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0175.女主の条件

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「えっ。そりゃ、欲しいさ。欲しいよ。」
 女主は、美しい顔に悪い表情を作ってニヤリとする。
「正直、そこまで呪いの首飾りが必要なわけではないんじゃ。私の言うことを聞くなら、譲ってやってもいいぞ。」
「本当か。それなら。」
 健は続きを言いかけて思いとどまった。待てよ。この流れは前にもあったぞ。そうか。そもそも、この呪いの首飾りを手に入れることになったのも、同じようにファクターに言いくるめられたからじゃないか。まあ、あの時はチビ助を助けなきゃいけないから、選択の余地はあまりなかったが。とにかく、今回は慎重にいこう。
「先に話を聞かせてもらってからにしていいか。」
「ほう。しっかりしてるな。すぐに話に乗らないその慎重さは悪くないぞ。こっちは別に騙すつもりはないから、条件を先に言うのは構わないしな。私が望むのは、お主の正体を包み隠さずに全部話してもらうことじゃ。」
 健は女主の要求を聞いて、言葉を返せなかった。やはり、そこを聞いてくるのか。いったい何が目的で、そこまで俺の正体にこだわるのだろうか。健が思考を巡らして黙りこんでしまったのを見て、女主は言った。
「まあ、返事は後でいいぞ。今は美味しいご馳走と飲み物を楽しみながら別の話をしようか。そこの小さい龍よ。しっかり食べているか。」
「うん。すごく美味しいよ。食べても食べてもいっぱいあるし、ここは天国だね。」
「そうじゃろ。見たところ、お前は黒龍だと思うが。違っとるかの。」
「多分あってるよ。昔、偉そう魔法使いがそう言ってた気がする。」
「やはり、そうか。黒龍と言えば、龍の中でも一二を争う最強の龍だったはずじゃが、最近見かけなくなった気がするの。」
「僕はよく分からないけど、少し前に龍も入ってすごい戦いをしていたって聞いたよ。戦いを望まない龍はどこかに隠れてしまったし、戦った龍は結構死んじゃったとか何とか。」
「ほほう。興味深いの。そう言えばこの神殿のある階層の一つ上にも骨龍がいたはずじゃが、来る途中に遭わなかったかの。」
 女主は手にしたグラスに入ったワインを飲みながら健達の顔をみつめて答えを待っている。健がどう回答するか考えているうちに龍は即答した。
「あー、いたよ。何か僕達に嫌がらせして来たから、僕がやっつけてやったらどっか行っちゃったよ。」
 龍は美味しい肉料理に夢中で、女主の質問の裏に何か隠されていないかとかは何も考えていないようだ。
「そいつはすごいの。あの骨龍はかなり強いはずじゃ。まあ、ここまで辿り着けているお主達が並の強さじゃないのは分かっているがの。」
「そうだね。すごい強かったよ。でも何かムカつく奴だった。」
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