ、手袋をして、パーティー用に支給されたきらびやかな剣を装備する。
ワルターは初めて身につけた高価な衣装に慣れなかったが、アルフレッドはさまになっていた。さすが名門のお坊ちゃんは違う、とワルターは内心思ったが、アルフレッドが出世にも権力にも興味がない事を知っていたので黙っておいた。
王族のパーティーは日が沈んでから開催されるらしく、学園に迎えの馬車が来たのは夕方だった。
2年と3年の成績上位者も馬車に乗り込み、馬車の行列が学園を出発する。
広い学園の外周をぐるりと回って都の整備された石畳の道へ出るまでの間、アルフレッドは馬車の窓から魔法使いの住む棟を眺めていた。
シンはどの部屋に住んでいるのだろうか。同い年の弟をいつまでも子供扱いしている自覚はあったが、やっぱりいつも心配だった。会わないと落ち着かない。
だが、ここ数日忙しすぎてカフェには顔を出せていないし、ユーリやレオンハルトのせいでまともに会話も出来ていなかった。
馬車は日が沈んだ頃、王宮の正面の門の前にたどり着いた。魔法の外灯に照らされて浮かび上がる豪華な正門と高い壁。
門を守る護衛兵は学園の卒業生らしく、馬車から降りるアルフレッド達に物言いたげな視線を向けてきた。
教師や先輩に続いて正門を抜け、長い通路を歩く。入ってすぐに深い堀があり、橋を渡った後、門を二つ抜けてようやく王宮の建物内へ入る事が出来た。
迎えに出てきた騎士の男にアルフレッドは見覚えがあった。家庭教師をしてくれていたジェイクだ。昔は父親の部下としての認識しかしていなかったが、王宮でもそこそこの地位についているらしい。彼はアルフレッドを見るとニヤッと笑った。
知っていたとしても、まさか自分が首席になるとは思っていなかった。あれほど手を抜いた試験で自分が一番になるとは。少なくともAクラスに入る事ができればいいと思っていたのに誤算だった。
「どうした? 気分が乗らないのか?」
着替えの途中で話しかけてきたのは、学年2位のワルターだ。彼は地方から剣一本を持って都へやって来た男で、地位も後ろ盾もないがとても強い。15歳にも関わらず実戦経験豊富な才能あふれる男だった。今回パーティーに招待されているのは新入生ではアルフレッドとワルターのみだ。
「お前こそ王族のパーティーに興味があるように見えないが」
「権力争いに利用されるのはごめんだが、騎士の剣技などどこで振るおうと結局同じだと考え直した。生活するには金がかかるから、コネを作っておくのも悪くない。お前は名門の家の跡取り息子なんだろ? こういうパーティーからはどうせ逃げられないんじゃないのか?」
「物心ついた頃から騎士になれと言われてはいたが、政治や権力については教えてもらえなかったな。できれば関わりたくない」
「それは不運だったな」
アルフレッドの父親は王宮の騎士隊長をしているが、仕事内容に関して家族に話すことはほとんどない。昔から家にはあまりいなかったので、そんな機会もなかった。
制服によく似た銀の衣装の上に長いマントを身につけ、手袋をして、パーティー用に支給されたきらびやかな剣を装備する。
ワルターは初めて身につけた高価な衣装に慣れなかったが、アルフレッドはさまになっていた。さすが名門のお坊ちゃんは違う、とワルターは内心思ったが、アルフレッドが出世にも権力にも興味がない事を知っていたので黙っておいた。
王族のパーティーは日が沈んでから開催されるらしく、学園に迎えの馬車が来たのは夕方だった。
2年と3年の成績上位者も馬車に乗り込み、馬車の行列が学園を出発する。
広い学園の外周をぐるりと回って都の整備された石畳の道へ出るまでの間、アルフレッドは馬車の窓から魔法使いの住む棟を眺めていた。
シンはどの部屋に住んでいるのだろうか。同い年の弟をいつまでも子供扱いしている自覚はあったが、やっぱりいつも心配だった。会わないと落ち着かない。
だが、ここ数日忙しすぎてカフェには顔を出せていないし、ユーリやレオンハルトのせいでまともに会話も出来ていなかった。
馬車は日が沈んだ頃、王宮の正面の門の前にたどり着いた。魔法の外灯に照らされて浮かび上がる豪華な正門と高い壁。
門を守る護衛兵は学園の卒業生らしく、馬車から降りるアルフレッド達に物言いたげな視線を向けてきた。
教師や先輩に続いて正門を抜け、長い通路を歩く。入ってすぐに深い堀があり、橋を渡った後、門を二つ抜けてようやく王宮の建物内へ入る事が出来た。
迎えに出てきた騎士の男にアルフレッドは見覚えがあった。家庭教師をしてくれていたジェイクだ。昔は父親の部下としての認識しかしていなかったが、王宮でもそこそこの地位についているらしい。彼はアルフレッドを見るとニヤッと笑った。
1
あなたにおすすめの小説
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる