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0107.岩石ゴーレム

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「助かったよ、チビ助。アイツは危険な相手だった。」
「そうなの。僕のオヤツを盗んだ悪い奴だし、やっつけてやりたかったなあ。」
 健は今回の出来事で龍の強さを再認識した。やはり、龍はこの世界の支配者ピラミッドで最上位の地位にいるのだ。
「あ、そうだ。川の向こうに落ちている魚を獲って来てくれないか。」
 龍は川の向こうに飛んで行き、健に魚を持って来てくれた。持って来てくれたのは一匹だけで、他の二匹は龍がすぐに食べてしまった。ある意味、健の予想通りである。全部の魚を食べられなかっただけましな方かもしれない。健は松明で魚を焼いて食べた。
 魚を一匹食べた位では腹はあまり満たされなかったが、まあとりあえずは、迷宮の探索が続けられる。
「水と食料が手に入るこの場所にいつでも戻って来れるように、道を覚えながら先に進もう。」
「はーい。」
 どうやら龍はすっかり目が覚めたようだ。問題は洞窟の中を先に進むか、ここに来る時に使った階段を上って十字路まで戻って別の道を進むかだ。超感覚を使ってみた感じでは、分かる範囲では洞窟の先には誰もいない。だが、赤い目の男は健の超感覚から隠れられるし、強敵だから今は相手をしたくない。
「よし。階段を上って十字路まで戻り、最初の道から直進している道を進もう。」
「オッケー。」
 十字路までは特に何もいなかった。十字路で超感覚を使った感じでは、迷宮の入口の扉からの道をそのまま直進した先には何か大きな物体が動いているのが感じられる。そして、左に進んだ場合の先には扉が見えており、扉の向こうからは相変わらず悪魔のような怪しい気配がある。
 さっきの赤い目の男に懲りている健は、当然に大きな物体があると思われる道を選択する。
「こっちの道を行こう。」
 しばらく進むと、先に広い空間が見えた。そして、何か重量感のある音が聞こえてくる。健は、超感覚で先にある広い空間の中に人型の大きな物体が動いているのを感じとった。簡単な相手ではないかもしれないが、さっきの赤い目の男よりはましだ。そういう気持ちの健は、どんどん進んで行く。
 着いた先の広い空間は、松明がなくても中の様子が分かるほど明るい楕円形の空間であった。部屋が明るいのは、壁にあるいくつかの灯りのおかげだ。誰かが管理しているのだろうか。入って来た穴とは別の穴が三つ、正面の壁に空いている。そして、部屋の真ん中には、大きい人型の岩石がゆっくりと動いていた。岩石ゴーレムである。だが、幸いなことに岩石ゴーレムは、部屋に入って来た健達に反応せず、ゆっくりと部屋の中央付近を行ったり来たりしている。
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