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入学試験
3 試験①
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試験は筆記と実技が行われる事になっていた。
最初は筆記試験だ。魔法使いの試験と違い、騎士の試験はかなりレベルが低いと言われている。
レオンは
「俺は親父に名前さえ書いとけば合格だって言われたぜ」
などと言っていたが、そうもいかないだろう。
しかし、決められた席についてテスト用紙を見たアルフレッドは愕然とした。レオンの言ったこともあながち嘘ではなかったようだ。
前半は簡単な算数の問題が続き
(例…騎士50人と魔法使い30人がいます。
1チーム5人で編成するとしたら何チーム出来ますか?)
後半はこの国の歴史や国王の名前の三択問題(そんな不謹慎な問題作っていいのか?)がいくつか並び、最後に
『あなたが騎士を目指す理由は何ですか?』
という質問で終わっていた。
騎士を目指す理由……。
アルフレッドはそのかなり広い空白に
『大切な人を守るため』
と書いた。
筆記試験が終わると、今度は配られたユニフォームに着替えての基礎体力測定だ。その後、チームに分かれて模擬試合のような物があるらしい。
「何かこのユニフォームくせえ……」
レオンがブツブツ言いながら隣りで着替えている。確かにユニフォームは毎年同じものを使い回しているらしくかなり年季が入っている。レオンのような金持ちには古着を着るなど考えられないらしい。
アルフレッドも金持ちの部類に入るが、彼は服には全然興味がなかった。入れば何でもいいと思っている。
だが一部屋に50人近くの男が集まって一斉に着替えているとむさくるしくてしょうがない。騎士を目指す体格のいい男ばかりだし、まだ動いてもないのに何故か汗かいてたりする。
「なあ、アル、お前試験出来たか?」
「ああ。多分」
「げー、俺全然だった。難しすぎだよなー。魔法使いが何人とか、知るわけねえっつーの」
そうか……あれでも難しいのか。実戦でこいつとチームを組む事になったら、違う所で苦労しそうだ、とアルフレッドは思った。
王族の別荘の広大な敷地内には、石造りの闘技場に運動場がいくつも併設されている。千人の騎士候補生たちがいても全く狭さを感じさせなかった。
最初は基礎体力測定が行われるが、千人近い騎士候補生たちは少数のグループに分けられ、各運動場に移動して行く。
候補生たちを指導し監督するのは、実際に騎士の称号を持つ者たちだ。彼らが着ている独特のデザインの服をみんな羨望の眼差しで眺めていた。
体力測定は思ったよりあっさりと終了した。もっと色々試されると思っていたアルフレッドは拍子抜けした。千人もいたら一人ひとりにそれほど時間をかけられないのだろう。
自分の番が終了したアルフレッドは、同じチームの候補生たちが試験を受けるのを眺めていた。さすが候補生だけあって、みんな体力には自信があるみたいだ。力自慢な奴や足の速い奴などさまざまだ。
だけど同じチームの中で最もすごいと感じたのは、やっぱりレオンハルトだった。優秀な騎士の遺伝子を引き継いだのか、レオンの能力は群を抜いていた。
あれで頭が良ければ親としては言う事ないだろう。いや、騎士なんて所詮王族の言う通りに動く駒なのだから、レオンハルトのようタイプが最もふさわしいのかもしれない。
体力測定が終わったら、今度は実戦に近い練習試合があった。
支給された武器を手にし、簡単な防具をつけて行われるらしい。これもチーム戦だ。支給された武器はどれもおもちゃのような代物で、これならそこまで怪我人も出ないと踏んでの事だろう。もっともこんな所で怪我をするような男は、試験に落ちるに決まってるが。
アルフレッドが戦った相手は5人。それなりに強い相手もいたが、ジェイクや父親を相手にしていた彼には全然物足りない相手ばかりだった。
「お前って昔から手加減なしだよな~」
同じくあっさりと試合に勝ったレオンに嫌味を言われる。
「お前も手加減しないだろ」
「俺はしないんじゃなくて、できないの」
「なるほど」
「お前は出来そうなのにな」
アルフレッドは負けて泣いている騎士候補生に目を向けた。
「泣けるうちに負けとく方が幸せだろ」
「うわ~嫌味なやつ……」
レオンの文句を聞きながしながら、アルフレッドは自分よりもっと強い人間を探していた。
最初は筆記試験だ。魔法使いの試験と違い、騎士の試験はかなりレベルが低いと言われている。
レオンは
「俺は親父に名前さえ書いとけば合格だって言われたぜ」
などと言っていたが、そうもいかないだろう。
しかし、決められた席についてテスト用紙を見たアルフレッドは愕然とした。レオンの言ったこともあながち嘘ではなかったようだ。
前半は簡単な算数の問題が続き
(例…騎士50人と魔法使い30人がいます。
1チーム5人で編成するとしたら何チーム出来ますか?)
後半はこの国の歴史や国王の名前の三択問題(そんな不謹慎な問題作っていいのか?)がいくつか並び、最後に
『あなたが騎士を目指す理由は何ですか?』
という質問で終わっていた。
騎士を目指す理由……。
アルフレッドはそのかなり広い空白に
『大切な人を守るため』
と書いた。
筆記試験が終わると、今度は配られたユニフォームに着替えての基礎体力測定だ。その後、チームに分かれて模擬試合のような物があるらしい。
「何かこのユニフォームくせえ……」
レオンがブツブツ言いながら隣りで着替えている。確かにユニフォームは毎年同じものを使い回しているらしくかなり年季が入っている。レオンのような金持ちには古着を着るなど考えられないらしい。
アルフレッドも金持ちの部類に入るが、彼は服には全然興味がなかった。入れば何でもいいと思っている。
だが一部屋に50人近くの男が集まって一斉に着替えているとむさくるしくてしょうがない。騎士を目指す体格のいい男ばかりだし、まだ動いてもないのに何故か汗かいてたりする。
「なあ、アル、お前試験出来たか?」
「ああ。多分」
「げー、俺全然だった。難しすぎだよなー。魔法使いが何人とか、知るわけねえっつーの」
そうか……あれでも難しいのか。実戦でこいつとチームを組む事になったら、違う所で苦労しそうだ、とアルフレッドは思った。
王族の別荘の広大な敷地内には、石造りの闘技場に運動場がいくつも併設されている。千人の騎士候補生たちがいても全く狭さを感じさせなかった。
最初は基礎体力測定が行われるが、千人近い騎士候補生たちは少数のグループに分けられ、各運動場に移動して行く。
候補生たちを指導し監督するのは、実際に騎士の称号を持つ者たちだ。彼らが着ている独特のデザインの服をみんな羨望の眼差しで眺めていた。
体力測定は思ったよりあっさりと終了した。もっと色々試されると思っていたアルフレッドは拍子抜けした。千人もいたら一人ひとりにそれほど時間をかけられないのだろう。
自分の番が終了したアルフレッドは、同じチームの候補生たちが試験を受けるのを眺めていた。さすが候補生だけあって、みんな体力には自信があるみたいだ。力自慢な奴や足の速い奴などさまざまだ。
だけど同じチームの中で最もすごいと感じたのは、やっぱりレオンハルトだった。優秀な騎士の遺伝子を引き継いだのか、レオンの能力は群を抜いていた。
あれで頭が良ければ親としては言う事ないだろう。いや、騎士なんて所詮王族の言う通りに動く駒なのだから、レオンハルトのようタイプが最もふさわしいのかもしれない。
体力測定が終わったら、今度は実戦に近い練習試合があった。
支給された武器を手にし、簡単な防具をつけて行われるらしい。これもチーム戦だ。支給された武器はどれもおもちゃのような代物で、これならそこまで怪我人も出ないと踏んでの事だろう。もっともこんな所で怪我をするような男は、試験に落ちるに決まってるが。
アルフレッドが戦った相手は5人。それなりに強い相手もいたが、ジェイクや父親を相手にしていた彼には全然物足りない相手ばかりだった。
「お前って昔から手加減なしだよな~」
同じくあっさりと試合に勝ったレオンに嫌味を言われる。
「お前も手加減しないだろ」
「俺はしないんじゃなくて、できないの」
「なるほど」
「お前は出来そうなのにな」
アルフレッドは負けて泣いている騎士候補生に目を向けた。
「泣けるうちに負けとく方が幸せだろ」
「うわ~嫌味なやつ……」
レオンの文句を聞きながしながら、アルフレッドは自分よりもっと強い人間を探していた。
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