上 下
177 / 179

0177.女主の正体

しおりを挟む
「こんなところに神殿建ててるのに、一応ってレベルじゃないだろ。」
「その言葉は一応、褒め言葉と受け取っておこう。まあ、私の話は置いてき、話を進めるぞ。四つ目は、魔族の勢力じゃ。簡単に言えば、悪魔の一族じゃな。魔族はほとんどが魔族の地におるが、実はこの一族が一番勢力拡大に熱心といえる。だから魔族は他の種族の地に攻め入ることが多いな。」
「魔族か。俺はまだ会ってない気がするな。」
 女主はワインを一口飲み、話を続ける。
「最後の勢力がアンデットじゃ。アンデッドは名前の通り、不死の一族なんじゃが、実はアンデットの勢力は二つに分かれておる。」
「ふむ。ややこしいな。」
「まず、一つ目はバンパイアの一族じゃ。こいつらは能力も高いがプライドも高い。そして、もう一つはバンパイア以外のアンデッドじゃ。」
「何か随分、面白い分け方だな。と言うか、何でアンデッドの勢力が二つになっているのか分からない。かなり強そうなバンパイアが他のアンデッドを支配していれば二つに分かれなさそうだけどな。」
「お、なかなか鋭い意見じゃの。その通りだ。」
「俺は実際にこの迷宮でバンパイアっぽいのに会ってるし、あと確か迷宮の三強とかいうのにもバンパイアが入ってるって聞いたしな。バンパイアは確かにものすごい強いと思う。」
「なるほど。ところで一つ聞くが、お前はここに来るのに何か気付かなかったか。」
「ここに来るのに気付いたことか。うーん、この階層に来る前に死にそうになったよ。」
「ほうほう。敵はどうだった。」
「あ、そういや。全部アンデッドだな。」
「そういうことじゃ。」
「え、そういうことってどういうことだよ。」
「私が、アンデッドのバンパイアじゃない方の勢力の長じゃ。」
 健はワインを飲みながら笑顔を見せる女主の言葉が一瞬、理解できなかった。
「え、あんたがアンデッドで一番偉いのか。」
「そうじゃ。今説明したようにバンパイア以外のアンデッドの中でだがな。」
「うーむ。すげえな。まあ、神殿から何からあんたの力がとんでもないのは分かるが。だが、何であんたは迷宮の三強に入っていないんだ。」
「それは私が付けた訳じゃないから分からんが、恐らく集団の勢力ではなく、単独行動している者達の中で強い奴らってことじゃないのか。私達はある意味、国や軍隊みたいなものじゃからな。実際、私の部下には強者は沢山いる。例えば、ここにいる私の護衛達も龍とやり合える強さだぞ。」
 そう言って、女主は横にいる青白い顔をした武闘家の大男と、鎧や武器をまとったスケルトンの将軍の方を手で示した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

欲しいものはガチャで引け!~異世界召喚されましたが自由に生きます~

シリウス
ファンタジー
身体能力、頭脳はかなりのものであり、顔も中の上くらい。負け組とは言えなそうな生徒、藤田陸斗には一つのマイナス点があった。それは運であった。その不運さ故に彼は苦しい生活を強いられていた。そんなある日、彼はクラスごと異世界転移された。しかし、彼はステ振りで幸運に全てを振ったためその他のステータスはクラスで最弱となってしまった。 しかし、そのステ振りこそが彼が持っていたスキルを最大限生かすことになったのだった。(軽い復讐要素、内政チートあります。そういうのが嫌いなお方にはお勧めしません)初作品なので更新はかなり不定期になってしまうかもしれませんがよろしくお願いします。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

大人気ダンジョン配信者のサポーターをやっていたけど、あまりにパワハラが酷いから辞めることにする。ん? なんか再生数激オチしているけど大丈夫?

空松蓮司
ファンタジー
「アンタは1人じゃ何もできない」 事あるごとにそう言い放ってくるパートナー、成瀬美亜にうんざりしつつも葉村志吹は彼女をサポートし続けた。 過去にモンスターに右腕を喰われ隻腕となり、さらに何も特殊な能力を持たない自分を雇ってくれるのは美亜だけ……そう志吹は思い込み、どれだけパワハラされようが耐えてきた。 しかし、現実は違った。 確かに志吹は隻腕で、特殊能力を持たない。だがそのサポート能力は最高レベルであり、美亜のダンジョン配信を見ている視聴者達の目当ても美亜ではなく志吹の完璧なまでのサポート能力だった。そんな高い能力を持つ志吹が放置されるわけがなく、彼は美亜より遥か格上のS級シーカー・唯我阿弥数にギルドへの勧誘を受ける。 「今日はギルドへの勧誘に来たんだ」 「そういう話なら美亜を交えて改めて場を設けるよ。今日はグラビアの撮影で忙しいから、後日都合の良い日に……」 「え? 成瀬美亜ちゃん? 彼女はいらないよ別に」 「ん? 美亜の勧誘じゃないのか?」 「君がどうしてもと言うなら入れてあげてもいいけど、特に魅力は感じないな。僕が欲しいのは君だけだよ」 自分に敬意を示し、真摯に接してくれる唯我と自分を見下し、雑に扱う美亜……比べるまでもなく志吹は唯我を選び、美亜とのパートナー契約を打ち切る。 新たなギルドで正当な評価を受け始める志吹。 一方で志吹を失い、動画の再生数が落ち込んでいく美亜。 やがて美亜は自分の失墜を志吹のせいにし、自分が所属するギルドにありもしないことを吹き込んで志吹を悪者に仕立て上げ、ギルドを率いて志吹への復讐を企てる……。 無能と罵られ続けた実は有能な男が、環境を変えたことをきっかけに正当な評価を受け始める迷宮成り上がりファンタジー、ここに開幕。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い異世界へと転生。何も成し遂げることなく35年……、ついに前世の年齢を超えた。

処理中です...