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0131.多数の気配の正体

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 健が超感覚で周囲を警戒しながらしばらく待っていると、ようやく岩石ゴーレムがいつも通り、ゆっくりした足取りで戻って来た。
 健は岩石ゴーレムが動けなくなった原因を理解した。岩石ゴーレムは体中に細い紐の残骸が巻き付いていたのである。この丈夫そうな細い紐をアローが切断しまくってくれたおかげで、岩石ゴーレムが解放されて戻って来れたというわけだ。アローが予想外に賢くて嬉しい誤算だ。
 一方でアローが退治してくれた、モヤの中にいた沢山の気配の正体も気になる。高速で動き回り、細い紐を使った奴らは何だったのだろうか。
「よし、岩石ゴーレムには戻って来てもらったばかりで悪いが、もう一度、モヤの中に行こう。今度は俺も一緒に行く。アローが気配の奴らを退治してくれたから正林を確認したい。あと、勿論、チビ助の行方の手がかりも探す。」
 モヤの中にもはや危険な気配は感じとれないので、健はとても気が楽になった。岩石ゴーレムに先頭を歩かせて、その後に付いて行く。初めてモヤの中に入って見ると、すぐ先がよく見えない。こんな視界でよく相手を倒せたなと、またまたアローの株が上がる。
 岩石ゴーレムが動けなくなった現場に着くと、多数の気配の正体が判明した。周囲にはアローにやられたコウモリ猿達が落ちていたのだ。なるほど、猿の知能と器用さで紐を使って岩石ゴーレムを動けなくさせたということか。そしてコウモリの超音波でモヤの中でも周囲を正確に把握し、コウモリの羽で素早く動き回っていたということだ。これは思った以上に難敵だった可能性が高い。下手にモヤの中に入らず、大正解だった。
 とりあえず、脅威がなくなったのでモヤの中に龍の手がかりがないかもう少し探索してみることにする。相変わらず、迷宮の中とは思えぬ広さであり、モヤの中はかなり先まで続いている。拍子抜けすることに、そこから50メートルほど進んだ先で龍があっさり見つかった。
 いつものように地面で気持ちよさそうに大爆睡している。だが、健は気になることが二つあった。龍の側にコウモリ猿の死骸が落ちているのだ。龍が食ったのだろうか。まあ、龍だから何でも食うのかも知れないが、こんな凶暴そうなコウモリ猿を捕まえて食っていりチビ助の姿が健には想像つかない。
 もう一つは、健が超感覚と能力を使っても龍の気配を感じ取れなかったことだ。これだけ近くにいる今も、超感覚だけでは龍の気配をうっすらとしか感じとれない。これまで、健の一緒に行動していた龍ははっきりと気配を感じとれていた。勿論、最上位の種族の一つである龍がそういう力を持っていてもおかしくはない。だが、龍のこれらの変化が、老婆達が龍に食べさせた何かの影響である可能性は否定できない。
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